[P-YB-04-4] 自治体の介護予防事業(公助)終了者の体力変化
~互助グループとの比較~
Keywords:介護予防, 公助, 互助
【はじめに,目的】介護保険法改正や新しい総合事業の導入により,自治体等が行う公助としての介護予防事業は,住民主体の活動である自助や互助を補完するものとの位置づけが明確にされた。今回,自治体の介護予防事業を終了した高齢者の体力のフォローアップ調査をする機会を得た。本研究では公助による支援がその後の体力維持に寄与しているのか,同地域で互助として体操を継続していたグループの体力変化率と比較し検討した。公助の支援を受けた者は,高いレベルで心身機能が維持されることが期待されるが,互助の介護予防活動との比較を行った研究は少ない。本研究は,今後の公助による支援のあり方,その後の自助や互助との連携に関する知見を得ることを目的とした。
【方法】
対象は,東京都A区の介護予防事業(体操教室と転倒予防教室)に参加した地域在住女性高齢者20名(平均年齢76.3歳,以下公助群)と,同区内において,住民同士で体操を実施している地域在住女性高齢者32名(平均年齢77.4歳,以下互助群)とした。本研究は性別の影響を排除するために女性のみを対象とした。体力測定項目は,5m最大歩行時間(以下最大歩行),5m通常歩行時間(以下通常歩行),Timed up & go(以下TUG),開眼片足立ち時間(以下片足立ち),握力を測定した。公助群は教室終了時点と終了後6ヵ月の2時点間,同様に,互助群も,6ヵ月間の体力の変化率を調査した。統計解析では,事前に年齢や元々の体力レベルが2群間で差があるか対応のないt検定で検討し,2群間で有意差が認められた場合はそれらを共変量として調整することとしたが,差が認められなかった為,2群間の変化率の差は対応のないt検定で比較した。有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】追跡調査には52名中36名(69.2%,公助16名,互助20名)が参加した。握力のみ公助群の低下率が有意に大きかった[-5.3±14.1%(公助群)v.s10.7±10.7%(互助群)(P<0.05)]。それ以外の変化率の平均は(公助群v.s.互助群),最大歩行[-4.5±9.3%v.s-1.2±9.2%],通常歩行[-3.8±16.7%v.s1.7±13.0%],片足立ち[59.9±150.9%v.s75.2±161.2%],TUG[-0.2±8.6%v.s-0.3±9.8%]であった。いずれも有意差は認められなかった(P>0.05)。
【結論】
公助については,税金や専門家が投入されるため,自助や互助に比べ高いレベルでの体力維持効果が期待される。本研究の結果では,公助群の握力の低下率が互助群に比べて有意に大きくなり,その他の指標を見ても,公助群の体力維持効果が高いとは言えない結果となった。体力維持に必要なセルフマネジメント能力の獲得を教室内でどのように支援していくのかが課題と考えられる。一方,半年程度の追跡では差は出にくいとも考えられる。今後,さらに多数を長期的に追跡し,地域在住高齢者の体力維持のためにどのような支援が必要か,どのような要因が影響しているのかを詳細に明らかにする必要がある。
【方法】
対象は,東京都A区の介護予防事業(体操教室と転倒予防教室)に参加した地域在住女性高齢者20名(平均年齢76.3歳,以下公助群)と,同区内において,住民同士で体操を実施している地域在住女性高齢者32名(平均年齢77.4歳,以下互助群)とした。本研究は性別の影響を排除するために女性のみを対象とした。体力測定項目は,5m最大歩行時間(以下最大歩行),5m通常歩行時間(以下通常歩行),Timed up & go(以下TUG),開眼片足立ち時間(以下片足立ち),握力を測定した。公助群は教室終了時点と終了後6ヵ月の2時点間,同様に,互助群も,6ヵ月間の体力の変化率を調査した。統計解析では,事前に年齢や元々の体力レベルが2群間で差があるか対応のないt検定で検討し,2群間で有意差が認められた場合はそれらを共変量として調整することとしたが,差が認められなかった為,2群間の変化率の差は対応のないt検定で比較した。有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】追跡調査には52名中36名(69.2%,公助16名,互助20名)が参加した。握力のみ公助群の低下率が有意に大きかった[-5.3±14.1%(公助群)v.s10.7±10.7%(互助群)(P<0.05)]。それ以外の変化率の平均は(公助群v.s.互助群),最大歩行[-4.5±9.3%v.s-1.2±9.2%],通常歩行[-3.8±16.7%v.s1.7±13.0%],片足立ち[59.9±150.9%v.s75.2±161.2%],TUG[-0.2±8.6%v.s-0.3±9.8%]であった。いずれも有意差は認められなかった(P>0.05)。
【結論】
公助については,税金や専門家が投入されるため,自助や互助に比べ高いレベルでの体力維持効果が期待される。本研究の結果では,公助群の握力の低下率が互助群に比べて有意に大きくなり,その他の指標を見ても,公助群の体力維持効果が高いとは言えない結果となった。体力維持に必要なセルフマネジメント能力の獲得を教室内でどのように支援していくのかが課題と考えられる。一方,半年程度の追跡では差は出にくいとも考えられる。今後,さらに多数を長期的に追跡し,地域在住高齢者の体力維持のためにどのような支援が必要か,どのような要因が影響しているのかを詳細に明らかにする必要がある。