[P-TK-18-1] 日野町における多職種による困難事例検討会の有効性と課題
Keywords:多職種連携, 事例検討会, ファシリテーター
【はじめに,目的】
鳥取県日野町は人口3457人,高齢化率44.5%と超高齢化が進行しつつある中山間地域である。そのため,独居老人や経済的貧困の増加などが社会的問題となり,それらを社会的背景とする困難事例も増加傾向にある。日野町では,地域包括ケアシステム構築に向け,町内の保健・介護・医療職員で多職種協働推進委員会を構成し,困難事例の解決を目的に見える事例検討会Ⓡ(以下,見え検)の開催とそのファシリテーター(以下,FT)の養成を行った。平成27年度は1回/月のペースで見え検を実施した。見え検では①課題解決能力の向上 ②援助技術の向上 ③ネットワークの構築を目的に困難事例の検討を行った。そこで,見え検の有効性と課題の抽出を目的に本研究を行った為,報告する。
【方法】
対象は見え検の事例提供者とFTを経験した医師1名,看護師4名,役場職員1名,保健師1名,薬剤師1名,介護支援専門員3名,デイサービス職員1名,ソーシャルワーカー1名,理学療法士1名の計14名。平成28年3月にFT(14名)に対して自記式質問票調査を実施した。配布方法は筆者らが訪問し配布した。回収は配布した同日に第3者が回収する事とした。質問内容は①課題解決能力の向上,②ネットワークの構築,③援助技術の向上,④FTの負担感や達成度に関する全15項目で構成した。
【結果】
回収率は100%であった。①課題解決能力の向上に関する質問に,そう思うと答えた人は69%,とてもそう思うと答えた人は26%であった。②ネットワークの構築に関する質問に,そう思うと答えた人は41%,とてもそう思うと答えた人は50%であった。それに対して③援助技術向上に関する質問にそう思うと答えた人は32%,とてもそう思うと答えた人は14%であった。FTが負担ではないという質問に対し64%がそう思わない,どちらとも言えないと回答した。
【結論】
日野町で行われた見え検は,FTにとって負担感はあるものの①課題解決能力の向上と②ネットワークの構築,③援助技術の向上に関して一定の効果的があったと考える。FTが新たな取り組みや技術習得に関する負担感は感じているものの,それ以上の能力向上や多職種連携のネットワーク構築が可能であったと考える。しかし,見え検で明確となった援助方法を現場で具体的な行動まで繋げる事が困難であった事も明かとなった。この理由として,見え検で,課題解決に対する具体的行動の実行度合いを振り返る時間がなかった事や,現場に戻ると事例提供者が迷った時に相談する場がなかった事が挙げられる。そのため,見え検にEPDCA Cycleを導入し,相談窓口の設置や振り返り時間を設けるといった,見え検の運営強化に努める事が必要であると考える。
鳥取県日野町は人口3457人,高齢化率44.5%と超高齢化が進行しつつある中山間地域である。そのため,独居老人や経済的貧困の増加などが社会的問題となり,それらを社会的背景とする困難事例も増加傾向にある。日野町では,地域包括ケアシステム構築に向け,町内の保健・介護・医療職員で多職種協働推進委員会を構成し,困難事例の解決を目的に見える事例検討会Ⓡ(以下,見え検)の開催とそのファシリテーター(以下,FT)の養成を行った。平成27年度は1回/月のペースで見え検を実施した。見え検では①課題解決能力の向上 ②援助技術の向上 ③ネットワークの構築を目的に困難事例の検討を行った。そこで,見え検の有効性と課題の抽出を目的に本研究を行った為,報告する。
【方法】
対象は見え検の事例提供者とFTを経験した医師1名,看護師4名,役場職員1名,保健師1名,薬剤師1名,介護支援専門員3名,デイサービス職員1名,ソーシャルワーカー1名,理学療法士1名の計14名。平成28年3月にFT(14名)に対して自記式質問票調査を実施した。配布方法は筆者らが訪問し配布した。回収は配布した同日に第3者が回収する事とした。質問内容は①課題解決能力の向上,②ネットワークの構築,③援助技術の向上,④FTの負担感や達成度に関する全15項目で構成した。
【結果】
回収率は100%であった。①課題解決能力の向上に関する質問に,そう思うと答えた人は69%,とてもそう思うと答えた人は26%であった。②ネットワークの構築に関する質問に,そう思うと答えた人は41%,とてもそう思うと答えた人は50%であった。それに対して③援助技術向上に関する質問にそう思うと答えた人は32%,とてもそう思うと答えた人は14%であった。FTが負担ではないという質問に対し64%がそう思わない,どちらとも言えないと回答した。
【結論】
日野町で行われた見え検は,FTにとって負担感はあるものの①課題解決能力の向上と②ネットワークの構築,③援助技術の向上に関して一定の効果的があったと考える。FTが新たな取り組みや技術習得に関する負担感は感じているものの,それ以上の能力向上や多職種連携のネットワーク構築が可能であったと考える。しかし,見え検で明確となった援助方法を現場で具体的な行動まで繋げる事が困難であった事も明かとなった。この理由として,見え検で,課題解決に対する具体的行動の実行度合いを振り返る時間がなかった事や,現場に戻ると事例提供者が迷った時に相談する場がなかった事が挙げられる。そのため,見え検にEPDCA Cycleを導入し,相談窓口の設置や振り返り時間を設けるといった,見え検の運営強化に努める事が必要であると考える。