The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-15] ポスター(地域)P15

Sat. May 13, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-15-3] 家族介護教室前後比較による介護負担感の変化

佐藤 斎1, 講内 源太2, 菊池 奏恵3, 高島 恵4, 袴田 徹5 (1.合同会社リハビリコンパス地域リハビリケアセンターこんぱす春日部, 2.医療社団法人愛友会訪問看護ステーションゆーらっぷ, 3.社会福祉法人若竹大寿会介護老人保健施設リハリゾート青葉, 4.学校法人康学舎上尾中央医療専門学校教育部理学療法学科, 5.合同会社リハビリコンパス)

Keywords:介護負担感, 家族介護教室, 地域包括ケアシステム

【はじめに,目的】

老老介護やシングル介護による介護負担や介護疲れから,近年では事件に発展し大きな社会問題となっている。そのため理学療法士は地域包括ケアシステムに参画し,自助と互助の観点から住民同士が支え合う仕組み作りを行うことは大切である。先の研究では,主介護者の介護負担感と認知症の理解度に着目し,介護負担要因を検討した所,認知症の知識を持たない事が,介護を必要とする状況に対する否定的な感情が高くなることが示唆された。今回はこの内容を踏まえ,介護の知識を伝達する機会と介護をしている家族同士が介護の悩みを共有できる機会を家族介護教室という形で提供し,教室前後の介護負担感の変化を検討した。

【方法】

当法人の通所介護を利用している主介護者を対象に,「立ち上がりの介助方法の指導」というテーマの家族介護教室と家族同士の交流の場を提供した(計2時間程度)。参加した主介護者10名のうち,本研究に同意の得られた10名を対象とした。主介護者には教室参加1週間前と参加1ヶ月後に介護負担感評価として8項目の質問からなるZarit介護負担尺度短縮版(以下:J-ZBI_8)を用い,総得点(8項目32点満点)および,下位尺度である「介護を必要とする状況に対する否定的な感情」Personal strain(5項目20点満点,以下:PS)と「介護によって社会生活に支障を来している程度」(Role strain3項目12点満点,以下:RS)の2群の値を算出した。また,教室後には主介護者にアンケートを行い,満足度と今後の教室参加意欲を調査した。本研究における主介護者は,コミュニケーションに問題がないものとした。J-ZBI_8の前後比較とアンケート結果を調査した。統計処理はR version2.8.1を使用し,対応のあるt検定を行った。統計学的有意水準は5%未満とした。

【結果】

教室前後でのJ-ZBI_8とPSとRSの間では,有意差を認めなかった。アンケートに関して,「今回の家族介護教室に参加して良かったと思いますか」では,「大変満足した50%」「満足した50%」,「家族介護教室に今後も参加したいと思いますか」では,「参加したい80%」「できれば参加したい20%」という結果であった。

【結論】

単発の教室参加では介護負担感に有意差を認めないが,参加者全員の満足度が高く継続して参加したいという結果であった。家族の介護負担を軽減するため,自助と互助を考え地域に家族介護教室を開催していくことは,介護の社会問題や地域包括ケアシステムの構築に有用である。そのため理学療法士は,家族が抱える介護の問題点をアセスメントし,ニーズを把握して指導することが求められる。そして,継続して家族が集まれる場作りが介護負担を軽減する事に繋がると考えられる。