[P-TK-04-4] 転倒場所の違いから見た要介護高齢者の特性
Keywords:通所リハビリテーション, 要介護, 転倒
【はじめに,目的】
高齢者の転倒は寝たきりや要介護状態の主要因であり,既に基礎疾患を有している要介護者は,健常高齢者より転倒のリスクが高くなっている。転倒場所としては屋外と比較し屋内での報告が多く認められているが,転倒場所の違いによる転倒者の特性を明らかにした報告は少なく,転倒者の特性を明らかにすることで,治療を検討する一助になるのではないかと考えた。そこで本研究では,過去一年の転倒データをもとに,転倒場所の違いから転倒者の特性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象者は,基本的な移動手段が歩行である半日の通所リハビリテーション利用者101名(年齢:76.0±9.8,要支援57名,要介護44名)とした。転倒状況の調査期間は平成27年9月から28年9月とし,体力測定期間は3月~9月までの半年間とした。除外基準は,認知症の診断があり,かつ長谷川式簡易知能スケールが21点以下の者とした。
対象者の一年間の転倒の有無,転倒場所は毎回通所した際に口頭で確認し,転倒場所を屋内,屋外に分け,両方で転倒している者は屋内転倒と分類した。身体機能面を握力,長座体前屈,膝伸展筋力,Functional Reach test(FR),Timed Up and Go test(TUG),5m歩行により評価し,Elderly-status Assessment(E-SAS)の項目から連続歩行距離,Falls Self-Efficacy(FES),Life Space Assessment(LSA)を聴取した。
Shapiro-Wilk検定にて各指標の分布の正規性を確認した後に,統計学的解析を行った。転倒の有無と転倒場所により転倒無し群,屋内転倒群,屋外転倒群の3群に分け,各評価項目を3群間で比較した。3群間の比較には,Kruskal-Wallis検定を用い,Ryan法により多重比較を行った。検定にはSPSS(Statistical Package for Social Science)ver22を使用し,有意水準は5%とした。
【結果】
対象者101名の内訳は,転倒なし群58名,屋内転倒群36名,屋外転倒群7名であった。TUG,5m歩行,連続歩行距離において,屋内転倒群と比較して屋外転倒群で有意に高く(p<0.05),転倒無し群と比較して屋外転倒群で有意に高い結果(p<0.01)が得られた。FRにおいて,転倒無し群と比較して屋内転倒群で有意に低かった(p<0.05)。FESにおいて,屋内転倒群と比較して屋外転倒群で有意に高かった(p<0.01)。握力,長座体前屈,膝伸展筋力,LSAにおいては各群間とも有意差を認めなかった。
【結論】
今回の調査研究において,3群間の中で屋外転倒者が最も身体機能が高いことが明らかになった。要介護者においてFRが屋内転倒を予測するための評価指標になることが考えられる一方,屋外転倒は身体機能面の向上を図るだけでは予防が困難であることが示唆された。屋外転倒を防ぐためには,身体機能面に限らず,さらに細かく心理的要因や環境要因について検討することや,今回含まれなかった認知機能や注意機能なども考慮して検討する必要があると考えられた。
高齢者の転倒は寝たきりや要介護状態の主要因であり,既に基礎疾患を有している要介護者は,健常高齢者より転倒のリスクが高くなっている。転倒場所としては屋外と比較し屋内での報告が多く認められているが,転倒場所の違いによる転倒者の特性を明らかにした報告は少なく,転倒者の特性を明らかにすることで,治療を検討する一助になるのではないかと考えた。そこで本研究では,過去一年の転倒データをもとに,転倒場所の違いから転倒者の特性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象者は,基本的な移動手段が歩行である半日の通所リハビリテーション利用者101名(年齢:76.0±9.8,要支援57名,要介護44名)とした。転倒状況の調査期間は平成27年9月から28年9月とし,体力測定期間は3月~9月までの半年間とした。除外基準は,認知症の診断があり,かつ長谷川式簡易知能スケールが21点以下の者とした。
対象者の一年間の転倒の有無,転倒場所は毎回通所した際に口頭で確認し,転倒場所を屋内,屋外に分け,両方で転倒している者は屋内転倒と分類した。身体機能面を握力,長座体前屈,膝伸展筋力,Functional Reach test(FR),Timed Up and Go test(TUG),5m歩行により評価し,Elderly-status Assessment(E-SAS)の項目から連続歩行距離,Falls Self-Efficacy(FES),Life Space Assessment(LSA)を聴取した。
Shapiro-Wilk検定にて各指標の分布の正規性を確認した後に,統計学的解析を行った。転倒の有無と転倒場所により転倒無し群,屋内転倒群,屋外転倒群の3群に分け,各評価項目を3群間で比較した。3群間の比較には,Kruskal-Wallis検定を用い,Ryan法により多重比較を行った。検定にはSPSS(Statistical Package for Social Science)ver22を使用し,有意水準は5%とした。
【結果】
対象者101名の内訳は,転倒なし群58名,屋内転倒群36名,屋外転倒群7名であった。TUG,5m歩行,連続歩行距離において,屋内転倒群と比較して屋外転倒群で有意に高く(p<0.05),転倒無し群と比較して屋外転倒群で有意に高い結果(p<0.01)が得られた。FRにおいて,転倒無し群と比較して屋内転倒群で有意に低かった(p<0.05)。FESにおいて,屋内転倒群と比較して屋外転倒群で有意に高かった(p<0.01)。握力,長座体前屈,膝伸展筋力,LSAにおいては各群間とも有意差を認めなかった。
【結論】
今回の調査研究において,3群間の中で屋外転倒者が最も身体機能が高いことが明らかになった。要介護者においてFRが屋内転倒を予測するための評価指標になることが考えられる一方,屋外転倒は身体機能面の向上を図るだけでは予防が困難であることが示唆された。屋外転倒を防ぐためには,身体機能面に限らず,さらに細かく心理的要因や環境要因について検討することや,今回含まれなかった認知機能や注意機能なども考慮して検討する必要があると考えられた。