The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-11] ポスター(地域)P11

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-11-4] 寝たきり状態の患者に対するポジショニングが身体可動域へもたらす効果の検証
~頚部に対するオーダーメイド枕の作成を中心とした検討~

東 真紀, 吉田 美沙希, 濱川 仁美, 坪内 美幸, 井出 わかな (江藤病院リハビリテーション部)

Keywords:ポジショニング, 寝たきり状態, オーダーメイド枕

【はじめに,目的】

近年長期療養型施設に入院する患者様の中に,寝たきり状態の廃用症候群予防が必要とされているが,特に関節拘縮の予防が困難となっている原因の一つに適切なポジショニングが実施できていないことが挙げられる。特に頚部に関しては適切なポジショニングが実施困難な場合が多く,頚部周囲筋の過緊張による頚部過伸展位が誤嚥性肺炎の発症・再発の要因であると報告されている。本研究では,①多職種の現状を実態調査し,現状の把握と課題の抽出を実施,②対象症例へのポジショニング対応策の検討を実施し,適切なポジショニングが身体,特に頚部への機能的改善にどのような効果をもたらすのかについて検討を行った。今回,その結果を報告する。

【方法】

当院医療療養病棟に入院中の症例11名(男性:3名 女性:8名 平均年齢:83.9±10.3歳)で,ベッド上仰臥位の状態で頚部に可動域制限を呈している症例を対象とした。症例11名は日常生活自立度B2以下の状態である。①多職種に対するアンケート調査とポジショニングに関するテストを行い,それから集計した結果によるポジショニング・ミニ講義を多職種全員へ実施した。②①と同時並行で対象症例へのポジショニング方法の検討,クッション等のポジショニングに必要な用具の選定を実施した。③枕の作成時には頭頂部~肩甲下角までの距離・脊柱彎曲状態を測定する為に専用スケールを用いた。④全スタッフへの講義終了時点で研究開始となり,その際に再テストを実施・集計した。対象症例には2ケ月に1回の関節可動域測定(手指・足趾を除く)を実施。期間は2015年10月~2016年6月の約8か月間とした。頚部関節可動域測定では,円背による生理的彎曲が破綻している状態であった為,前・後屈の測定には第7頚椎棘突起と耳孔を結んだ線上を軸心とし,前・後屈可動範囲を紙面上に起こしたものを分度器にて測定。また,脊椎後彎の強さを測定する為に座位円背指数を③の際に使用した専用スケールを用い算出した。頚部の筋緊張に対しては筋硬度計(NEUTONE)を用い3回測定した値の中央値を測定値とした。

【結果】

他職種へのミニ講義実施前後の点数,各関節可動域・筋硬度の開始前後の値を比較する際にWilcoxonの符号付順位和検定を用いた。有意水準は5%未満とした。多職種へ実施したテストはミニ講義実施前後で有意差がみられた(P<0.01)。また,頚部可動範囲・左膝屈曲(P<0.05),左肩外転・右肩筋硬度(P<0.01)にも有意差がみられた。

【結論】

今回の研究で関節可動域に改善がみられた。しかし,他職種共同での取り組みであった為,技術面での統一が困難な場面がみられた為,著明な改善を得ることは困難であった。今後は頚部の側屈・回旋に関与する因子や褥創・肺炎発生との関係性について検討する必要があると考えられる。