[P-TK-07-4] 歩行能力により分類した回復期リハビリテーション病棟入院患者の特徴について
クラスター分析を用いた検討
Keywords:回復期, 実用歩行, 在宅生活
【はじめに,目的】
居宅内歩行では直線歩行に加え曲線歩行(曲がる,方向転換)が求められる。回復期病棟入院患者では在宅復帰に向け直線と曲線の両方の歩行能力を向上させる必要がある。本研究は,直線歩行と曲線歩行の能力を組み合わせて入院患者を分類し歩行能力からみた入院患者の特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は回復期病棟入院患者24名(平均年齢±標準偏差74.8±10.3歳;脳血管疾患11名,運動器疾患13名)とした。測定は直線歩行テストとして5m歩行テスト(歩行速度,重複歩距離,歩行率),曲線歩行テストとしてFigure of 8 Walk test(以下,F8W)(所要時間),3m Zigzag Walk test(以下,3ZW)(所要時間)を実施した。解析は歩行速度,F8W,3ZWの結果をZ得点化し平方ユークリッド距離を基にした階層的クラスター分析(Ward法)を用いた。対象者を各クラスターに分類し,各測定項目について一元配置分散分析,Kruskal-Wallis検定および多重比較を用いてクラスター間の比較を行った。統計学的解析にはSPSS21.0 for Windowsを用いた。
【結果】
クラスター分析の結果,クラスター1(80.5±5.1歳,6名;以下,A群),クラスター2(66.8±7.2歳,6名;以下,B群),クラスター3(69.5±8.9歳,6名;以下,C群),クラスター4(82.3±9.5歳,6名;以下,D群)の4クラスターを得た。一元配置分散分析,Kruskal-Wallis検定の結果,全ての測定項目でクラスター間に有意差を認めた。多重比較の結果,直線歩行では,歩行速度(m/sec)は,A群は0.63±0.09,D群は0.69±0.09でA.D群間に有意差を認めず,B群は1.23±0.07,C群は1.01±0.05でB.C群間に有意差を認めた。A.D群はB.C群と比べ有意に低値を示した。重複歩距離(m/steps)は,A群は0.67±0.09,D群は0.76±0.13でA.D群間に有意差を認めず,B群は1.04±0.08,C群は1.02±0.07でB.C群間に有意差を認めなかった。A.D群はB.C群と比べ有意に低値を示した。曲線歩行では,F8Wは,A群は15.0±1.5,D群は11.5±1.4でA.D群間に有意差を認め,B群は6.7±0.6,C群は9.1±0.9でB.C群間に有意差を認めた。A.D群はB.C群と比べ有意に高値を示した。3ZWはA群は11.4±0.7,D群は8.6±0.9でA.D群間に有意差を認め,B群は4.7±0.6,C群は6.7±1.0でB.C群間に有意差を認めた。A.D群はB.C群に比べ有意に高値を示した。
【結論】
回復期病棟入院患者は4つのクラスターに分類された。A.D群はB.C群に比べて直線歩行と曲線歩行の能力はいずれも低下していたが,A群はD群に比べ直線歩行能力は同様であるが,曲線歩行能力がより低下していた。B.C群はA.D群に比べ相対的に歩行能力は高いが,B群はC群に比べて重複歩距離は同様であるが,曲線歩行能力が低下していた。歩行能力の中でも特に曲線歩行能力が低下している対象が存在していることが分かった。今後はデータの種類を変えるなどして4群の分類が妥当であるかどうか検証を加える必要がある。
居宅内歩行では直線歩行に加え曲線歩行(曲がる,方向転換)が求められる。回復期病棟入院患者では在宅復帰に向け直線と曲線の両方の歩行能力を向上させる必要がある。本研究は,直線歩行と曲線歩行の能力を組み合わせて入院患者を分類し歩行能力からみた入院患者の特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は回復期病棟入院患者24名(平均年齢±標準偏差74.8±10.3歳;脳血管疾患11名,運動器疾患13名)とした。測定は直線歩行テストとして5m歩行テスト(歩行速度,重複歩距離,歩行率),曲線歩行テストとしてFigure of 8 Walk test(以下,F8W)(所要時間),3m Zigzag Walk test(以下,3ZW)(所要時間)を実施した。解析は歩行速度,F8W,3ZWの結果をZ得点化し平方ユークリッド距離を基にした階層的クラスター分析(Ward法)を用いた。対象者を各クラスターに分類し,各測定項目について一元配置分散分析,Kruskal-Wallis検定および多重比較を用いてクラスター間の比較を行った。統計学的解析にはSPSS21.0 for Windowsを用いた。
【結果】
クラスター分析の結果,クラスター1(80.5±5.1歳,6名;以下,A群),クラスター2(66.8±7.2歳,6名;以下,B群),クラスター3(69.5±8.9歳,6名;以下,C群),クラスター4(82.3±9.5歳,6名;以下,D群)の4クラスターを得た。一元配置分散分析,Kruskal-Wallis検定の結果,全ての測定項目でクラスター間に有意差を認めた。多重比較の結果,直線歩行では,歩行速度(m/sec)は,A群は0.63±0.09,D群は0.69±0.09でA.D群間に有意差を認めず,B群は1.23±0.07,C群は1.01±0.05でB.C群間に有意差を認めた。A.D群はB.C群と比べ有意に低値を示した。重複歩距離(m/steps)は,A群は0.67±0.09,D群は0.76±0.13でA.D群間に有意差を認めず,B群は1.04±0.08,C群は1.02±0.07でB.C群間に有意差を認めなかった。A.D群はB.C群と比べ有意に低値を示した。曲線歩行では,F8Wは,A群は15.0±1.5,D群は11.5±1.4でA.D群間に有意差を認め,B群は6.7±0.6,C群は9.1±0.9でB.C群間に有意差を認めた。A.D群はB.C群と比べ有意に高値を示した。3ZWはA群は11.4±0.7,D群は8.6±0.9でA.D群間に有意差を認め,B群は4.7±0.6,C群は6.7±1.0でB.C群間に有意差を認めた。A.D群はB.C群に比べ有意に高値を示した。
【結論】
回復期病棟入院患者は4つのクラスターに分類された。A.D群はB.C群に比べて直線歩行と曲線歩行の能力はいずれも低下していたが,A群はD群に比べ直線歩行能力は同様であるが,曲線歩行能力がより低下していた。B.C群はA.D群に比べ相対的に歩行能力は高いが,B群はC群に比べて重複歩距離は同様であるが,曲線歩行能力が低下していた。歩行能力の中でも特に曲線歩行能力が低下している対象が存在していることが分かった。今後はデータの種類を変えるなどして4群の分類が妥当であるかどうか検証を加える必要がある。