The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-12] ポスター(地域)P12

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-12-3] 地域在住女性高齢者における近隣環境が歩行に与える影響

黒田 悠加, 上出 直人, 坂本 美喜, 柴 喜崇 (北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科理学療法学専攻)

Keywords:地域在住高齢者, 5m快適歩行時間, 環境

【はじめに,目的】近年,身体活動(PA)と近隣環境との関係が報告され,PAと「近所の歩道の有無」・「近所の景観の良さ」などとの関係があることが明らかにされつつある(Inoue, 2011)。ところで,国際機能分類(ICF)では生活機能と背景因子間は相互補完的とされているが,活動と環境因子間の関連を実証的に明らかにした研究は見当たらない。本研究の目的はICF分類の活動(歩行)と背景因子(環境因子)との相互関係を実証研究において明らかにする事である。

【方法】対象者は,65歳以上の要介護認定を受けていない地域在住女性高齢者168名(平均年齢70.4±4.1歳)である。なお,対象者の募集は広報誌と新聞の折り込み広告により行った。調査は会場での自記式アンケートと快適条件5m歩行時間の測定を行った。アンケートの内容は,年齢,体格指数,主観的健康感,抑うつ評価(GDS-5)に加え,近隣環境評価としてInternational Physical Activity Questionnaire Environmental Module(以下,IPAQ-E)から抽出した7項目とした。IPAQ-Eから抽出した項目は,①居住密度,②近所のスーパーや商店街へのアクセス,③近所の歩道の有無,④近所の運動場所の有無,⑤近所の交通量,⑥近所の運動実施者の有無,⑦近所の景観の良さとし,それぞれの環境に対する主観的な評価を調査した。

IPAQ-Eの各項目の回答は,先行研究(Inoue, 2011)を基に2群の名義尺度に変換し,その後の解析に用いた。統計学的解析では,Pearsonの相関係数または対応の無いt検定を用いて,快適条件5m歩行時間と有意に関連する変数を分析した。その後,快適条件5m歩行時間と統計学的に有意な関連の認められた変数を独立変数とし,快適条件5m歩行時間を従属変数とする重回帰分析を行った。なお,統計学的有意水準は5%とした。

【結果】快適条件5m歩行時間と有意な関連が認められた変数は,年齢(p<0.01),BMI(p<0.05),近所の交通量(p<0.05),近所の景観の良さ(p<0.01)であった。その他の変数は,いずれも快適条件5m歩行時間と有意な関連は認められなかった。重回帰分析の結果,年齢(p<0.01),BMI(p<0.05),近所の交通量(p<0.05),近所の景観(p<0.01)の全ての変数が5m歩行時間と有意に関連した(R2=0.16)。すなわち,年齢が若い,BMIが低い,近所の交通量が少ない,近所の景観が良いと快適条件5m歩行が速い事が示された。

【結論】地域在住女性高齢者では,近所の交通量の少なさ,近所の景観の良さといった近隣環境因子と快適条件5m歩行時間が速い事に関連が認められた。