[P-YB-06-2] 透析クリニックにおける理学療法士の必要性の調査と介護予防の取り組み
Keywords:透析クリニック, 理学療法, 介護予防
【はじめに,目的】
透析患者は週3回程度の通院と1回4時間程度の透析療法による時間の制約のため,日常の運動量が減少しADLや体力低下が問題となっている。近年,腎臓リハビリテーションが普及し,透析患者の運動療法の効果が明らかとなっている。しかし,現在の本国の法制度化では慢性腎不全の診断のみでは積極的な理学療法が実施できず,現状では透析クリニックに理学療法士が勤務する事はほとんど無い。しかし,今後,糖尿病性腎症の増加や患者の高齢化のため,透析患者に対する理学療法の関わりが重要になると予想される。そこで,本研究では透析クリニックにおける理学療法士の必要性の調査と介護予防の取り組みについて調査的研究を行った。
【方法】
対象は透析クリニック14施設。調査期間は平成28年7月から9月までの3ヶ月。準備期間として調査実施の1ヶ月前にクリニックの職員に対して腎臓リハビリテーション(医歯薬出版株式会社,2012.6)の内容を参考に透析患者に対する運動療法,リハビリテーションについての勉強会を実施した。その後,各クリニックに巡回で理学療法士が勤務し,医師の確認,指示のもと介護予防の取り組みについて理学療法業務を実施した。調査項目は1.職員に対し「透析クリニックで理学療法士に希望すること」についての聞き取り調査を行い,クリニックごとの集計を行った。また,2.理学療法士が実施した業務の集計を行った。
【結果】
1.聞き取り調査の結果ではADLの維持についての取り組み14施設,透析中の運動療法実施10施設,非透析日の患者への運動指導19施設,トランスファー方法の検討4施設,転倒予防の検討7施設,介護保険の相談対応8施設,フットケア1施設であった。2.理学療法士が透析クリニックで実施した理学療法業務の結果では透析中の運動療法実施51件,非透析日の運動指導19件,介護保険の相談対応9件,トランスファー方法の検討6件,転倒予防の検討6件,体位交換の検討1件であった。
【結論】
透析クリニックでの理学療法士の必要性は高く,特に通院維持のためのADL維持や介護予防の取り組みについて理学療法士に希望することが分かった。現在の透析クリニックでの問題点として,通院困難者の対応や高齢化による身体機能,ADLの低下がある。今後の高齢化によりさらに,これらを予防するため理学療法士の関わりが重要になる。また,介護保険の活用についての相談件数も多く,透析患者の地域包括ケアの構築や多職種で連携して在宅生活,ADL維持に対応していく必要がある。実際の理学療法業務では透析中や非透析日の運動療法の実施に加え運動療法の重要性についての啓蒙活動を行うことも必要であるため,今後,積極的に理学療法士が介護予防に関わる必要がある。
透析患者は週3回程度の通院と1回4時間程度の透析療法による時間の制約のため,日常の運動量が減少しADLや体力低下が問題となっている。近年,腎臓リハビリテーションが普及し,透析患者の運動療法の効果が明らかとなっている。しかし,現在の本国の法制度化では慢性腎不全の診断のみでは積極的な理学療法が実施できず,現状では透析クリニックに理学療法士が勤務する事はほとんど無い。しかし,今後,糖尿病性腎症の増加や患者の高齢化のため,透析患者に対する理学療法の関わりが重要になると予想される。そこで,本研究では透析クリニックにおける理学療法士の必要性の調査と介護予防の取り組みについて調査的研究を行った。
【方法】
対象は透析クリニック14施設。調査期間は平成28年7月から9月までの3ヶ月。準備期間として調査実施の1ヶ月前にクリニックの職員に対して腎臓リハビリテーション(医歯薬出版株式会社,2012.6)の内容を参考に透析患者に対する運動療法,リハビリテーションについての勉強会を実施した。その後,各クリニックに巡回で理学療法士が勤務し,医師の確認,指示のもと介護予防の取り組みについて理学療法業務を実施した。調査項目は1.職員に対し「透析クリニックで理学療法士に希望すること」についての聞き取り調査を行い,クリニックごとの集計を行った。また,2.理学療法士が実施した業務の集計を行った。
【結果】
1.聞き取り調査の結果ではADLの維持についての取り組み14施設,透析中の運動療法実施10施設,非透析日の患者への運動指導19施設,トランスファー方法の検討4施設,転倒予防の検討7施設,介護保険の相談対応8施設,フットケア1施設であった。2.理学療法士が透析クリニックで実施した理学療法業務の結果では透析中の運動療法実施51件,非透析日の運動指導19件,介護保険の相談対応9件,トランスファー方法の検討6件,転倒予防の検討6件,体位交換の検討1件であった。
【結論】
透析クリニックでの理学療法士の必要性は高く,特に通院維持のためのADL維持や介護予防の取り組みについて理学療法士に希望することが分かった。現在の透析クリニックでの問題点として,通院困難者の対応や高齢化による身体機能,ADLの低下がある。今後の高齢化によりさらに,これらを予防するため理学療法士の関わりが重要になる。また,介護保険の活用についての相談件数も多く,透析患者の地域包括ケアの構築や多職種で連携して在宅生活,ADL維持に対応していく必要がある。実際の理学療法業務では透析中や非透析日の運動療法の実施に加え運動療法の重要性についての啓蒙活動を行うことも必要であるため,今後,積極的に理学療法士が介護予防に関わる必要がある。