第52回日本理学療法学術大会

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-17] ポスター(地域)P17

2017年5月13日(土) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-17-5] 理学療法士・作業療法士が持つ連携支援者数とチームワーク能力および研修機会との関連
A県における調査結果から

丹野 克子 (山形県立保健医療大学保健医療学部理学療法学科)

キーワード:多職種連携, チームワーク能力, 研修会参加

【はじめに,目的】理学療法士・作業療法士(以下,リハ職)が対象とする患者・利用者へのチームアプローチにおいて,多職種連携は重要である。本研究では,A県のリハ職個人が持つ,地域における連携上の人的資源量に対する,チームワーク能力および連携に関する研修機会の影響を明らかにする。

【方法】先行研究1,2)を参考に,基本的属性,連携上の人的資源数(支援者数:「あなたが患者/利用者について困ったことがある時に,あなたの地域で,かつ所属施設以外で,あなたの助けになってくれる人が,すぐに思いつくだけで何人いますか。」1)への回答),連携に関する研修会への参加回数(研修機会),チームワーク能力2)を尋ねる質問紙による自記式郵送調査法を実施した。研究説明書及び質問紙を,WEBサイトに公開されている「A県内理学療法士のいる施設」に,A県医療機関情報ネットワークの精神科医療機関を追加した162施設(合計702名分)の,リハ職の所属する部門の長宛に郵送し,部門の長から,選定基準に該当する調査対象者に配布を依頼した。調査対象者は,質問紙送付先施設で患者・利用者にサービスを直接提供しているリハ職のうち,週3日以上勤務している者で,それぞれ50音順で最初から順番に理学療法士・作業療法士それぞれ3人ずつとした。ただし,当該人数が少ないことが明確な施設には必要数を送付した。回収は,2週間の回答期間を設け,調査対象者個別に,返信用封筒で研究者宛直接返送とした。調査期間は平成28年2月だった。統計解析は,属性確認のための記述統計後。支援者0人(0:無し群),5人以上(1:多い群)を2値の従属変数とし,過去3年間の研修機会(参加なし~10回以上の6段階)とチームワーク能力得点(0~30点)を独立変数とする2項ロジスティック回帰分析(強制投入法)を行なった。有意水準は0.05未満とした。なお,研修機会を過去3年間の参加回数で尋ねたため,分析対象は,実務従事経験4年以上の者とした。

【結果】回答回収504名(回収率71.8%)のうち,実務従事経験年数4年以上は412名で,そのうち,必要項目の回答に欠損のない支援者無し群は98名,多い群は107名だった。チームワーク能力得点の中央値は,無し群19.1点(IQR20.9-18.0),多い群20.0点(IQR21.3-19.1)だった。研修機会は両群とも参加無し,3~5回,1回の順に多かったが,中央値でみると無し群は1回,多い群で2回という分布だった。2項ロジスティック回帰分析の結果は,チームワーク能力得点は有意な影響があり(オッズ比1.201,オッズ比の95%信頼区間1.019-1.415),研修機会は有意な影響はなかった。

【結論】A県において,リハ職が持つ,連携上の支援者の数には,個人のチームワーク能力が影響していた。

文献:1)相川充ら,社会心理学研究2012;27(3):139-50.2)阿部泰之ら,Palliative Care Research 2014;9(1):114-20.