The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本予防理学療法学会 » ポスター発表

[P-YB-13] ポスター(予防)P13

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本予防理学療法学会

[P-YB-13-2] 児童期後期における骨格筋が骨密度の変化に与える影響について
~1年間の縦断的検討~

鳥澤 幸太郎1, 伊佐 常紀1, 村田 峻輔1, 海老名 葵1, 近藤 有希1, 坪井 大和1, 奥村 真帆2, 重本 千尋2, 松田 直佳2, 小野 玲1 (1.神戸大学大学院保健学研究科, 2.神戸大学医学部保健学科)

Keywords:児童期後期, 骨密度, 骨格筋

【はじめに,目的】

骨密度は成長に伴い増加し,20歳代でピークを迎え,その後は徐々に低下していく。成人後期や高齢期における著しい骨密度の低下は骨粗鬆症を招き,骨折や寝たきりの原因となるため,その予防は重大な課題である。骨粗鬆症を予防するには,成人期や高齢期における骨密度の低下を防ぐことだけでなく,児童期後期(10―12歳)において可能な限り骨密度を獲得することも重要である。児童期後期における骨密度増加に関係する重要な要因に骨格筋がある。しかし,その関連については横断的検討にとどまっており,骨格筋が骨密度にどのような影響を及ぼしているかは検討されていない。また,児童期後期は第二次性徴にさしかかる時期であり,骨密度や骨格筋などの体組成は著しく発達する。第二次性徴による発達の影響を考慮したうえで,骨格筋が骨密度に与える影響を縦断的に検討することが重要であると考えられる。本研究の目的は,児童期後期における骨格筋が1年間の骨密度の変化に与える影響について縦断的に検討することである。

【方法】

対象者はベースライン調査と1年後の追跡調査が実施可能であった,神戸市にある2つの小学校高学年の児童80名(平均年齢10.1±0.8歳,女児37.5%)とした。ベースライン時と1年後の骨密度の指標として,超音波骨密度測定装置(CM200,古野電気社)を用いて踵骨の骨内伝播速度(SOS)を測定し,1年間の変化量(ΔSOS)を算出した。SOSは骨密度が高いほど高値を示し,骨密度測定法の主流であるDXA法で測定された骨密度と高い相関を示しており,被爆もみられないことから児童の骨密度評価に適している。骨格筋量は,生体電気インピーダンス法を用いて測定し(InBody430,バイオスペース社),四肢骨格筋量指数(SMI)を算出した。その他,身長を測定し,ベースライン時および1年後の身長の値から,児童における発達の指標として用いられる身長増加率を算出した。統計解析は,ベースライン時のSMIが1年間の骨密度の変化量に与える影響を検討するために,目的変数をΔSOS,説明変数をベースライン時のSMIとし,単回帰分析を行った。その後,先行研究にて骨密度の変化量と関連が報告されているベースライン時の年齢,性別,身長増加率,ベースライン時のSOSを交絡変数とし,強制投入法による重回帰分析を行った。統計学的有意水準は5%未満とした。

【結果】

単回帰分析の結果,ベースライン時のSMIがΔSOSと有意な関連を示した(標準化β=0.22,p=0.048)。これらの関係は交絡変数の調整後においても,他因子と独立して有意な関連を示した(標準化β=0.34,p=0.01)。

【結論】

児童期後期において,骨格筋量が1年間の骨密度の増加に影響を及ぼしていることが明らかとなった。先行研究にて,小学校における運動介入は骨格筋量を増加させることが報告されており,骨格筋量増加に寄与する介入を行うことで,骨密度を増加させる可能性が示唆された。