The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本予防理学療法学会 » ポスター発表

[P-YB-13] ポスター(予防)P13

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本予防理学療法学会

[P-YB-13-3] 若年成人女性における足関節捻挫の既往と内側縦アーチとの関連

木村 航汰, 矢倉 千昭, 小川 紘代 (聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部理学療法学科)

Keywords:足関節捻挫, 足部アーチ, 若年成人女性

【はじめに,目的】

足関節捻挫は発生頻度の高い整形外科疾患であり,スポーツ外傷全体に占める発症率は13.9~17%にものぼる。足部の底屈と内がえしの強制により外側靱帯が損傷する足関節内反捻挫の発生率は70~77%と受傷メカニズムの中で最も多い。また,足関節捻挫では,再受傷率も高く,その危険因子は構造的因子と機能的因子に分類される。そこで本研究では,足部の構造として足部アーチの中で臨床的に重要視されている内側縦アーチに着目し,足関節捻挫の既往と内側縦アーチとの関連について検討した。

【方法】

対象は健常成人女性197名,年齢は20.3±1.3歳で,下肢の整形外科的疾患の有無を聴取した。足関節捻挫の既往は,測定側である利き足が過去に足関節捻挫もしくは足関節靭帯損傷と医師に診断を受けたことのある者とし,既往有群と既往無群に分類した。内側縦アーチの測定は,筋による影響を排除し内側縦アーチの構造をみるため非荷重位にて行った。肢位は,座位で股関節・膝関節90°屈曲位,足底は接地させ足関節底背屈中間位・距骨下関節中間位とした。床から舟状骨までの舟状骨高と足長を測定し,足長に対する舟状骨高の割合を内側縦アーチ高率とした。統計処理は2群間の比較ではMan-Whitney U検定を用い,ロジスティック回帰分析を行った。

【結果】

内側縦アーチ高率は,既往有群(26名)17.8±2.1%,既往無群(171名)19.0±2.6%で,既往有群が有意に低かった(p<0.05)。また,体重は,既往有群53.1±6.3kg,既往無群50.1±5.7kgで,既往有群が有意に高かった(p<0.05)。足関節捻挫の既往の有無を従属変数,年齢,身長,体重および内側縦アーチ高率を独立変数としたロジスティック回帰分析の結果,オッズ比0.82(95%CI:0.69-0.98)であった。

【結論】

足関節捻挫の既往有群では,内側縦アーチ高率が有意に低下していた。足関節内反捻挫では前距腓靭帯や踵腓靭帯の損傷率が非常に高いが,後脛骨筋腱の損傷率も53%と高いことが報告されている。後脛骨筋腱の損傷による腱変性により,筋力低下や機能不全を招き,内側縦アーチ高率が低下したのではないかと考えられる。また,足関節捻挫の再受傷を繰り返している人では距骨下関節の不安定性が増大したとの報告や,初回捻挫群と比較し慢性的な足関節捻挫群において有意に内側縦アーチが低下したとの報告がある。受傷との前後関係は分からないが,足部アライメントの不良が再受傷の危険因子であることも示唆されており,足関節捻挫の再受傷予防に足部アライメントの評価が重要であると考えられる。今回は内側縦アーチ高率のみの測定であったため足部アライメント全体を捉えることができなかった。今後は,足関節捻挫と他の構造的因子や機能的因子との関連について検討する必要がある。