第6回日本地域理学療法学会学術大会

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一般口述

健康増進2

[O] 一般口述4

Sat. Dec 14, 2019 2:10 PM - 3:10 PM Room3 (East Building 2nd floor, Middle Conference Room)

座長:竹林 秀晃(土佐リハビリテーションカレッジ 理学療法学科)

[O-024] 泉州骨粗鬆症マネージャーが行う地域における1次骨折予防の取り組みと今後の展望

*今奈良 有1、松本 凱貴2、中尾 祐基3、今岡 真和4、田中 雅博5 (1. りんくう永山病院 リハビリテーション課、2. 永山病院 リハビリテーション部、3. 玉井整形外科内科病院、4. 大阪河﨑リハビリテーション大学、5. 永山病院 骨粗しょう症センター)

Keywords:泉州骨粗鬆症マネージャー会議、骨粗鬆症マネージャー、骨折予防

【はじめに】
当院では2017年より、院内の骨折予防と転倒予防を目的とした骨粗鬆症リエゾンサービス(Osteoporosis Liaison service:OLS)を結成した。この院内活動は患者の2次骨折予防を主としたものであり一定の成果をあげつつある。そして、この取り組みを発展させるため他院や他施設に勤務するOLS有資格者と連携して、泉州骨粗鬆症マネージャー会議を発足させた。本報告は、今回実施した骨粗鬆症患者の早期発見と初発骨折の予防を目的とした1次骨折予防の取り組みについて若干の考察を加え報告する。
【泉州骨粗鬆症マネージャー会議の概要】 泉州骨粗鬆症マネージャー会議には医師、看護師、理学療法士、作業療法士、薬剤師、MRなど多職種が参加し、大阪府泉州地域の骨粗鬆症および骨折予防の啓発推進に取り組んでいる。2018年4月に結成し、3ヶ月に1回の会議を開催している。泉州地域の骨折予防、転倒予防を目的とした講演会にOLS有資格者が講師の派遣や泉州地域の健康づくり教室において骨密度の計測サポートなどを実施している。 【1次骨折予防の取り組みの成果】
地域に自主的な健康づくり活動をしているグループからの講演会依頼を受けた際の取り組みを報告する。同講演会に参加し、同意を得た泉州地域在住の高齢者25名(75.7±9.6歳)を対象に転倒の原因となるロコモ評価(ロコチェック)と今後10年以内の骨折リスク評価するFracture Risk Assessment Tool(以下:FRAX)を実施した。質問指標で行うロコチェックには7項目中1つ以上該当していると答えた方は21名(84%)であった。また、FRAXにおいて骨折ハイリスク(≧15%)であったのは18名(72%)であった。 地域の健診教室および講演会に参加した高齢者111名(75±5.5歳)を対象にロコモ評価(2ステップテスト)と踵骨で骨密度を計測するQUS法を行った。2ステップテスト(2歩幅÷身長)の値が1.3未満の場合はロコモ度1、1.1未満の場合はロコモ度2と判定する。今回ロコモ度1は24名、ロコモ度2は26名であった。QUS法による骨密度の計測は93名に実施し、そのうち31名(33.3%)がYAM値80%以下の骨密度低下傾向に該当していた。 【考察】
地域に点在するOLS有資格者の1次骨折予防の取り組みを促進するため会を発足させ、いくつかの活動を実施した。泉州の一部の地域では被保険者一人あたりの年間医療費が全国平均と比較しても3万円以上高く、今後は介護サービス給付費の増加が予想されている現状である。骨粗鬆症による骨折は入院を必要とすることがあり、日常生活動作が制限されることで要介護に移行する場合がある。OLSによって治療が必要な患者を早期発見し、医療機関へ繋げることで健康寿命延伸の一助になると考える。

【倫理的配慮、説明と同意】
地域の健診教室および講演会に参加した高齢者に対して書面にて説明し、同意が得られた方のみ対象とした。