第52回日本理学療法学術大会

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[P-YB-13] ポスター(予防)P13

2017年5月13日(土) 12:50 〜 13:50 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本予防理学療法学会

[P-YB-13-1] 月経前症候群に対するストレッチング介入効果の検討

横山 美翔1, 寒川 美奈2, 宮崎 未来3, 石田 優子2, 鈴森 雄貴2, 生田 亮平4, 奥貫 拓実5, 佐橋 健人2, 齊藤 展士2, 遠山 晴一2, 山中 正紀2 (1.医療法人潤和会札幌ひばりが丘病院リハビリテーション科, 2.北海道大学大学院保健科学研究院, 3.城南福祉医療協会大田病院リハビリテーション科, 4.八王子スポーツ整形外科リハビリテーションセンター, 5.社会医療法人松田整形外科記念病院理学療法科)

キーワード:月経前症候群, スタティックストレッチング, 自律神経活動

【はじめに,目的】女性の月経周期は性ホルモンの変動によって形成される。近年,月経関連疾患に関する研究が多く行われてきている。月経前症候群(PMS)は,黄体期後期に生じ,月経開始とともに終了する精神的及び身体的症状であり,本国では5.3~11.8%の罹患率が報告されている。PMSの発生原因については未だ統一した見解は得られていないものの,自律神経活動に関して黄体期では卵胞期に比べ,副交感神経活動が低下し交感神経活動が優位であるといわれている。PMSに対する治療として運動療法の有効性が検証されているが,症状改善の要因は明確に示されておらず,介入方法や期間についても統一した見解が得られていない。そこで本研究は,交感神経活動抑制および副交感神経活動増加への効果が示されているスタティックストレッチング(SS)を用いて,PMSの有無によるSSの有効性を検証した。

【方法】対象はPMS症状を有する女子大学生7名(PMS群;年齢21.7±1.2歳),PMSを有さない女子大学生9名(非PMS群;年齢22.3±0.9歳)とした。月経翌日より計測した基礎体温により黄体期を確認し,基礎体温上昇翌日または翌々日にSSを指導及び実施し(1日目),前後でSSの即時効果を検討した(Pre,Post)。被験者にはセルフSSを6日間実施させ,1日目の7日後に再度測定(1week)を実施しSSの短期効果を検討した。SSはハムストリングス及び腰背部,股関節屈筋群及び大腿直筋,股関節内転筋群に対して各30秒4セット,セット間20秒の計12分間を実施した。評価指標は,心電図波形より心拍数(HR),交感神経活動を示す標準化低周波(%LF),副交感神経活動を示す標準化高周波(%HF)を算出した。統計解析は,反復測定一元配置分散分析を用いてSSの即時及び短期効果を比較検討した。有意水準はP<0.05とした。

【結果】HRに関しては,PMS群において1weekがPre及びPostに比し有意な高値を示した(3群間:P=0.019,Pre-1week:P=0.026,Post-1week:P=0.042)。一方,%LF,%HFでは有意な変化はみられなかった。非PMS群は,全ての項目において有意な変化がなかった。

【結論】本研究結果より,PMS群では1weekのHRに有意な増加を示した。PMS症状は黄体後期に増強するといわれているが,交感神経活動の亢進とともに,HRの増加が促されたものと考えられた。しかしながら,本研究では%LFや%HFの変化はみられておらず,PMS群では交感神経活動の亢進がSSにより抑制された可能性が考えられた。したがってPMS症状の増強時にSSを実施する等,介入時期の検討が必要であることが示唆された。また非PMS群においては,全ての指標において有意な変化はみられておらず,自律神経活動への変化が生じていなかったことが考えられた。今回実施したSSにおける時間,強度,方法等が自律神経に影響を与えるには不十分であったことも考えられるため,更なる検討が必要であると思われた。