第52回日本理学療法学術大会

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[P-YB-03] ポスター(予防)P03

2017年5月12日(金) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本予防理学療法学会

[P-YB-03-3] シニアリーダー(介護予防推進ボランティア)養成事業における運動機能評価について

川村 悠1, 安彦 和星1, 奥田 一穂1, 角田 裕一1, 秋吉 直樹1, 多田 大和1, 山下 剛司2 (1.医療法人社団淳英会おゆみの中央病院リハビリテーション部, 2.医療法人社団淳英会おゆみの中央病院整形外科)

キーワード:高齢者, 介護予防, 機能評価

【はじめに】当法人では,平成27年度より千葉県千葉市からシニアリーダー養成事業を受託し,地域で転倒予防・認知症予防を目的とした「シニアリーダー体操」を普及啓発する介護予防推進ボランティアを養成している。シニアリーダー体操は,骨盤体操(骨盤前後傾,重心左右シフト),筋力トレーニング(スクワット,腹筋・背筋),脳トレーニング(二重課題・ステップ動作を組み合わせたもの)で構成されている。平成28年9月30日現在,シニアリーダー登録者は311名,シニアリーダーが主体となり運営している実活動は市内67箇所,参加延べ人数は14,397名である。体操効果を示すため,初回時と3ヶ月または6ヶ月後に運動機能評価を実施したので以下に報告する。

【方法】対象は3~4回/月,体操教室に参加した地域在住高齢者(70~80歳代)で初回時と3ヶ月後または6か月後に運動機能評価が実施可能の者とした。運動機能評価は,開眼片脚立位(3か月後48名,内男性5名),Timed Up & Go(3か月後55名内男性6名),5回立ち上がり(3か月後52名内男性6名,6か月後13名内男性4名)を2回ずつ測定し,平均値を算出した。なお運動機能評価は,体操教室を運営するシニアリーダーが実施した。統計処理は,対応のあるt検定を用いて評価した。統計ソフトはR2.8.1を使用し,有意水準は5%とした。

【結果】開眼片脚立位(初回:32.6±20.8秒,3か月後:38.3±21.9秒)及びTimed Up & Go(初回:6.9±1.2秒,3か月後:6.0±0.7秒)は有意に改善した。一方,5回立ち上がり(初回:7.5±2.0秒,3か月後:7.2±1.4秒)では3か月後は有意な改善は見られなかったが,6か月後(初回:7.8±1.2秒,6か月後:7.3±1.2秒)は有意に改善した。

【結論】筋力,筋パワーを評価すると言われている5回立ち上がりが,他の項目と異なり6か月後に有意な改善が見られたことについては,本教室は,3~4回/月のペースであり,頻度が少ないため筋力,筋パワーを改善するには時間を要することが推察された。また結果より,体操教室参加者は比較的運動機能レベルの高い高齢者が参加していることを示しており,数値の改善が本来の目的である転倒リスクを減らすことを一概に示すものではない。今後は,参加対象者の運動機能レベルを踏まえた別の評価方法についても検討をしなければならない。また現状,私たちが真の対象と考えている2次予防から要支援,要介護1,2レベルの参加者は少ない。今後データを蓄積し,効果検証を進めると同時に,精神機能面についての評価も加え,体操教室の参加が精神機能面にどのような変化を与えたか調査する予定である。