第6回日本地域理学療法学会学術大会

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一般口述

健康増進2

[O] 一般口述4

Sat. Dec 14, 2019 2:10 PM - 3:10 PM Room3 (East Building 2nd floor, Middle Conference Room)

座長:竹林 秀晃(土佐リハビリテーションカレッジ 理学療法学科)

[O-023] 元気サロンに集う高齢者の背景調査と今後の課題
秋田市郊外における高齢者の特性

*見達 政哉1、佐藤 沙耶花1、森 加奈子1、久住 絵梨子1、福原 隆志1、田安 義昌1 (1. 中通リハビリテーション病院)

Keywords:社会参加、地域在住高齢者、高齢化

【はじめに、目的】
秋田県の高齢化率は27.7%(平成29年)であり、全国で最も高齢化の高い地域の一つである。高齢となっても健康で活動的な生活を送るためには、地域社会と継続した関わりをもつことが重要であると示唆されている。当法人内の診療所(秋田市土崎地区)において、平成29年度より診療所の患者及び近隣住民等を対象とした「港北元気サロン(以下、元気サロン)」を開設し、地域住民の交流の場となっているとともに、転倒・介護予防教室や栄養講座、笑いヨガなど月に1度のペースで様々な活動を実施している。本研究は元気サロン参加者における高齢者の生活状況や身体機能について調査を行い、高齢化の進む地域における元気サロンの有効性と課題について検討するものである。
【方法】
対象は元気サロンへ参加した24名(中央値76.5歳、65-86歳。男性6名、女性18名。平成30年11月)とした。質問紙によるアンケート調査(同居者の有無、介助必要性の有無、日常的な運動習慣の有無、外出の目的、現在の目標)及び身体機能評価(片脚立位、TUG、握力)を実施した。身体機能評価においては運動器不安定症評価基準やAWGS(Asian Working Group for Sarcopenia)診断基準を参考に基準値を設定した(片脚立位:15秒、TUG:11秒、握力:男性26kg、女性18kg)。集計は単純集計にて行い、元気サロン参加者の生活状況や身体機能における特徴について検討した。
【結果】
参加者24名すべてから調査協力を得た。アンケートの結果、同居者がいるものは16名(67%)、いないものは8名(33%)であった。日常生活に介助を要するものは8名(35%)、介助の必要がないものは5名(22%)、未回答10名(43%)であった。日常的に運動習慣があるものは19名(79%)、運動習慣がないものは4名(17%)、未回答1名(4%)であった。外出の目的(複数回答)では、買い物が21名(18%)と最も多く、次いで通院18名(15%)、散歩17名(14%)、外食16名(14%)であった。現在の目標の有無については、ありが23名(96%)、未回答が1名(4%)であり、目標の多くは屋外活動に関連する内容であった。身体機能評価について基準値を上回ったものは、片脚立位が18名(75%)、握力が21名(87.5%)、TUGが24名(100%)で、多くの参加者が全ての項目で基準値を上回った。
【結論】 元気サロンの参加者の多くは普段から活発な生活を送り、身体機能も良好に維持されていることが明らかとなった。全国的に高齢化や核家族化の進行により、高齢者の単独世帯は増加傾向であり、とりわけ秋田県ではその傾向が顕著である。今回の対象者においても参加者の約3割は単身者であり、元気サロンへの継続的な参加が周囲との関わりや外出機会の増加に繋がるきっかけとなっていると示唆された。一方、周囲との関わりや外出機会が少ない高齢者に対して、どのようにして元気サロンへの参加を促していけるかが今後の課題であると考える。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき計画し、対象者には本研究の目的を説明し同意を得た。