[P-TK-01] ポスター（地域）P01

[P-TK-01-2] リハビリテーション専門職を配置した通所介護サービス利用者の要介護度変化について

^○上野 貴大^1,2, 山口 大輔², 若井 陽香¹, 成尾 豊¹, 田中 俊一¹, 堀切 康平¹ (1.越谷リハビリケアセンター, 2.松伏町訪問リハビリ看護ステーション)

Keywords:通所介護, 要介護度, リハビリテーション専門職

【はじめに，目的】通所介護サービスは対象者の増加に伴い様々な特色を持って運営されているが，リハビリテーション専門職（リハ専門職）が配置されている事業所は全体の2割にも満たない。更にその効果検証は報告数が少ない上に，身体機能や生活行為力の変化に着目した報告がほとんどで，要介護度の変化に着目した報告は少ない。本研究では，リハ専門職を配置した通所介護サービス利用者の要介護度の変化を明らかにし，通所介護サービスにおいてリハ専門職を配置することによる効果について検討することを目的とした。


【方法】対象は当事業所に通所している要介護認定者のなかで，要介護認定の更新を受けている者66名（男性41名，女性25名，平均年齢73.9±11.2歳）とした。サービス利用による効果判定としての妥当性を確保するため，要介護認定更新時期がサービス利用開始から3ヶ月以内である場合は対象から除外した。当事業所は，7時間以上9時間未満のサービス提供時間を有する通常規模の通所介護事業所である。リハ専門職を常時3名配置しており，身体機能に対する取り組みだけでなく，定期的な居宅訪問により把握した生活課題に基づき，移動や入浴，排泄といった通所施設内の生活場面でのリハを行っている。対象の基本特性として年齢，性別，基礎疾患，利用開始から要介護認定更新までの経過年数，要介護認定後の初回更新か否か，1週間あたりの通所回数を調査した。サービス開始前および更新後の要介護度を調査した。複数回の更新が存在する場合，1回目の更新後の要介護度を採用した。サービス開始前の要介護度により軽度群（要介護2以下），中重度群（要介護3以上）へ群分けを実施した。基本特性について，Mann-WhitneyのU検定，χ²独立性の検定のいずれかを用い群間で比較した。更新前後の要介護度について，各群および対象全体においてWilcoxonの符号付順位和検定を用い比較した。各群における要介護度改善例，維持例，重度化例の割合についてχ²独立性の検定を用い群間で比較した。統計的検討にはSPSS for windows10を用い，有意水準5％とした。


【結果】基本特性の各項目における群間比較では，いずれも有意差を認めなかった。各群における要介護度改善例，維持例，重度化例の割合を順に示すと，軽度群では10.6%，59.6%，29.8%，中重度群では52.6%，31.6%，15.8%であった。中重度群では要介護度の有意な改善を認め，軽度群と比べ改善例の割合が有意に大きかった。軽度群では要介護度の有意な変化は認めず，中重度群と比べ維持例の割合が有意に大きかった。


【結論】リハ専門職を配置した通所介護サービス利用者においては，軽度要介護者の要介護度が維持され，中重度要介護者の要介護度が改善していることが示された。中重度要介護者に対し積極的な生活リハを提供できるリハ専門職の専門性は，中重度要介護者の介護度改善をもたらす有効な選択肢と考えられる。