[P-TK-06-4] 回復期リハビリテーション病棟退院後より継続した訪問リハビリテーションの利用がもたらす介護負担軽減に関係する要因の検討
多施設共同研究
Keywords:訪問リハビリテーション, 介護負担, 家族指導
【はじめに,目的】
在宅復帰後生活を継続させるためには,いかに家族の介護負担感(以下,介護負担)を軽減させるかが重要な課題となる。介護負担軽減に関して,訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)の利用による効果が報告されているが,その関係要因は十分に明らかにされていない。そこで本研究では,回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期リハ)退院後より継続して訪問リハを利用した,日常生活に介護を要する者の介護負担軽減と関係する要因を検討することを目的とした。
【方法】
回復期リハ退院から継続して訪問リハを利用した者を対象に,訪問リハビリテーション2施設,訪問看護ステーション2施設にて調査を行った。分析対象は,訪問リハの利用期間が30日以上であり,訪問リハ開始から180日後までを上限として調査を終えた,または調査中にサービスを終了した者で,かつ機能的自立度(FIM)の運動項目の合計点が78点未満の者17名(平均年齢79.2±7.9歳)とした。評価項目は,主介護者の介護負担の評価としてZarit介護負担尺度日本語短縮版(J-ZBI_8)を用い,訪問開始時(以下,開始時)と訪問開始30日後(以下,30日後),訪問終了時または訪問開始180日後(以下,終了時)それぞれのJ-ZBI_8の変化量(軽減は負の値を示す)を目的変数とし,基本属性(年齢,訪問回数等),利用者家族関係(双方への関心や介護等に対する適切な行動の程度),FIM,Frenchay activities index(FAI),リハ要因として療法士が行った家族教育(介護等への指導と行動の程度),ケアマネジャーとの連携(問題点の解決に向けた連携の程度)等の頻度と内容を説明変数として,その関係をSpearman順位相関係数にて分析した。利用者家族関係,リハ要因の評価は,訪問リハの臨床業務を行う療法士ら10名から得た意見に基づいて作成した独自の定義と尺度を用い,終了時のリハ要因は開始時・30日後・訪問開始90日後・終了時の各時点での変数の平均値を算出し分析に用いた。統計学的有意水準は5%とした。
【結果】
30日後のJ-ZBI_8変化量とは訪問回数(ρ=-.62,p<.01),30日後の利用者家族関係(ρ=-.51,p<.05),家族教育頻度(ρ=-.79,p<.01),ケアマネジャーとの連携行動内容(ρ=-.55,p<.05)が高いほど介護負担が軽減するという有意な負の相関を認めた。終了時のJ-ZBI_8変化量とは家族教育頻度平均(ρ=-.50,p<.05),家族教育内容平均(ρ=-.50,p<.05)と有意な負の相関を認めた。
【結論】
回復期リハ退院直後からの訪問リハにおいて,日常生活に介護を要する者の介護負担軽減を図るには,療法士による家族教育が重要であることが示された。加えて短期的には,頻回な訪問やケアマネジャー等他職種との密な連携,利用者と家族の良好な関係の構築への支援,長期的には家族が介護等に対して適切な行動を行えるよう支援することが重要であることが示された。
在宅復帰後生活を継続させるためには,いかに家族の介護負担感(以下,介護負担)を軽減させるかが重要な課題となる。介護負担軽減に関して,訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)の利用による効果が報告されているが,その関係要因は十分に明らかにされていない。そこで本研究では,回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期リハ)退院後より継続して訪問リハを利用した,日常生活に介護を要する者の介護負担軽減と関係する要因を検討することを目的とした。
【方法】
回復期リハ退院から継続して訪問リハを利用した者を対象に,訪問リハビリテーション2施設,訪問看護ステーション2施設にて調査を行った。分析対象は,訪問リハの利用期間が30日以上であり,訪問リハ開始から180日後までを上限として調査を終えた,または調査中にサービスを終了した者で,かつ機能的自立度(FIM)の運動項目の合計点が78点未満の者17名(平均年齢79.2±7.9歳)とした。評価項目は,主介護者の介護負担の評価としてZarit介護負担尺度日本語短縮版(J-ZBI_8)を用い,訪問開始時(以下,開始時)と訪問開始30日後(以下,30日後),訪問終了時または訪問開始180日後(以下,終了時)それぞれのJ-ZBI_8の変化量(軽減は負の値を示す)を目的変数とし,基本属性(年齢,訪問回数等),利用者家族関係(双方への関心や介護等に対する適切な行動の程度),FIM,Frenchay activities index(FAI),リハ要因として療法士が行った家族教育(介護等への指導と行動の程度),ケアマネジャーとの連携(問題点の解決に向けた連携の程度)等の頻度と内容を説明変数として,その関係をSpearman順位相関係数にて分析した。利用者家族関係,リハ要因の評価は,訪問リハの臨床業務を行う療法士ら10名から得た意見に基づいて作成した独自の定義と尺度を用い,終了時のリハ要因は開始時・30日後・訪問開始90日後・終了時の各時点での変数の平均値を算出し分析に用いた。統計学的有意水準は5%とした。
【結果】
30日後のJ-ZBI_8変化量とは訪問回数(ρ=-.62,p<.01),30日後の利用者家族関係(ρ=-.51,p<.05),家族教育頻度(ρ=-.79,p<.01),ケアマネジャーとの連携行動内容(ρ=-.55,p<.05)が高いほど介護負担が軽減するという有意な負の相関を認めた。終了時のJ-ZBI_8変化量とは家族教育頻度平均(ρ=-.50,p<.05),家族教育内容平均(ρ=-.50,p<.05)と有意な負の相関を認めた。
【結論】
回復期リハ退院直後からの訪問リハにおいて,日常生活に介護を要する者の介護負担軽減を図るには,療法士による家族教育が重要であることが示された。加えて短期的には,頻回な訪問やケアマネジャー等他職種との密な連携,利用者と家族の良好な関係の構築への支援,長期的には家族が介護等に対して適切な行動を行えるよう支援することが重要であることが示された。