The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-22] ポスター(地域)P22

Sun. May 14, 2017 11:40 AM - 12:40 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-22-5] リハビリ入院の重要性と今後の課題

荒木 昇平, 櫻井 雄太, 東山 理加, 小林 良広, 太田 晴基, 南 伸吾, 奥地 昭悟, 和田 幸雄, 北村 美穂, 清水 啓伍, 松本 香織, 吉岡 和泉, 坂野 元彦 (那智勝浦町立温泉病院リハビリテーション科)

Keywords:リハビリ入院, 地域医療, 高齢者

【はじめに,目的】

和歌山県は高齢化率が全国6位であり,当院のある新宮保健医療圏は和歌山県内で高齢化率が最も高い地域である。当地域のような僻地では,過疎化に伴う介護者の減少で,独居生活を送る高齢者が増加している。高齢者のフレイルとして注目され,早期に発見して適切に介入をすることで生活機能の維持・向上を図ることが期待されている。特に歩行機能の低下は,在宅生活を困難にする大きな要因となるため,当院では歩行困難となった者を対象にリハビリを目的とした入院(リハビリ入院)を提供しており,今回その活動の成果について報告する。




【方法】

対象は,平成28年1月1日から平成28年9月30日に当院でリハビリ入院した81名(78±12歳,男性27名,女性54名)とした。介護認定で要介護2以上の者が21名(26%)であった。疾患別リハビリの内訳は,脳血管43名,運動器31名,廃用症候群7名で,全例が算定上限日数を超えていた。対象者に対してリハビリ入院中は週30時間の運動を提供した。評価項目は,Barthel Index(BI),10m歩行試験(10MWT)の歩行速度,6分間歩行距離(6MWD)を入院時および退院時に測定した。統計分析は,入院時と退院時の各測定項目について対応のあるt検定を用い,有意水準を5%未満とした。




【結果】

入院期間は26.9±11.8日であった。BIは87.4±13.1点から91.0±10.6点,歩行速度は0.58±0.38m/sから0.68±0.45m/s,6MWTは160.4±121.5mから189.6±140.6mと有意に増加した(P<0.05)。要介護2以上の対象者に限定して評価すると,BIは82.6±12.7点から84.8±12.4点,歩行速度は0.37±0.24m/sから0.44±0.27m/s,6MWTは86.0±64.5mから117.8±75.1mと有意に増加した(P<0.05)。




【結論】

リハビリ入院の対象者は,自覚的または他覚的に歩行困難を認めた者で,その多くが後期高齢者であった。うち独居生活が困難とされる要介護2以上と認定された者は4分の1程度存在した。今回,平均4週間のリハビリ入院を行ったことで全例において歩行速度が早くなり,ADLにおける介助量が低減することができた。要介護2以上の群では,改善の度合いこそ小さいが,歩行能力は入院時よりも有意に改善していた。

以上から,当院で行っているリハビリ入院は,歩行能力とADLを改善し,生活の質を向上させる効果が期待できると考える。また,当地方のような僻地では,十分な介護サービスが整備されておらず,生活機能を維持するためのリハビリを提供するにも制限があるため,当院のリハビリ入院は慢性期における地域でのリハビリ確保に貢献できると考える。