[P-YB-01-2] 反復後方ステップ練習による非予測的外乱時の即時効果
Keywords:ステップ反応, 姿勢制御, 転倒予防
【はじめに,目的】
後方へのステップ反応は,高齢者における日常生活の転倒と関連があると報告されている。非予測的な外乱方向の反復ステップ練習を行い,その効果を非予測条件で評価した研究が多く報告されている。しかし,高齢者を対象にした練習ではより安全に行える予測的な外乱方向の反復ステップ練習が望まれる。また,外乱後の姿勢反応はFeedforward制御の影響を受けることが示唆されているため,被験者自身が外乱を誘発する方法による練習効果も調べた。本研究の目的は,外乱方向が非予測的または予測的な条件,さらに被験者自身が外乱を誘発するため外乱方向およびタイミング共に予測的な条件における反復ステップ練習の効果について,非予測条件におけるステップ反応で比較検討することだった。
【方法】
対象は整形外科的・神経学的疾患がない健常若年者33名とし,外乱方向が予測できる反復ステップ練習をする群(以下,予測群とする。)(21.2±1.2歳),外乱方向が予測できない反復ステップ練習をする群(以下,非予測群とする。)(23.1±1.2歳),被験者自身がボタンを押して外乱を誘発する群(以下,自己誘発群とする。)(23.1±2.3歳)に11名ずつランダムに割り当てた。被験者は床面の外乱によりステップ反応が誘発された。予測群・自己誘発群は,後方へのステップ反応を誘発するために床面水平移動による前方外乱のみを60回,非予測群は前方・後方外乱を各30回(計60回)ランダムに与えられた。外乱のタイミングは予測群・非予測群はランダム,自己誘発群は被験者が意図したタイミングで行った。練習前後のテスト課題は外乱方向とタイミングはランダムに与えられた。解析対象は前方外乱に対する後方ステップのみとした。統計解析は二元配置分散分析(群間×テスト間)を用い,多重比較にTukey法を用いた。また, Pearsonの相関係数を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】
練習前後のテスト間に主効果が認められ,ステップ長,ステップ速度およびステップ着地時安定性臨界が練習後有意に増加した(p<0.01)。群間に主効果は認められなかった。ステップ着地時安定性臨界のみ交互作用が認められ,予測群および非予測群は自己誘発群と比較して練習後有意に増加した(p<0.01)。さらに,ステップ着地時安定性臨界はステップ長,ステップ速度とそれぞれ有意な正の相関が認められた(r=0.75,r=0.75)。
【結論】
外乱方向およびタイミングが予測できない条件におけるステップ後の姿勢安定性は,自己誘発群よりも予測群および非予測群の方が向上し,予測群と非予測群では同程度の効果が期待できる。その要因として,ステップ長およびステップ速度の増加が挙げられる。外乱方向が予測的な反復ステップ練習は非予測的な反復ステップ練習に比して恐怖感といった心理的負担が少ないため,姿勢不安定性を有する高齢者や障害者には推奨される練習方法であると考えられる。
後方へのステップ反応は,高齢者における日常生活の転倒と関連があると報告されている。非予測的な外乱方向の反復ステップ練習を行い,その効果を非予測条件で評価した研究が多く報告されている。しかし,高齢者を対象にした練習ではより安全に行える予測的な外乱方向の反復ステップ練習が望まれる。また,外乱後の姿勢反応はFeedforward制御の影響を受けることが示唆されているため,被験者自身が外乱を誘発する方法による練習効果も調べた。本研究の目的は,外乱方向が非予測的または予測的な条件,さらに被験者自身が外乱を誘発するため外乱方向およびタイミング共に予測的な条件における反復ステップ練習の効果について,非予測条件におけるステップ反応で比較検討することだった。
【方法】
対象は整形外科的・神経学的疾患がない健常若年者33名とし,外乱方向が予測できる反復ステップ練習をする群(以下,予測群とする。)(21.2±1.2歳),外乱方向が予測できない反復ステップ練習をする群(以下,非予測群とする。)(23.1±1.2歳),被験者自身がボタンを押して外乱を誘発する群(以下,自己誘発群とする。)(23.1±2.3歳)に11名ずつランダムに割り当てた。被験者は床面の外乱によりステップ反応が誘発された。予測群・自己誘発群は,後方へのステップ反応を誘発するために床面水平移動による前方外乱のみを60回,非予測群は前方・後方外乱を各30回(計60回)ランダムに与えられた。外乱のタイミングは予測群・非予測群はランダム,自己誘発群は被験者が意図したタイミングで行った。練習前後のテスト課題は外乱方向とタイミングはランダムに与えられた。解析対象は前方外乱に対する後方ステップのみとした。統計解析は二元配置分散分析(群間×テスト間)を用い,多重比較にTukey法を用いた。また, Pearsonの相関係数を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】
練習前後のテスト間に主効果が認められ,ステップ長,ステップ速度およびステップ着地時安定性臨界が練習後有意に増加した(p<0.01)。群間に主効果は認められなかった。ステップ着地時安定性臨界のみ交互作用が認められ,予測群および非予測群は自己誘発群と比較して練習後有意に増加した(p<0.01)。さらに,ステップ着地時安定性臨界はステップ長,ステップ速度とそれぞれ有意な正の相関が認められた(r=0.75,r=0.75)。
【結論】
外乱方向およびタイミングが予測できない条件におけるステップ後の姿勢安定性は,自己誘発群よりも予測群および非予測群の方が向上し,予測群と非予測群では同程度の効果が期待できる。その要因として,ステップ長およびステップ速度の増加が挙げられる。外乱方向が予測的な反復ステップ練習は非予測的な反復ステップ練習に比して恐怖感といった心理的負担が少ないため,姿勢不安定性を有する高齢者や障害者には推奨される練習方法であると考えられる。