第6回日本地域理学療法学会学術大会

講演情報

一般口述

健康増進2

[O] 一般口述4

2019年12月14日(土) 14:10 〜 15:10 第3会場 (東館2階 中会議室)

座長:竹林 秀晃(土佐リハビリテーションカレッジ 理学療法学科)

[O-021] 当町通年開催の介護予防体操教室参加者のJST版活動能力別にみた身体機能と主観的健康感の比較及び効果検証

*松本 悠作1 (1. 高浜町役場 保健福祉課 地域包括支援センター)

キーワード:地域包括支援センター、介護予防教室、JST版活動能力指標

【はじめに・目的】
福井県高浜町(人口約1万人:高齢化率31%)で開催する介護予防体操教室は、地域在住高齢者を対象に町内施設の理学療法士らを講師とし、座位で行う体操やコグニサイズ、レクレーションなど90分の講座を各公民館で月2回ずつ実施し通年開催している。当町の教室は身体機能及び主観的健康感の改善を認めているが、参加者全体としての効果であり元々活動能力が高い者にとっても改善効果を示すのか疑問が残る。今回、高齢者のより高次な能力を反映するJST版活動能力指標(以下,活動能力指標)を用いて身体機能及び主観的健康感を後方視的に比較検証することを目的とする。
【方法】
平成30年4月~平成31年3月の間に参加された127名に対して初期(7月〜8月)と最終(2月〜3月)で体力測定を実施、さらに最終時に活動能力指標の質問紙調査を実施した。対象を127名のうち体力測定データ及び活動能力指標に欠損のない39名とした。さらに39名を活動能力指標の合計平均点10.3を基準に10点以下の者20名(平均年齢78.5±6.1歳/女19名/参加率81%)を低群、11点以上の者19名(平均年齢72.6±3.8歳/女16名/参加率82%)を高群に分類し、基本属性(性別・年齢)、体力測定項目(BMI・平均握力・片脚立位時間・5m歩行通常速度・5m最速歩行速度・長座体前屈・TUG・背筋力)、主観的健康感において①初期測定データを群間比較し、さらに②初期と最終測定データを各群で群内比較した。統計学的処理はR version3.5.3を用いて群間比較はT検定、Mann-Whitney U検定を実施、群内比較は対応のあるT検定とWilcoxon符号付順位和検定を実施した。統計学的有意水準は5%未満とした。
【結果】
①の群間比較で、年齢は高群が有意に若く(p<0.001)、体力測定は高群の方が5m通常・最大歩行速度(p<0.01)、TUG(p<0.05)で有意に速く、背筋力(p<0.01)とBMI(p<0.05)が有意に高かった。主観的健康感において有意差はみられなかった。②の群内比較において高群では主観的健康感が有意に改善し(p<0.05)、低群ではBMIとTUGが有意に改善していた(p<0.05)。
【結論】
当町の教室参加者において活動能力指標の点数が高い者は低い者に比べて歩行能力や筋力が高く、体格も大きいことがわかった。当町の教室の効果としては活動能力が高い者にとって精神的な改善効果を示し、低い者には身体的な改善効果を示していることが明らかになった。今回の研究では、当町在住高齢者において日常的な活動能力に関わらず、教室へ参加する意義を示すことができたと考えており、今後の教室継続・参加者の増大に寄与するものと期待する。

【倫理的配慮、説明と同意】
本報告は所属機関である地域包括支援センターと委託先機関からの承認を得ている。