The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-11] ポスター(地域)P11

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-11-1] 大腿骨近位部骨折術後症例における,受傷時施設入所者の身体機能と受傷状況の特徴および再入所の可否に関わる要因

小川 幸恵, 中山 裕子, 野嶋 素子, 保地 真紀子 (新潟中央病院リハビリテーション部)

Keywords:大腿骨近位部骨折, 身体機能, 転帰

【目的】

施設入所者における大腿骨近位部骨折の受傷状況及び,再入所の可否に関連する身体機能,認知機能を明らかにするとともに,施設ごとの特徴について検討する。

【方法】

対象は2014.3~16.9に入院した大腿骨近位部骨折症例580名中,受傷時施設入所者113名(ショートステイ:以下SS群42名,特別養護老人ホーム:特養群33名,グループホーム:GH群20名,介護老人保健施設:老健群18名)とした。受傷前・退院時移動能力及び移乗介助量,MMSE得点,認知症周辺症状の有無,受傷状況,再入所の可否について後方視的に調査し比較検討した。統計解析は一元配置分散分析,χ2検定を用い,有意水準は5%とした。

【結果】

移動能力は,受傷前SS群歩行自立22名,介助11名,車椅子9名,特養群9名,6名,18名,GH群13名,6名,1名,老健群9名,4名,5名,退院時は,SS群0名,4名,38名,特養群0名,2名,31名,GH群0名,1名,19名,老健群0名,0名,18名であり,受傷前のみ施設間に有意差を認め,特養群は車椅子使用者が多かった。認知機能について,MMSE得点は,SS群9.6±6.0点,特養群6.9±4.5点,GH群8.5±4.6点,老健群8.8±5.4点,周辺症状は,SS群なし24名,あり18名,特養群14名,19名,GH群11名,9名,老健群8名,10名で共に差を認めなかった。受傷状況は,排泄に伴う転倒が全体の25%(SS群26%,特養群27%,GH群20%,老健群27%),ベッド周囲の転倒が19%(17%,18%,20%,11%)であった。誘因なく骨折を来した症例は全体の7%(2%,15%,0%,11%)に見られ,特養群に多くGH群では見られなかった。再入所の可否に関して,再入所しなかった症例は,SS群42名中9名,特養群33名中1名,GH群20名中3名,老健群18名中1名で,転帰先は,SS群は他施設,転院8名,自宅1名,GH群は他施設3名であった。老健群,特養群は転院,死亡退院であった。SS群とGH群の再入所群と他施設への入所を比較すると,移乗に2人以上の介助を要した症例が,SS群は再入所群33名中9名(27%),他施設への入所8名中2人(25%)と同程度であったが,GH群では再入所群17名中4名(24%)に対し,他施設への入所3名中2名(67%)と多かった。また周辺症状を呈した症例は,SS群は再入所群33名中12名(36%),他施設への入所8名中5名(63%),GH群はそれぞれ17名中7名(41%),3名中2名(67%)と,両施設とも他施設への入所が多かった。

【結論】

受傷状況は施設ごとに違いが見られ,排泄に伴う転倒やベッド周囲の転倒はどの施設でも一定数見られたのに対し,誘因なく骨折を来した症例は特養に多くGHでは見られなかった。これは両施設の移動能力に差を認めたことから,身体機能の違いが関係していると考えられた。再骨折の予防にはこれらの特徴をふまえた対策が必要である。再入所の可否に関しては,SSは認知症周辺症状の有無が,GHでは周辺症状の有無に加え,移乗の介助量が関与していることが考えられた。