The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-10] ポスター(地域)P10

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-10-1] 講座後のアンケート調査から,認知症有病者への医療サービス提供や支援における課題を考察する

市川 保子 (志豊会特別養護老人ホーム松葉園)

Keywords:認知症サポーター養成講座, アンケート調査, 多職種

【はじめに,目的】

平成28年8月,医療従事者を対象とした認知症サポーター養成講座の開催を経験した。受講後のアンケート調査から,認知症有病者への医療サービス提供や支援における課題を考察したので報告する。

【方法】

対象は,平成28年8月に千葉県内某病院にて開催した認知症サポーター養成講座を受講した200名とした。対象者には全国キャラバン・メイト連絡協議会製作DVD鑑賞後,認知症の基礎知識,認知症ケアのポイント,困難事例とその対策を紹介し,講座終了後にアンケート調査を実施した。アンケート内容は1.プロフィール(性別,職種,経験年数,年齢),2.業務の中で認知症の方と関わることはあるか,3.認知症の方への対応で困った経験はあるか,4.その際どのような対応をしたか,5.講座の内容は分かりやすかったか,6.講座を受けて認知症に興味を持ったか,7.講義を受けて今後の業務にどう活かすか,8.認知症について知りたい内容はあるか等,自由記載を含めた8項目とした。

【結果】

アンケート回収率は87%であった。性別は男性29%,女性71%,年齢20代35%,30代27%,40代23%,50代13%,60代2%であった。職種は看護師36%,パラメディカル31%,事務職26%,薬剤師4%,医師3%で,経験年数は0~5年47%,6~10年22%,11~20年20%,21~30年10%,40年1%であった。日常業務で認知症有病者と関わる頻度は,毎日ある23%,しばしばある48%,ない29%で,認知症有病者への対応で困った経験があると回答したのは56%であった。講座の内容については,分かりやすかった78%,分かりにくかった14%,どちらともいえない8%,講義を受けて認知症有病者への接し方に興味を持ったかについては,興味を持った79%,変わらない20%,興味が減った1%という結果となった。自由記載の回答では,認知症有病者への対応で困った経験として,治療や検査を行えない,生活支援中の介護拒否等が多く挙げられた。また,講義を受けて今後の業務にどう活かすかについて,接し方として笑顔を心掛ける,その場の状況だけでなく全体像を把握した上で対応する,自分だけで解決しようとせず周囲にも協力してもらう等の意見が多く挙げられた。

【結論】

アンケート調査により,71%の方が日常の業務の中で認知症有病者と関わっていると回答し,その半数以上で困った経験が有ると回答している。日本における認知症有病率は,2025年には675万人へと推移するとされ,医療に関わる職種が日常業務で認知症有病者に関わる機会は今後も増加していくと予測される。認知症における中核症状や行動・心理症状(BPSD)は,認知症有病者への医療サービスの提供や支援の妨げになることがあり,サービス提供側がこれを正しく理解し,個々のケースに合った対応を考えられるようになることが重要であると考える。