13:35 〜 13:50
[CA-04] 通所リハビリテーション利用者における社会参加が生活機能と要介護度に与える影響
-症例対照研究-
キーワード:通所リハビリテーション、社会参加、筋力
【はじめに・目的】
近年,地域リハビリテーションでは社会参加の促進が推奨されている.しかし,多様な障害を有する通所リハビリテーション(以下,通所リハ)利用者を対象とした場合,健常高齢者と同じように社会参加の促進が筋力や歩行,ADLなど生活機能の改善につながるかについては明らかではない.そこで本研究では縦断データを用い,通所リハ利用者の中で社会参加の改善した者と低下した者に分類し,生活機能や要介護度に与える影響について検討することを目的とした.
【方法】 研究デザインは症例対照研究とした。対象は2014年4月以降に当院の通所リハを開始し,2年間継続利用していた30名(78.9±8.2歳、男性12名/女性18名)とした.除外基準は①評価項目の欠損値がある者,②屋内移動が自立困難な者とした.本調査の社会参加の指標はFrenchay Activities Index(以下,FAI)を用いた.調査項目は属性として年齢,性別,BMI,認知機能(Clinical Dementia Rating:以下,CDR),要介護度,主疾患とし,生活機能は開始時と1年後,2年後の膝伸展筋力の体重比(以下,筋力),最大歩行速度,Functional Independence Measure (以下,FIM)を診療録より抽出した.分析方法は,まず社会参加状況で群分けするために,利用開始時のFAIから5分位数を算出し,2年後の分位が開始時と比べ上昇した者を改善群,低下した者を低下群に割り付けた.その際,同一分位の維持者については最上分位を除いて低下群に分類した.次に,上記の群(改善群・低下群)と時間(開始・1年後・2年度)要因を用いて反復測定二元配置分散分析を実施し,社会参加の変化が生活機能,および要介護度に与える影響について検証した. 【結果】
社会参加の群分けは,改善群が14名,低下群が16名であった.開始時,1年後,2年後のFAI得点は改善群で15.3±8.0点,18.9±6.4点,19.5±5.9点,低下群で11.4±5.3点,11.9±4.1点,9.8±4.1点であった.開始時の両群の年齢,男女比,BMIおよび主疾患の罹患割合についていずれも有意差は見られなかった.分散分析の結果,筋力では交互作用を認め,多重比較では改善群においてのみ開始時vs 1年後(p < 0.01),開始時vs 2年後(p < 0.01)に有意差が見られた.一方,最大歩行速度やFIM,要介護度については交互作用が見られず,いずれの時期においても有意差は見られなかった.
【結論】
本研究の結果,通所リハ利用者においても社会参加を向上することは,長期的な筋力の改善に寄与する可能性が示された.
【倫理的配慮、説明と同意】
対象者には本研究の趣旨と内容および研究への参加は自由意志であり,被験者にならなくても不利益にはならないことを説明し,口頭と書面で同意を得た.
近年,地域リハビリテーションでは社会参加の促進が推奨されている.しかし,多様な障害を有する通所リハビリテーション(以下,通所リハ)利用者を対象とした場合,健常高齢者と同じように社会参加の促進が筋力や歩行,ADLなど生活機能の改善につながるかについては明らかではない.そこで本研究では縦断データを用い,通所リハ利用者の中で社会参加の改善した者と低下した者に分類し,生活機能や要介護度に与える影響について検討することを目的とした.
【方法】 研究デザインは症例対照研究とした。対象は2014年4月以降に当院の通所リハを開始し,2年間継続利用していた30名(78.9±8.2歳、男性12名/女性18名)とした.除外基準は①評価項目の欠損値がある者,②屋内移動が自立困難な者とした.本調査の社会参加の指標はFrenchay Activities Index(以下,FAI)を用いた.調査項目は属性として年齢,性別,BMI,認知機能(Clinical Dementia Rating:以下,CDR),要介護度,主疾患とし,生活機能は開始時と1年後,2年後の膝伸展筋力の体重比(以下,筋力),最大歩行速度,Functional Independence Measure (以下,FIM)を診療録より抽出した.分析方法は,まず社会参加状況で群分けするために,利用開始時のFAIから5分位数を算出し,2年後の分位が開始時と比べ上昇した者を改善群,低下した者を低下群に割り付けた.その際,同一分位の維持者については最上分位を除いて低下群に分類した.次に,上記の群(改善群・低下群)と時間(開始・1年後・2年度)要因を用いて反復測定二元配置分散分析を実施し,社会参加の変化が生活機能,および要介護度に与える影響について検証した. 【結果】
社会参加の群分けは,改善群が14名,低下群が16名であった.開始時,1年後,2年後のFAI得点は改善群で15.3±8.0点,18.9±6.4点,19.5±5.9点,低下群で11.4±5.3点,11.9±4.1点,9.8±4.1点であった.開始時の両群の年齢,男女比,BMIおよび主疾患の罹患割合についていずれも有意差は見られなかった.分散分析の結果,筋力では交互作用を認め,多重比較では改善群においてのみ開始時vs 1年後(p < 0.01),開始時vs 2年後(p < 0.01)に有意差が見られた.一方,最大歩行速度やFIM,要介護度については交互作用が見られず,いずれの時期においても有意差は見られなかった.
【結論】
本研究の結果,通所リハ利用者においても社会参加を向上することは,長期的な筋力の改善に寄与する可能性が示された.
【倫理的配慮、説明と同意】
対象者には本研究の趣旨と内容および研究への参加は自由意志であり,被験者にならなくても不利益にはならないことを説明し,口頭と書面で同意を得た.