The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

Presentation information

日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-11] ポスター(地域)P11

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-11-2] 入院でリハビリテーションを利用した高齢者における療養場所移行パターンの実態

光武 誠吾1, 石崎 達郎1, 田宮 菜奈子2 (1.東京都健康長寿医療センター研究所福祉と生活ケア研究チーム, 2.筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ)

Keywords:高齢者, 移行期ケア, レセプトデータ

【はじめに,目的】

入院中にリハビリテーションを受けた高齢者は,入院治療終了後,よりふさわしいケアを受けるために他の医療機関や介護施設,在宅への移行が求められる。本研究では,入院後の療養場所移行を安全かつ効率的に進める方策を検討するために,医療・介護レセプトデータを用い,入院中にリハビリテーションを利用した高齢者を対象として,入院後半年間の療養場所移行パターンの実態把握を目的とする。


【方法】

分析データは,自治体A(人口約40万人,高齢化率22%)における後期高齢者の医療レセプトデータと介護レセプトデータ(平成24年4月から平成25年9月分)である。平成24年4月から平成25年3月までの間に入院で疾患別リハビリテーションを利用した者全員を抽出した。該当者の医療レセプトデータと介護レセプトデータを結合し,入院から1ヶ月後,3ヶ月後,6ヶ月後の療養場所と6ヶ月後までの療養場所移行パターンを把握した。次いで,頻度の高い療養場所移行パターンを特定し,χ2検定と残差分析を用いて,性・年齢階級別(75-79歳,80-84歳,85-89歳,90歳以上)に療養場所移行パターンの差異を分析した。


【結果】

入院で疾患別リハビリテーションを利用した者は1,867名(男性:40.3%,平均年齢85.3±6.4歳)で,内訳は心大血管リハ1.5%,脳血管リハ44.3%,運動器リハ47.5%,呼吸器リハ6.6%だった。入院から6ヶ月後までに1度でも在宅に移行した者は,男性74.9%,女性では69.9%だった。年齢階級別では,男女ともに90歳以上でその割合は低かった。入院から6カ月後までの療養場所の移行回数は,男性で0回11.4%,1回81.0%,2回以上7.6%,女性で0回12.5%,1回78.9%,2回以上8.3%であった。性・年齢階級別では,2回以上の移行は男女ともに90歳以上で高かった(男性10.4%,女性10.8%)。療養場所移行パターンは,1ヶ月後に同一病院から在宅に移行した者の割合は41.1%と最も高く,性・年齢階級別では,男性42.8%(年齢階級:36.0%~48.4%),女性40.0%(同:29.9~51.6%)と,女性において,75-79歳で有意に高く(調整済残差=3.2),90歳以上で有意に低かった(調整済残差=-4.6)。次いで3ヶ月後に同病院から在宅に移行した者の割合は,男性21.9%(年齢階級:20.9%~27.2%),女性21.2%(同:15.9~22.4%)と,男性において,85-89歳で有意に高く(調整済残差=2.0),80-84歳で有意に低かった(調整済残差=-1.9)。1ヶ月後に同病院から介護施設に移行した者の割合は,男性5.8%(年齢階級:3.3%~11.2%),女性9.3%(同:3.8~14.5%)と,男性の90歳以上で有意に高く(調整済残差=2.8),女性では75-79歳と80-84歳で有意に低く(共に調整済残差=-2.6),90歳以上で有意に高かった(調整済残差=4.0)。


【結論】

性別,年齢階級別で療養場所移行パターンに差が生じている可能性が示唆された。今後,追跡期間の延長と再入院を考慮した分析が必要である。