[P-SP-14-2] 大学生バスケットボール選手におけるfunctional movement screenと障害発生の関連について
Keywords:FMS, バスケットボール, 障害
【はじめに,目的】
近年,動作評価による障害リスク判定のツールとしてFunctional Movement Screen(FMS)が注目されている。FMSはDeep squat(DS),Hurdle step(HS),In-line lunge(ILL),Shoulder mobility(SM),Active straight leg raise(ASLR),Trunk stability push up(TSPU),Rotary stability(RS)の7種目をそれぞれ0~3点の4段階で採点を行い,合計21点満点で評価するものである。アメリカのスポーツ現場では広く用いられており,FMSの合計点が14点以下の場合障害発生のリスクが高いことが報告されている。また,陸上の中長距離選手においてはDSとASLRの合計点数によりランニング障害の発生を予測できるという報告があり,競技によって障害発生と関連の強い種目が異なる可能性がある。しかし,バスケットボール選手におけるFMSの研究は少なく,各種目の点数と障害発生の関連について明らかにしたものはない。障害発生と関連の強い種目が明らかとなれば,より簡便に障害リスク判定を行うことができると考えられる。したがって本研究の目的は,バスケットボール選手におけるFMSの各種目の点数と障害発生の関連を調べることである。
【方法】
対象は大学の男子バスケットボール部に所属する選手81名(年齢20.1±1.3歳,身長178.3±8.1cm,体重72.2±8.1kg)とした。測定時に練習・試合に参加することが不可能な疾患を有する者は除外した。測定項目はFMS7種目とアンケート調査を行った。FMSの測定は採点基準に従い,正しく動作を行うことができれば3点,代償を用いて可能であれば2点,動作が不可能であれば1点,動作中に痛みが生じれば0点とした。アンケート調査では,基本情報と過去1年間の障害発生状況を調査した。本研究では先行研究に従って各種目の2点と3点を高得点群,0点と1点を低得点群とした。また,過去1年間に4週間以上練習・試合を休む障害の既往がある者を障害あり群,ない者を障害なし群とした。統計解析はFMSの合計点にはU検定,各種目の点数にはカイ二乗検定を用い,FMSの合計点・各種目点数と障害発生の有無の関連を検証した。統計学的有意水準は5%未満とした。
【結果】
全対象者81名のうち,障害あり群は13名(16.0%),障害なし群は68名(84.0%)であった。U検定の結果,障害あり群と障害なし群の間でFMS合計点に有意差はみられなかった(障害あり群:12.62±4.6,障害なし群:14.29±2.3,p=0.378)。一方カイ二乗検定の結果,DSとHSにおいて障害発生と有意な関連がみられた(p=0.028,p=0.001)。
【結論】
本研究の結果,男子大学生バスケットボール選手の過去1年の障害発生とFMSのDS,HSの点数には関連があるという結果が示された。よって,バスケットボール選手においてはFMS7種目の中でもDS,HSに特に着目する必要がある可能性が示唆された。今後は縦断的な研究を行い,DS,HSの点数による障害発生予測の妥当性を検討する必要がある。
近年,動作評価による障害リスク判定のツールとしてFunctional Movement Screen(FMS)が注目されている。FMSはDeep squat(DS),Hurdle step(HS),In-line lunge(ILL),Shoulder mobility(SM),Active straight leg raise(ASLR),Trunk stability push up(TSPU),Rotary stability(RS)の7種目をそれぞれ0~3点の4段階で採点を行い,合計21点満点で評価するものである。アメリカのスポーツ現場では広く用いられており,FMSの合計点が14点以下の場合障害発生のリスクが高いことが報告されている。また,陸上の中長距離選手においてはDSとASLRの合計点数によりランニング障害の発生を予測できるという報告があり,競技によって障害発生と関連の強い種目が異なる可能性がある。しかし,バスケットボール選手におけるFMSの研究は少なく,各種目の点数と障害発生の関連について明らかにしたものはない。障害発生と関連の強い種目が明らかとなれば,より簡便に障害リスク判定を行うことができると考えられる。したがって本研究の目的は,バスケットボール選手におけるFMSの各種目の点数と障害発生の関連を調べることである。
【方法】
対象は大学の男子バスケットボール部に所属する選手81名(年齢20.1±1.3歳,身長178.3±8.1cm,体重72.2±8.1kg)とした。測定時に練習・試合に参加することが不可能な疾患を有する者は除外した。測定項目はFMS7種目とアンケート調査を行った。FMSの測定は採点基準に従い,正しく動作を行うことができれば3点,代償を用いて可能であれば2点,動作が不可能であれば1点,動作中に痛みが生じれば0点とした。アンケート調査では,基本情報と過去1年間の障害発生状況を調査した。本研究では先行研究に従って各種目の2点と3点を高得点群,0点と1点を低得点群とした。また,過去1年間に4週間以上練習・試合を休む障害の既往がある者を障害あり群,ない者を障害なし群とした。統計解析はFMSの合計点にはU検定,各種目の点数にはカイ二乗検定を用い,FMSの合計点・各種目点数と障害発生の有無の関連を検証した。統計学的有意水準は5%未満とした。
【結果】
全対象者81名のうち,障害あり群は13名(16.0%),障害なし群は68名(84.0%)であった。U検定の結果,障害あり群と障害なし群の間でFMS合計点に有意差はみられなかった(障害あり群:12.62±4.6,障害なし群:14.29±2.3,p=0.378)。一方カイ二乗検定の結果,DSとHSにおいて障害発生と有意な関連がみられた(p=0.028,p=0.001)。
【結論】
本研究の結果,男子大学生バスケットボール選手の過去1年の障害発生とFMSのDS,HSの点数には関連があるという結果が示された。よって,バスケットボール選手においてはFMS7種目の中でもDS,HSに特に着目する必要がある可能性が示唆された。今後は縦断的な研究を行い,DS,HSの点数による障害発生予測の妥当性を検討する必要がある。