The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-10] ポスター(地域)P10

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-10-3] オムツ交換の難易度に関連する因子の検討

佐東 達雄, 梶丸 和久, 田辺 元 (出水郡医師会立第二病院)

Keywords:オムツ交換, 困難因子, 関節可動域

【はじめに,目的】当院は161床の療養型病院であり,高齢で介護を要する患者が多い。その中でオムツ交換は,日常生活動作の評価は全介助でも介護者・患者によって大変さは異なる。今回はオムツ交換の難易度と関節可動域・排泄状況・体重との関連を検討した。




【方法】対象は,当院入院患者でベッド上でオムツ交換を行う85名(男性35名,女性50名)。平均年齢81.3±9.75歳。日常生活自立度判定基準でC2レベル68名,B2レベル17名。方法は,オムツ交換に携わる看護・介護職員76名にオムツ交換の難易度を患者毎に5段階で評価した。関節可動域は股関節屈曲・伸展・外転,膝関節伸展,体幹回旋を計測した。排泄状況は,オムツのもれ・下痢便・多量便の回数を16日間にわたり調査した。統計解析は,5段階で評価した患者の難易度の中央値と関節可動域ともれ・下痢便・多量便の回数,体重・身長・BMIとの相関関係をスピアマンの順位相関係数を用いて全患者と中央値2点以上の患者45名をそれぞれ検索した。




【結果】

オムツ交換の難易度と中等度相関(r>|0.4|)のあった項目は,全患者では股伸展,膝伸展,股伸展+外転,股伸展+膝伸展,股屈曲+伸展+外転+膝伸展,股外転+膝伸展+体幹回旋,股屈曲+伸展+膝伸展+体幹回旋,股屈曲+伸展+外転+膝伸展+体幹回旋の8項目であった(p値は全て<0.01)。

2点以上の患者では,股屈曲+伸展,股屈曲+伸展+外転+体幹回旋,股屈曲+伸展+外転+膝伸展,股屈曲+伸展+膝伸展+体幹回旋,股屈曲+伸展+外転+膝伸展+体幹回旋の5項目であった(p値は全て<0.01)。




【結論】

今回オムツ交換と関節可動域と臨床事項の相関関係を調査したが,関節可動域との関連が明らかになった。全患者では股伸展と膝伸展が係わる項目が多く,中央値2点以上の患者では股屈曲・伸展が多く係わっていた。特に2点以上の患者では股関節屈曲拘縮が多く屈曲から伸展の範囲がオムツ交換の難易度に関連していた。体幹回旋と股外転との関連では,他の可動域と組み合わせることで関連が増しすべての可動域が重要と考えられた。体重とBMIは弱い相関が認められ,排泄状況と漏れについて相関は認められなかった。漏れの後処理は大変な作業であるが,評価した看護・介護職員がオムツ交換回数よりオムツ交換の難易度が優先されると考えられた。下痢便とは弱い相関関係を認め,漏れ自体は便より尿によるものが多く,オムツの装着方法や素材も関係しているのではないかと考えられた。

オムツ交換を容易にするには,下肢を伸展位に保つようなポジショニングと股屈曲と伸展の可動域の確保・拡大が大切である。