The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-20] ポスター(地域)P20

Sun. May 14, 2017 11:40 AM - 12:40 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-20-1] 一般急性期病院におけるフレイルを有する高齢入院患者の特徴

山口 晃樹1,2, 平瀬 達哉2,3, 小泉 徹児1, 井口 茂2 (1.十善会病院リハビリテーション科, 2.長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻理学療法分野, 3.長崎大学保健学実践教育研究センター)

Keywords:フレイル, 一般急性期病院, 高齢入院患者

【はじめに,目的】

近年,健康寿命の延伸を企てることを目的に「フレイル」の概念が注目されている。フレイルに関する先行研究では,地域在住高齢者を対象とした報告が多く,Shimadaらの調査では65歳以上の高齢者のうち11.3%がフレイルに該当したと報告している。そして,フレイルを有する高齢者は,要介護リスクが高くなることが明確になっており,フレイルの予防は重要であるとされている。一方,急性期病院においても入院患者の高齢化は顕著であり,治療や安静に伴い身体活動量が低下するため,フレイル対策は重要であると思われる。しかし,急性期病院における高齢入院患者のフレイルの実態は明らかとなっていない。本研究の目的は,一般急性期病院におけるフレイルを有している高齢入院患者の特徴を明らかにすることである。

【方法】

対象は,在宅より当院に入院した65歳以上の患者227名(76.9±7.7歳)とした。フレイルは25項目から構成された基本チェックリストを用いて評価し,先行研究を参考に,その該当合計数より対象者を正常群(3項目以下),プレフレイル群(4~7項目),フレイル群(8項目以上)の3群に分類した。なお基本チェックリストは,入院後1週間以内に本人もしくは家族から聴取した。評価項目は,入院時の年齢,性別,診療科,内服の数,栄養状態(Alb値),Body Mass Index(BMI),入院期間中の合併症の有無とし,これらの項目をカルテより抽出した。分析は,3群間での各評価項目の比較についてKruskal-Wallis検定もしくはカイ二乗検定を用いて有意差を検定し,有意差を認めた場合は多重比較検定を行った。

【結果】

フレイル群は90名(39.6%),プレフレイル群は81名(35.7%),正常群は56名(24.7%)であり,3群間に有意差を認めた評価項目は年齢,性別,内服数,Alb値,入院期間中の合併症の有無であった。年齢はフレイル群が正常群ならびにプレフレイル群よりも有意に高値を示し,性別ではフレイル群が正常群よりも女性が有意に多かった。内服数ではフレイル群ならびにプレフレイル群が正常群より有意に高値を示し,Alb値ではフレイル群が正常群よりも有意に低値を示した。さらに入院期間中の合併症の有無では,フレイル群が正常群よりも有意に合併症を多く発症していた。

【結論】

一般急性期病院においてフレイルを有している高齢入院患者は多く,医療機関においてもフレイル対策の重要性が明らかとなった。また,フレイルを有している高齢入院患者では,高年齢,女性,低栄養状態,服薬数の多さ,入院期間中に合併症発症リスクが高いことが特徴として考えられ,これらに対する評価がフレイル対策として重要であることが示唆された。