[P-YB-05-3] 二次予防事業終了後の運動継続率向上に向けた取り組み
Keywords:二次予防事業, 運動継続率, 介護予防
【はじめに,目的】
二次予防事業とは,特定高齢者に対し医療専門職が短期集中的に介入し要支援,要介護状態になることを予防する取り組みである。身体機能,健康関連QOLが向上するとの報告がある一方,事業終了後の運動継続率が低いことが指摘されている。そこで今回,理学療法士,行政,地域包括支援センター(以下地域包括)が連携を図りながら取り組んだ結果,高い運動継続率を示したので報告する。
【方法】
当院で実施した二次予防事業は,毎週1回の頻度で全10回,内容は運動機能向上を中心とした複合型プログラムである。毎回,理学療法士が中心となり講義および重錘バンドを用いた「いきいき百歳体操」を実施した。対象は平成27年5月から平成28年3月までの期間に参加した43名(男性11名,平均年齢76.5±5,女性32名,平均年齢76.46±5歳)。事業前後においてTimed Up and Go test,握力,開眼片脚立位保持時間,CS30,5m最大歩行時間,長座位体前屈,基本チェックリスト,健康関連QOL(SF8),転倒不安感尺度を評価した。結果については対応のあるt検定およびWilcoxonの符号付順位和検定を用いて事業前後で比較した。終了後の運動継続状況については,地域包括に依頼し電話にて本人に聴取した。運動継続率向上に向けた取り組みとしては,事業開始前に運営会議を行い理学療法士,行政,地域包括がそれぞれの役割を明確にし,事業アウトカムを共有することを図った。理学療法士は介護予防に関する講義,終了後の目標設定,運動に関する行動変容に合わせた個別的な支援を行った。行政は住民主体の通いの場の立ち上げを積極的に展開し,事業終了後の受け皿づくりを行った。地域包括は参加者のニーズに合った地域資源に関する情報提供と自主的な活動に至るまでのシームレスな支援を行った。
【結果】
身体機能,基本チェックリスト,健康関連QOLはサマリースコアである身体的健康,精神的健康ともに有意に改善を示した。(P<0.05)。事業終了後の運動継続率については,住民主体の通いの場への参加17名(40%),一次予防事業参加7名(16%),自主活動5名(12%),二次予防事業参加7名(16%),実施していない1名(2%),要支援申請5名(12%),死亡1名(2%)であった。
【結論】
今回,事業期間中も常に情報共有を行い,それぞれの活動を連動させ取り組んだ結果,事業終了後の運動継続率が68%と高い結果を示した。一方で7名が再び二次予防事業に参加する結果となった。事業終了後の受け皿は増加傾向だが,すべての参加者のニーズに対応するまでには至らず,運動機会の喪失とともに徐々に身体機能が低下し,再び介入が必要な状態に陥っていると推測される。参加者の多様なニーズに対応するためには,受け皿づくりに介護予防サポーター等の住民ボランティアが積極的に活用されることを期待する。今後は運動継続による身体機能,健康関連QOLへの影響について調査検討を行っていく。
二次予防事業とは,特定高齢者に対し医療専門職が短期集中的に介入し要支援,要介護状態になることを予防する取り組みである。身体機能,健康関連QOLが向上するとの報告がある一方,事業終了後の運動継続率が低いことが指摘されている。そこで今回,理学療法士,行政,地域包括支援センター(以下地域包括)が連携を図りながら取り組んだ結果,高い運動継続率を示したので報告する。
【方法】
当院で実施した二次予防事業は,毎週1回の頻度で全10回,内容は運動機能向上を中心とした複合型プログラムである。毎回,理学療法士が中心となり講義および重錘バンドを用いた「いきいき百歳体操」を実施した。対象は平成27年5月から平成28年3月までの期間に参加した43名(男性11名,平均年齢76.5±5,女性32名,平均年齢76.46±5歳)。事業前後においてTimed Up and Go test,握力,開眼片脚立位保持時間,CS30,5m最大歩行時間,長座位体前屈,基本チェックリスト,健康関連QOL(SF8),転倒不安感尺度を評価した。結果については対応のあるt検定およびWilcoxonの符号付順位和検定を用いて事業前後で比較した。終了後の運動継続状況については,地域包括に依頼し電話にて本人に聴取した。運動継続率向上に向けた取り組みとしては,事業開始前に運営会議を行い理学療法士,行政,地域包括がそれぞれの役割を明確にし,事業アウトカムを共有することを図った。理学療法士は介護予防に関する講義,終了後の目標設定,運動に関する行動変容に合わせた個別的な支援を行った。行政は住民主体の通いの場の立ち上げを積極的に展開し,事業終了後の受け皿づくりを行った。地域包括は参加者のニーズに合った地域資源に関する情報提供と自主的な活動に至るまでのシームレスな支援を行った。
【結果】
身体機能,基本チェックリスト,健康関連QOLはサマリースコアである身体的健康,精神的健康ともに有意に改善を示した。(P<0.05)。事業終了後の運動継続率については,住民主体の通いの場への参加17名(40%),一次予防事業参加7名(16%),自主活動5名(12%),二次予防事業参加7名(16%),実施していない1名(2%),要支援申請5名(12%),死亡1名(2%)であった。
【結論】
今回,事業期間中も常に情報共有を行い,それぞれの活動を連動させ取り組んだ結果,事業終了後の運動継続率が68%と高い結果を示した。一方で7名が再び二次予防事業に参加する結果となった。事業終了後の受け皿は増加傾向だが,すべての参加者のニーズに対応するまでには至らず,運動機会の喪失とともに徐々に身体機能が低下し,再び介入が必要な状態に陥っていると推測される。参加者の多様なニーズに対応するためには,受け皿づくりに介護予防サポーター等の住民ボランティアが積極的に活用されることを期待する。今後は運動継続による身体機能,健康関連QOLへの影響について調査検討を行っていく。