The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-13] ポスター(地域)P13

Sat. May 13, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-13-2] 体脂肪率と2STEP,CS30との関係
~埼玉県八潮市の企業における身体計測を通して~

新井 龍一, 勝呂 加奈子, 傳谷 綾子 (八潮中央総合病院)

Keywords:体脂肪率, 2STEP, CS30

【はじめに,目的】

当院では勤労者が生き生きと働けるように「障害予防と健康の保持・増進」を提唱し,地域活動の一環として八潮市の企業との契約を結び,身体計測と健康講座を年2回ずつ行っている。会議を通して企業側のニーズは「脂質の減少」であった。また現場の意見を反映させるために職員にアンケートを実施した結果,「体脂肪率を改善したい」と答えた職員が多かった。一時はメタボリックシンドロームと診断された市民が2割を超えたとされる八潮市としても肥満の改善は急務だと思われる。そこで今回は身体計測から得られたデータをもとに体脂肪に影響を与える身体評価の検討として,体脂肪率と2STEP,CS30に関連性があるかを検討したため報告する。

【方法】

対象は八潮市にある一企業の社員,約300名とし在中する保健師が公募し同意を得た職員83名とした。その内,腰痛の為に評価が行えなかった1名を除いた82名(男性70名,女性12名,平均年齢45.7±9.1歳,身長170.2±6.4cm,体重66.7±9.2kg)とした。測定は社内にある会議室で行い,3日間同時刻に行った。体脂肪率はInBody(InBody230)を用いて,2STEPテストとCS30はロコモティブシンドロームの評価を参考に実施した。2STEPテストは日本整形外科学会の評価法に基づき,両足を閉じた立位からできる限りステップをさせた。バランスを崩し静止立位が取れなかった場合は再度測定を行った。2STEP値は記録した値を身長で除した値を採用した。CS30は座位にて両腕を胸の前に組み,両膝が完全に伸展するまでの立ち上がりを1回とし,ストップウォッチで30秒間計測を行った。

統計処理として体脂肪率と2STEP,CS30の関係をみるために相関係数を求めた。検定に先立って,データが正規分布に従うかどうかをShapiro-Wilk検定で確認した。有意水準はp=0.05とし解析のためにSPSSver.23を用いた。なおG*power 3を用いて,検出力分析を行い(有意水準α=0.05,検出力0.8,効果量0.3)必要標本数は82例以上と算出された。

【結果】

体脂肪率は22.9±6.6%となり,体脂肪量が「高」とされたのが45.1%であった。2STEP値は1.51±0.1,CS30は32±4.5であり,CS30において正規性が確認できなかったため,Spearmanの相関係数を求めた。体脂肪率と2STEP値に有意な相関は認められず,体脂肪率とCS30に有意な相関を認めた(r=-0.31,p<0.01)。加えて2STEPとCS30に有意な相関を認めた(r=0.45,p<0.01)。

【結論】

今回体脂肪率と2STEP,CS30に関係があるかを検討した。体脂肪率とCS30にやや相関がみられた。2STEPとCS30ではより相関が強くみられているにもかかわらず,体脂肪率と2STEP値に有意な相関を認めなかった。CS30は筋力や瞬発力,2STEPはバランスや柔軟性を特に現していると考えられることから,より筋力を示す身体評価指標が体脂肪率との関係を示す指標であると考える。勤労者のニーズは高齢者とは異なる。よってどのような評価が勤労者のニーズに合致するかを検討することは重要であると考える。