[P-TK-10-2] 介護保険制度におけるリハビリテーションの役割
介護老人保健施設の現状と課題について
Keywords:介護保険制度, 介護老人保健施設, リハビリテーション
【はじめに,目的】
介護保険制度は2000年に創設され,「介護の社会化」は日本で浸透してきている。しかし,サービスの増大に伴い介護給付費も増大している。社会保障費の増大を抑制するために,介護報酬は引き下げられ,サービスの提供が縮小し家族の介護負担が増大することが危惧される。本研究では介護老人保健施設(以下老健)のリハビリテーション(以下リハ)に視点を当て,リハ職種(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士)が制度やサービスについてどのような問題意識を持ち,その問題に対してどのような取り組みを行っているかを明らかにする。リハ職種が抱えている問題点から,限られた財源を有効に使用するための提言を行う。
【方法】
老健のリハ職種に対して介護保険制度に関する質問紙調査法を,2015年6月1日から7月15日の期間に実施した。対象者は兵庫県内の老健21施設,148名のリハ職種に実施した。調査項目は選択肢方式として,リハ制度への疑問,リハ時間・回数への疑問,リハ効果の理解,自由回答方式として,リハを行っていて時間や回数が必要であった症例,リハ効果の理解への取り組み,今後の老健のリハ業務で必要なことで実施した。自由回答方式はカテゴリー分類を行った。
【結果】
20施設,137名から回答が得られ回収率は92.5%であった。リハ職種は「利用者1人に対する1回のリハ時間」に対して不足が入所68.46%,通所63.28%,訪問21.43%,少し不足が入所20.77%,通所25.00%,訪問57.14%であった。「利用者1人に対する1週間のリハ回数」に対して不足が入所61.54%,通所39.06%,訪問35.71%,少し不足が入所30.77%,通所35.16%,訪問21.43%で「時間や回数が不足している」と思っていることが分かった。「リハ職種は,リハの効果に対する理解に違いがあると思っているか」の質問に対して利用者70.07%,利用者の家族67.15%,他職種48.18%,一般の人59.85%で違いがあると思っていることが分かった。また自由回答方式より,症例によってリハの関わりに変化があるが,対応する制度や方法がないことに問題意識を持っており,そのような中でリハの効果を理解してもらう取り組みを行っている。リハ職種が老健の業務で必要と感じていることは,「老健の理念と役割」に基づいており,地域に根ざしたリハの発展を課題としていることが分かった。
【結論】
リハ職種が抱えている問題から,維持期(生活期)のリハの評価方法はEBMを考慮して,客観的な評価,経験的・主観的な意見のブラッシュアップ,施設の体制の3つを加味した評価方法を構築する必要がある。また,地域の拠点である地域包括支援センター(以下包括)と老健が積極的に関わることにより,地域の社会資源を知ることができ自宅復帰や通所リハ終了後の利用者に継続した支援が行える。限られた財源を有効に使用するためには,維持期(生活期)のリハの評価方法の確立と包括との関わりが必要である。
介護保険制度は2000年に創設され,「介護の社会化」は日本で浸透してきている。しかし,サービスの増大に伴い介護給付費も増大している。社会保障費の増大を抑制するために,介護報酬は引き下げられ,サービスの提供が縮小し家族の介護負担が増大することが危惧される。本研究では介護老人保健施設(以下老健)のリハビリテーション(以下リハ)に視点を当て,リハ職種(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士)が制度やサービスについてどのような問題意識を持ち,その問題に対してどのような取り組みを行っているかを明らかにする。リハ職種が抱えている問題点から,限られた財源を有効に使用するための提言を行う。
【方法】
老健のリハ職種に対して介護保険制度に関する質問紙調査法を,2015年6月1日から7月15日の期間に実施した。対象者は兵庫県内の老健21施設,148名のリハ職種に実施した。調査項目は選択肢方式として,リハ制度への疑問,リハ時間・回数への疑問,リハ効果の理解,自由回答方式として,リハを行っていて時間や回数が必要であった症例,リハ効果の理解への取り組み,今後の老健のリハ業務で必要なことで実施した。自由回答方式はカテゴリー分類を行った。
【結果】
20施設,137名から回答が得られ回収率は92.5%であった。リハ職種は「利用者1人に対する1回のリハ時間」に対して不足が入所68.46%,通所63.28%,訪問21.43%,少し不足が入所20.77%,通所25.00%,訪問57.14%であった。「利用者1人に対する1週間のリハ回数」に対して不足が入所61.54%,通所39.06%,訪問35.71%,少し不足が入所30.77%,通所35.16%,訪問21.43%で「時間や回数が不足している」と思っていることが分かった。「リハ職種は,リハの効果に対する理解に違いがあると思っているか」の質問に対して利用者70.07%,利用者の家族67.15%,他職種48.18%,一般の人59.85%で違いがあると思っていることが分かった。また自由回答方式より,症例によってリハの関わりに変化があるが,対応する制度や方法がないことに問題意識を持っており,そのような中でリハの効果を理解してもらう取り組みを行っている。リハ職種が老健の業務で必要と感じていることは,「老健の理念と役割」に基づいており,地域に根ざしたリハの発展を課題としていることが分かった。
【結論】
リハ職種が抱えている問題から,維持期(生活期)のリハの評価方法はEBMを考慮して,客観的な評価,経験的・主観的な意見のブラッシュアップ,施設の体制の3つを加味した評価方法を構築する必要がある。また,地域の拠点である地域包括支援センター(以下包括)と老健が積極的に関わることにより,地域の社会資源を知ることができ自宅復帰や通所リハ終了後の利用者に継続した支援が行える。限られた財源を有効に使用するためには,維持期(生活期)のリハの評価方法の確立と包括との関わりが必要である。