The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-11] ポスター(地域)P11

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-11-3] 一般内科病棟に入院した廃用症候群患者の自宅退院に関連する要因の検討

星本 諭, 諸江 伸龍, 原 大志 (永生病院リハビリテーション部)

Keywords:一般内科病棟, 廃用症候群, 自宅退院

【はじめに,目的】

当院では一般病棟に入院している廃用症候群患者の早期自宅退院を促している。今回,一般病棟からの早期自宅退院を促進するため,廃用症候群患者の自宅退院に関する要因を後方視的に検討した。


【方法】

対象は,病前は自宅で生活しており2014年4月から2015年3月までの間に当院に入院し,リハビリテーションが実施された廃用症候群患者64例とした。

抽出した要因は転帰と入院期間,入院時の年齢,性別,本人意向,家族意向,世帯状況,要介護度,主な既往歴,身長,体重,BMI,さらに入退院時の栄養摂取方法,Alb,TP,ALT,AST,Hb,CRP,WBC,BNP,E/A,EF,eGFR,RBC,FIMを診療録等から後方視的に調査した。

分析は自宅退院群43例(年齢80.2±9.5歳,男性16例,女性27例)と,療養施設や老健施設等に退院したその他群21例(年齢86.6±6.4歳,男性9例,女性12例)に2群化した。統計処理は,全ての数量データをShapiro-Wilk検定で正規性を確認した後,2群間の各要因をχ2乗検定,対応のないt検定,Munn-WhitneyのU検定で比較した。


【結果】

自宅退院/その他の群間で差が見られた要因は,入院期間56.8±44.8/85.5±54.2日(p<0.05)と自宅退院群の方が早期退院していた。年齢は80.2±9.5/86.6±6.4歳(p<0.01)と自宅退院群が若年だった。

体重48.3±9.5/39.1±8.6kg(p<0.01),BMI20.3±3.9/17.4±4.1kg/m2(p<0.01),入院時Alb3.5±0.5/3.0±0.5g/dl(p<0.01),退院時Alb3.4±0.4/2.9±0.5 g/dl(p<0.01),退院時TP6.7±0.8/6.2±0.7 g/dl(p<0.05)であり,自宅退院群の方が栄養状態は良好だった。入院時WBC5700.6±1900.3/7600.1±3600.1μl(p<0.05)は自宅退院群の方が低かった。

心機能指標では,入院時E/A0.71±0.15/0.62±0.16(p<0.05)と自宅退院群が有意に高値を示していた。又,有意差は認めないが入院時EF69.6±9.9/69.9±5.8%,入院時BNP89.1±93.8/125.5±205.2pg/mlであり,入院前から心機能が低下したままで自宅で日常生活を送っていたことが推察され,自宅退院には心拡張能が影響していることが示唆される。

退院時FIMは運動合計54.7±22.5/32.3±19.5点(p<0.01),認知合計25.0±8.0/18.2±6.8点(p<0.01)と自宅退院群が高かった。細項目でも入院時浴槽移乗,入院時階段以外の全ての項目で自宅退院群が有意に高値を示した。


【結論】

自宅退院群は入院時の年齢が若く,栄養状態が良好,WBC低値,心拡張能の影響が示唆された。退院時も栄養状態や,FIM得点が高値だった。これらの要因を参考にして,早期からの退院支援,転帰について検討することで,廃用症候群患者の早期自宅退院の一助となれば幸いである。