[P-TK-01-3] 通所リハビリテーション利用者の生活活動度の関連因子と要介護度の変化について
Keywords:通所リハビリテーション, 生活活動度, 関連因子
【はじめに,目的】
通所リハビリテーション(以下,通所リハ)において,特に軽度者に関しては心身機能の向上のみでなく,生活活動度にも焦点を当てた目標設定と介入が重要である。生活活動度を構成する因子は多様であるが,様々な生活背景や既往歴を持つ高齢者の生活活動度の関連因子について多方面から調査した研究は少ない。また生活活動度の違いがその後の要介護度変化に与える影響については不明な点が多い。今回は通所リハ利用者に対し総合的な調査を行い,生活活動度の関連因子について検討すると共に,約1年後の介護度変化について調査することを目的とした。
【方法】
2ヶ所の通所リハ事業所利用者のうち,65歳以上であり,要支援1・2・要介護1いずれかの介護認定を持ち,屋外歩行自立,MMSE≧20の認知機能を有する者83名(平均年齢78.5±6.8歳)を対象とした。主要評価項目の生活活動度はLife Space Assessment(LSA)にて評価した。LSAとの関連を検討する副次評価項目として,一般情報(年齢,性別,既往歴,転倒歴など),身体機能(握力,Timed Up and Go test(TUG),片脚立位,疼痛など),精神機能(活力,主観的健康感,転倒不安など),社会機能(友人との付き合い,趣味,公共交通機関など)について調査した。また,調査開始時点から約1年後の要介護度について追跡調査を行った。統計解析は,LSAを従属変数とし,spearmanの順位相関係数またはMann-Whitney U testにて相関の見られた因子を独立変数として重回帰分析(ステップワイズ法)を行い,標準化係数(β)を求め関連の強さを検討した。LSAと要介護度変化との関係は,カイ二乗検定にて検討した。有意水準はすべて5%未満とした。
【結果】
対象者のLSA平均値は55±25点であった。重回帰分析の結果,TUG(β=-0.33),趣味の有無(β=0.30),友人の有無(β=0.29),近隣公共交通機関の有無(β=0.26),握力(β=0.24)の順にLSAとの関連を認めた(調整済みR2=0.56)。次に,利用終了による介護度変化不明者7名および期間中認定更新のなかった4名を除いた72名をLSA中央値54点で高値群,低値群に二分し,約1年後の介護度改善またはゴール達成による卒業群(10名),介護度維持群(51名),介護度悪化群(11名)に分け比較したところ,LSA高値群において介護度改善または卒業した者の割合が高い傾向にあった(p=0.03)。
【結論】
通所リハ利用者の生活活動度には,歩行能力や筋力といった身体機能に加え,趣味や友人の有無といった外出目的となり得ること,交通機関の有無といった外出手段を有すること,といった複合的な理由が関連していることが示唆された。また高い生活活動度を有することにより,その後の介護度の改善や卒業に結びつけやすくなる可能性が推察された。通所リハにおいて高齢者の生活機能向上および介護度改善のためには,身体機能だけでなく様々な側面に対しての評価・介入が必要であることが考えられる。
通所リハビリテーション(以下,通所リハ)において,特に軽度者に関しては心身機能の向上のみでなく,生活活動度にも焦点を当てた目標設定と介入が重要である。生活活動度を構成する因子は多様であるが,様々な生活背景や既往歴を持つ高齢者の生活活動度の関連因子について多方面から調査した研究は少ない。また生活活動度の違いがその後の要介護度変化に与える影響については不明な点が多い。今回は通所リハ利用者に対し総合的な調査を行い,生活活動度の関連因子について検討すると共に,約1年後の介護度変化について調査することを目的とした。
【方法】
2ヶ所の通所リハ事業所利用者のうち,65歳以上であり,要支援1・2・要介護1いずれかの介護認定を持ち,屋外歩行自立,MMSE≧20の認知機能を有する者83名(平均年齢78.5±6.8歳)を対象とした。主要評価項目の生活活動度はLife Space Assessment(LSA)にて評価した。LSAとの関連を検討する副次評価項目として,一般情報(年齢,性別,既往歴,転倒歴など),身体機能(握力,Timed Up and Go test(TUG),片脚立位,疼痛など),精神機能(活力,主観的健康感,転倒不安など),社会機能(友人との付き合い,趣味,公共交通機関など)について調査した。また,調査開始時点から約1年後の要介護度について追跡調査を行った。統計解析は,LSAを従属変数とし,spearmanの順位相関係数またはMann-Whitney U testにて相関の見られた因子を独立変数として重回帰分析(ステップワイズ法)を行い,標準化係数(β)を求め関連の強さを検討した。LSAと要介護度変化との関係は,カイ二乗検定にて検討した。有意水準はすべて5%未満とした。
【結果】
対象者のLSA平均値は55±25点であった。重回帰分析の結果,TUG(β=-0.33),趣味の有無(β=0.30),友人の有無(β=0.29),近隣公共交通機関の有無(β=0.26),握力(β=0.24)の順にLSAとの関連を認めた(調整済みR2=0.56)。次に,利用終了による介護度変化不明者7名および期間中認定更新のなかった4名を除いた72名をLSA中央値54点で高値群,低値群に二分し,約1年後の介護度改善またはゴール達成による卒業群(10名),介護度維持群(51名),介護度悪化群(11名)に分け比較したところ,LSA高値群において介護度改善または卒業した者の割合が高い傾向にあった(p=0.03)。
【結論】
通所リハ利用者の生活活動度には,歩行能力や筋力といった身体機能に加え,趣味や友人の有無といった外出目的となり得ること,交通機関の有無といった外出手段を有すること,といった複合的な理由が関連していることが示唆された。また高い生活活動度を有することにより,その後の介護度の改善や卒業に結びつけやすくなる可能性が推察された。通所リハにおいて高齢者の生活機能向上および介護度改善のためには,身体機能だけでなく様々な側面に対しての評価・介入が必要であることが考えられる。