[P-TK-11-5] 10m歩行時間と10m歩行時間の運動イメージが退院後1ヶ月の患者の活動範囲に与える影響
Keywords:活動範囲, 歩行時間, 運動イメージ
【はじめに,目的】
退院後の患者について,先行研究によりADLが低下する恐れがあると報告がある。浜岡らは,低活動者と要介護認定者で活動範囲が狭くなったと報告しており,ADLと活動範囲には関連性がある。患者のADL向上は,退院後の活動範囲を広げることができ,理学療法士の重要な役割の一つである。活動範囲に影響を及ぼす一因として,運動イメージがある。山田は,運動イメージの低下は,ADLや活動範囲を低下させる一要因となると報告した。退院後の患者は身体状況が徐々に低下する恐れがあり,患者の身体能力だけでなく,運動イメージを評価し退院後の活動範囲を予測する必要があると考えた。本研究は,回復期リハビリテーション病棟を退院する患者に対して運動イメージの評価を行い,退院1ヶ月後の活動範囲に関連性があるか検証することを目的とした。
【方法】
対象は,当院へ入院し屋内歩行が歩行補助具の有無に関わらず見守りから自立で退院した7例であった。方法は,対象者の10m歩行の実測時間とMental Chronometry(以下,MC)を,環境の違う3箇所で計測した。10m歩行は,速度を設定しない歩行(以下,10m快適歩行時間)と,なるべく最速で行う設定をした歩行(以下,10m最大歩行時間)の2種類を計測した。MCは,対象者を椅子に座らせた状態で10mの歩行路を見せ,自らが歩行している姿をイメージするよう説明し,対象者に歩行の開始から終了までをストップウォッチにて計測させた。運動イメージの評価は,10m歩行の実測時間とMCを計測しMCから実測時間を除したM/A比を算出した。退院後1ヶ月が経過した際に,Life Space Assessment(以下,LSA)と転倒についての質問紙を郵送しアンケート調査を行った。統計処理は,IBM SPSS statistics Ver.23を使用し,Pearsonの相関係数を行った。
【結果】
10m快適歩行時間のM/A比とLSAはr=0.664と弱い相関を示し,10m最大歩行時間のM/A比とLSAはr=0.799と強い相関を示し有意差を認めた。10m快適歩行時間とLSAはr=0.880,10m最大歩行時間とLSAはr=0.829と強い相関を示し,有意差を認めた。
【結論】
10 m快適歩行時間と10m最大歩行時間はどちらもLSAの総得点と強い相関を示し,運動イメージにおける活動範囲の影響は,10m歩行時間に比べ少ないことが示された。佐直らは,10m歩行時間はADLの予知に有用であると報告した。10m歩行時間がADLに関連していることは周知されており,運動イメージを加えることなく,退院後のADLは予測できる可能性がある。しかし,10m最大歩行時間のM/A比とLSAは,強い相関を示し有意差を認め,快適歩行時間のM/A比も弱い相関を認めた。Pageらは,脳卒中を呈した患者において,運動イメージの練習を併用した群でADLの変化があったことを報告した。運動イメージは退院後の活動範囲に影響があることが示唆され,退院後の活動範囲を予測するため,10m歩行時間だけでなく運動イメージを用いた評価の必要性がある。
退院後の患者について,先行研究によりADLが低下する恐れがあると報告がある。浜岡らは,低活動者と要介護認定者で活動範囲が狭くなったと報告しており,ADLと活動範囲には関連性がある。患者のADL向上は,退院後の活動範囲を広げることができ,理学療法士の重要な役割の一つである。活動範囲に影響を及ぼす一因として,運動イメージがある。山田は,運動イメージの低下は,ADLや活動範囲を低下させる一要因となると報告した。退院後の患者は身体状況が徐々に低下する恐れがあり,患者の身体能力だけでなく,運動イメージを評価し退院後の活動範囲を予測する必要があると考えた。本研究は,回復期リハビリテーション病棟を退院する患者に対して運動イメージの評価を行い,退院1ヶ月後の活動範囲に関連性があるか検証することを目的とした。
【方法】
対象は,当院へ入院し屋内歩行が歩行補助具の有無に関わらず見守りから自立で退院した7例であった。方法は,対象者の10m歩行の実測時間とMental Chronometry(以下,MC)を,環境の違う3箇所で計測した。10m歩行は,速度を設定しない歩行(以下,10m快適歩行時間)と,なるべく最速で行う設定をした歩行(以下,10m最大歩行時間)の2種類を計測した。MCは,対象者を椅子に座らせた状態で10mの歩行路を見せ,自らが歩行している姿をイメージするよう説明し,対象者に歩行の開始から終了までをストップウォッチにて計測させた。運動イメージの評価は,10m歩行の実測時間とMCを計測しMCから実測時間を除したM/A比を算出した。退院後1ヶ月が経過した際に,Life Space Assessment(以下,LSA)と転倒についての質問紙を郵送しアンケート調査を行った。統計処理は,IBM SPSS statistics Ver.23を使用し,Pearsonの相関係数を行った。
【結果】
10m快適歩行時間のM/A比とLSAはr=0.664と弱い相関を示し,10m最大歩行時間のM/A比とLSAはr=0.799と強い相関を示し有意差を認めた。10m快適歩行時間とLSAはr=0.880,10m最大歩行時間とLSAはr=0.829と強い相関を示し,有意差を認めた。
【結論】
10 m快適歩行時間と10m最大歩行時間はどちらもLSAの総得点と強い相関を示し,運動イメージにおける活動範囲の影響は,10m歩行時間に比べ少ないことが示された。佐直らは,10m歩行時間はADLの予知に有用であると報告した。10m歩行時間がADLに関連していることは周知されており,運動イメージを加えることなく,退院後のADLは予測できる可能性がある。しかし,10m最大歩行時間のM/A比とLSAは,強い相関を示し有意差を認め,快適歩行時間のM/A比も弱い相関を認めた。Pageらは,脳卒中を呈した患者において,運動イメージの練習を併用した群でADLの変化があったことを報告した。運動イメージは退院後の活動範囲に影響があることが示唆され,退院後の活動範囲を予測するため,10m歩行時間だけでなく運動イメージを用いた評価の必要性がある。