[P-TK-14-2] 児童期における自覚的な日中の眠気と身体活動の関連
Keywords:就学児童, 身体活動量, 日中の眠気
【はじめに,目的】
文部科学省は,現代社会における情報機器の発達やライフスタイルの変化による児童の睡眠時間の短縮や身体活動の低下など,生活習慣の乱れについて指摘している。その中で,授業中の眠気についても問題として提起している。自覚的な日中の眠気(Subjective Daytime Sleepiness;SDS)は,注意力の低下,学習障害や学業不振の原因となることが報告されており,教育場面におけるSDSの対策が重要である。しかし,本邦における児童期のSDSの出現頻度は明らかでなく,その関連要因は十分にエビデンスが蓄積されているとは言いがたい。特に,身体活動とSDSは関連すると考えられるが,この関連を報告した研究は極めて少ない。本研究の目的は,児童期におけるSDSの出現頻度について調査し,SDSと身体活動との関連を明らかにすることである。
【方法】
対象者は,神戸市内の小学4年生~6年生の350名のうち,データに欠損がなかった314名(平均年齢10.5歳;男児52.9%)とした。SDSは,先行研究を用いて,「あなたは日中,眠気を感じますか?」の問いに4件法で回答し,「いつも」,「よく」と回答した者を「SDS有り群」,「ときどき」,「全くない」と回答した者を「SDS無し群」に群分けした。身体活動は,日本語版Physical Activity Questionnaire for Older Children(PAQ-C)を用いて調査した。PAQ-Cは1.00~5.00点で身体活動を得点化し,得点が高いほど身体活動が多いことを示す。その他の一般情報については,自己記入式質問紙と身体測定データを用いて調査した。統計解析は,SDSと身体活動との関連を検討するため,従属変数をSDSの有無,独立変数をPAQ-Cの得点として,単変量ロジスティック回帰分析を行った。その後,先行研究から交絡変数を学年,性別,BMI,夜間の小型電子機器の使用の有無,睡眠時間とした強制投入法による多変量ロジスティック回帰分析を行った。
【結果】
SDS有りと回答した児童は,4年生が10.8%,5年生が25.2%,6年生が28.6%であった。単変量ロジスティック回帰分析において,PAQ-Cの得点が高いことは,SDSがないことと有意に関連していた(オッズ比:0.67,95%信頼区間:0.47-0.95)。また,多変量ロジスティック回帰分析においても,PAQ-Cの得点とSDSの有無は,有意に関連していた(オッズ比:0.59,95%信頼区間:0.39-0.89)。
【結論】
本研究の結果より,児童期の学年進行に伴いSDSを有している割合が高く,身体活動が少ないものはSDSを有することと関連していた。身体活動の向上に対する介入によりSDSの改善が図れる可能性が示唆された。
文部科学省は,現代社会における情報機器の発達やライフスタイルの変化による児童の睡眠時間の短縮や身体活動の低下など,生活習慣の乱れについて指摘している。その中で,授業中の眠気についても問題として提起している。自覚的な日中の眠気(Subjective Daytime Sleepiness;SDS)は,注意力の低下,学習障害や学業不振の原因となることが報告されており,教育場面におけるSDSの対策が重要である。しかし,本邦における児童期のSDSの出現頻度は明らかでなく,その関連要因は十分にエビデンスが蓄積されているとは言いがたい。特に,身体活動とSDSは関連すると考えられるが,この関連を報告した研究は極めて少ない。本研究の目的は,児童期におけるSDSの出現頻度について調査し,SDSと身体活動との関連を明らかにすることである。
【方法】
対象者は,神戸市内の小学4年生~6年生の350名のうち,データに欠損がなかった314名(平均年齢10.5歳;男児52.9%)とした。SDSは,先行研究を用いて,「あなたは日中,眠気を感じますか?」の問いに4件法で回答し,「いつも」,「よく」と回答した者を「SDS有り群」,「ときどき」,「全くない」と回答した者を「SDS無し群」に群分けした。身体活動は,日本語版Physical Activity Questionnaire for Older Children(PAQ-C)を用いて調査した。PAQ-Cは1.00~5.00点で身体活動を得点化し,得点が高いほど身体活動が多いことを示す。その他の一般情報については,自己記入式質問紙と身体測定データを用いて調査した。統計解析は,SDSと身体活動との関連を検討するため,従属変数をSDSの有無,独立変数をPAQ-Cの得点として,単変量ロジスティック回帰分析を行った。その後,先行研究から交絡変数を学年,性別,BMI,夜間の小型電子機器の使用の有無,睡眠時間とした強制投入法による多変量ロジスティック回帰分析を行った。
【結果】
SDS有りと回答した児童は,4年生が10.8%,5年生が25.2%,6年生が28.6%であった。単変量ロジスティック回帰分析において,PAQ-Cの得点が高いことは,SDSがないことと有意に関連していた(オッズ比:0.67,95%信頼区間:0.47-0.95)。また,多変量ロジスティック回帰分析においても,PAQ-Cの得点とSDSの有無は,有意に関連していた(オッズ比:0.59,95%信頼区間:0.39-0.89)。
【結論】
本研究の結果より,児童期の学年進行に伴いSDSを有している割合が高く,身体活動が少ないものはSDSを有することと関連していた。身体活動の向上に対する介入によりSDSの改善が図れる可能性が示唆された。