第52回日本理学療法学術大会

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-09] ポスター(地域)P09

2017年5月13日(土) 12:50 〜 13:50 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-09-3] 生活期におけるリハビリ強化型入所での集中的リハビリによる理学療法介入の効果検討

江連 亜弥, 瀧澤 快至, 竹内 雄樹 (医療法人敬愛会介護老人保健施設シルバーケア敬愛)

キーワード:生活期, リハビリ強化型入所, 介入効果

【はじめに,目的】

介護保険を利用している在宅生活者は,居宅サービス計画に従い,通所または訪問にて個別リハビリを受けられるが,頻度や時間は回復期と比し大幅に減少し,制度上十分な個別リハビリが提供されているとは言い難い。当施設では,在宅生活者を対象に,リハビリ強化型入所(以下リハ強化入所)を実施している。これは,40日程度の短期間,療法士による個別リハビリを集中的に週6日間1日60分の介入をし,より良い状態で在宅生活を送れるよう支援する目的がある。生活期利用者の集中的なリハビリの有効性を検証するため,過去に3回リハ強化入所を利用した方の変化を歩行機能に着目して経時的に示した。

【方法】

対象者は,70代の男性で平成23年9月に左被殻出血を発症した右片麻痺の脳卒中後遺症者である。T字杖と装具にて屋内歩行は自立レベルであった。Brunnstrom recovery stageは上肢II,手指II,下肢IIIであった。入所期間は1回目平成26年6月2日~平成26年7月19日,2回目平成27年1月27日~平成27年3月9日,3回目平成27年6月16日~平成27年7月25日であり,各期間週6日間1日60分の個別リハビリを提供した。個別リハビリは動作の反復練習や長距離歩行練習など量的介入にとらわれず,身体の使い方や非対称性の改善を含む質的介入を行った。入所時及び退所時に10M歩行速度,歩数を評価した。3回目はそれに加えTimed Up and Go Test(以下TUG)の測定も行った。

【結果】

1回目10M歩行(入所時48秒43歩,退所時35秒45歩),2回目10M歩行(入所時30.7秒40歩,退所時29.8秒41歩),3回目10M歩行(入所時31.3秒40歩,退所時29.2秒37歩),TUG右回り(入所時50.9秒,退所時39.9秒),TUG左回り(入所時44.2秒,退所時41.2秒)となり,入所時より退所時に歩行速度は改善がみられたが歩数は増減があった。各回ごとの歩行速度の改善も認められた。TUGは入所時より退所時に速度が改善した。

【結論】

生活期の症例においても,集中的な理学療法介入により,心身機能や動作能力の向上を図ることができた。そのことにより,住み慣れた地域でより長く在宅生活を送れることに繋がり,近年推奨されている地域包括ケアシステムの構築に向けての一助となると考えられる。今後もデータやエビデンスを蓄積し,生活期においても集中的なリハビリの介入効果が示されてゆくことで利用者にとっても我々理学療法士にとっても理学療法の充実が図れる可能性があると考える。