The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本呼吸理学療法学会企画 » シンポジウム

[RS-1] シンポジウム 呼吸理学療法の多様性

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 2:20 PM B2会場 (東京ベイ幕張ホール No. 3・4)

座長:玉木 彰(兵庫医療大学大学院医療科学研究科), 座長:岸川 典明(愛知医科大学病院リハビリテーション部)

日本呼吸理学療法学会企画

[RS-1-2] 呼吸理学療法の多様性

中田 隆文 (須藤内科クリニックリハビリテーション科)

国民の多くは自宅での生活を希望し,医療者のアドバンスケアプランニングの重要性が周知されつつある。慢性疾患にはリハビリテーションの概念が重要であり,生活の構築がテーマであることから,生活モデルとして考えられるようになった。日本理学療法士協会の理念には,「尊厳ある自立」と,その「くらし」を守ります,とあり,慢性疾患に対する理学療法は国民の生活を守り,構築するために行われる。

本邦の死因を見ると悪性新生物が1位であり,臓器別では肺癌が多い。3位は肺炎で医療介護関連肺炎(NHCAP)の増加が指摘されている。9位は慢性閉塞性肺疾患(COPD)で,喫煙を契機に発症する慢性呼吸器疾患である。このことから,日本人は呼吸器で命を失う可能性が高いことが分かる。介護が必要となった原因では,運動器の問題と認知症が多いが,多くの高齢者や慢性疾患の経過中に発症するNHCAP,若年でも要介護に陥る可能性があるとして介護保険特定疾患に指定されているCOPDの増加にも注視すべきである。NHCAPとCOPDは,発症と増悪を予防,早期発見し,予後を改善させる可能性を持つ呼吸理学療法の役割は大きい。がんに対する理学療法は,周術期に代表される短期集中的な呼吸理学療法以外は,緩和を含む治療を継続しつつ,本来の生活の場である地域で実施されることが多くなっている。また,在宅人工呼吸療法で自宅での生活を希望する国民も増えており,適切な在宅呼吸管理・ケアとして実施される呼吸理学療法は,長期的に安定した自宅生活を実現し得る。呼吸障害は生死にかかわる問題であるが,どのように生きるかは本人の判断による。呼吸理学療法は多様な国民の意思に答えなければならず,その方法を持っている。