The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-09] ポスター(地域)P09

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-09-2] 老人保健施設入所中の要介護高齢女性におけるADL得点要因

貞清 秀成1, 磯 実花子1, 高野 輝明1, 貞清 香織2, 石坂 正大2 (1.介護老人保健施設マロニエ苑リハビリテーション室, 2.国際医療福祉大学保健医療学部理学療法学科)

Keywords:高齢者, 握力, ADL

【はじめに,目的】握力は生命予後の予測に有用と報告されており,握力測定の重要性が指摘されている。また握力は全身の筋力やADLと関連があると報告されている。最大下腿周径についても栄養状態やADLと関連すると報告されている。しかしながら要介護状態の老人保健施設入所中の高齢女性では握力や最大下腿周径とADLとの関連について報告されたものは少ない。ADLと握力や最大下腿周径などとの関連性の有無やこれらの項目がADL得点の要因となるのかを検討することを目的とした。


【方法】対象は当老人保健施設入所高齢女性140名のうち女性43名(測定認知不可,神経難病,未治療のがん,下肢動静脈疾患,コントロールされていない心不全,足背部を10秒押して圧痕が残る浮腫の有るものは除外)とした。年齢86.3±9.3,63-104歳,要介護度3.1±1.5,1-5,BMI19.8±2.9,13.0-25.2kg/m2(平均±SD,最少-最大)であった。握力はスメドレー式握力計により握力を2度測定し左右の最大値を代表値とした。最大下腿周径はMNACCメジャーを用い2度測定し最大値を記録した。またADL指標としてBarthel Index(以下BI)を測定した。統計手法はBIと握力,最大下腿周径,BMI,年齢との単相関係数をSpearmanの順位相関係数で算出した。またBIを従属変数として握力,最大下腿周径,BMI,年齢を独立変数としてステップワイズ法による重回帰分析を実施した。解析ソフトはSPSSを用い有意水準は5%とした。


【結果】BIの中央値は55点,握力6.3±5.1kg,最大下腿周径26.7±3.7cmであった。相関係数はBIと握力でr=0.641,最大下腿周径でr=0.491,BMIでr=0.180,年齢でr=0.351であった。重回帰分析の結果はBI=3.915×握力+1.279×年齢-91.826で自由度調整済み重決定係数はr2=0.458で有意であった。標準回帰係数は握力(0.614),年齢(0.363)であった。

【結論】老人保健施設入所中の要介護高齢女性において握力はBIの得点要因になることが明らかとなった。握力はADLと関連することが報告されているが,要介護高齢女性でも同様の結果であった。今後は要介護高齢女性においても,握力がどのような因子を反映しているかを明らかにしていく必要があるとともに介入による効果判定の可否を検討する必要があると考えられる。最大下腿周径はADLの得点要因にはならなかったが,BIとの相関は中程度あった。握力の測定認知が困難な対象も多かったため,最大下腿周径の有用性も今後検討していく必要があると考えられる。また年齢が正の係数となった結果の解釈について,90から104歳の対象者が19名含まれており超高齢者は主として社会背景要因による入所で,比較的年齢の若い入所者はADL低下によるためであると考えられた。