The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-13] ポスター(地域)P13

Sat. May 13, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-13-1] 退院前後における身体活動量の変化と心身機能・生活範囲の関連性

佐藤 貴之, 富井 敬太, 服部 純子, 村田 智恵, 谷口 良輔, 杉本 菜奈子, 五十川 由多佳, 伊藤 洋平, 一色 高彰, 山中 元樹, 小崎 琢也, 岡本 峰生 (医療法人社団主体会小山田記念温泉病院)

Keywords:身体活動量, 心身機能, 生活範囲

【はじめに,目的】

当院回復期病棟退院後の自宅生活において入院時よりも身体活動量が低下している症例がしばしばみられる。一方で,入院中から自宅退院後に身体活動量の変化を捉え心身機能や生活範囲と関連付けている報告は少ない。そこで,本研究では身体活動量計を用いて,回復期病棟入院中と在宅生活の身体活動量を計測し,その変化と心身機能,生活範囲との関連性を検討した。



【方法】

本研究の対象は,平成26年12月から平成27年12月に回復期病棟から在宅へ退院した者20名(男性7名,女性13名,平均年齢76.5±10歳,運動器疾患10名,脳血管疾患10名)を対象とした。除外基準は,1)病棟内歩行が自立しなかった者,2)身体活動量計の自己管理が不十分な者とした。

調査項目は,性別,年齢,疾患名,既往歴,発症日,在院日数,Body Mass Index,回復期病棟入院中のリハビリテーション総実施量(以下,リハ実施量)とした。評価は,退院直前と退院1か月後に身体活動量の指標として歩数を計測し,評価期間は1週間とした。歩数は身体動量計(スズケン社,ライフコーダ)を各評価期間の睡眠時,入浴時以外に装着し計測した。退院直前評価は,Functional Independence Measure(以下,FIM),膝伸展筋力(アニマ社μ-tas MF-01),握力,6分間歩行テスト,最速10m歩行(以下,10m歩行),Timed Up and Goテスト(以下,TUG),Berg Balance Scale(以下,BBS),30-seconds chair stand testを実施した。退院後評価は,Apathy Scale(以下,やる気スコア),Life space Assessment(以下,LSA),Fall Efficacy Scale(以下,FES)を実施した。

歩数は1週間計測したものから1日当たりの平均歩数を算出した。退院1ヶ月後の歩数(以下,自宅歩数)から退院直前時の歩数(以下,在院時歩数)を差し引いたものを歩数の変化量(以下,歩数変化量)とした。統計は,在院時歩数と自宅歩数の比較は,t検定を用いた。歩数変化量との関連性については,性別やFIM,BBS,やる気スコア,LSA,FESはSpearmanの順位相関係数を用い,以外はPearsonの相関係数を用いた。有意水準は5%未満とした。統計学的解析はIBM SPSS Statistics 22を用いた。





【結果】

在院時歩数は4887±2962歩,自宅歩数は3554±3057歩であり,有意に減少(-1333±2605歩)した(p=0.03)。

歩数変化量と患側膝伸展筋力(r=0.52*),健側握力(r=0.50*),10m歩行(r=-0.61**),TUG(r=-0.50*),リハ実施量(r=-0.56*)が有意な相関を認めた。やる気スコアとLSA,FESは有意な相関は認められなかった(*:p<0.05,**:p<0.01)。





【結論】

本研究結果より,退院後の身体活動量は精神面や生活範囲と関与せず,筋力や歩行能力が関連した。退院後の身体活動量を維持するためには入院中の積極的なリハビリ実施が重要であることが示唆された。