第6回日本地域理学療法学会学術大会

講演情報

一般口述

老年学3

[O] 一般口述5

2019年12月14日(土) 15:20 〜 16:20 第2会場 (東館2階 セミナー室)

座長:松本 大輔(畿央大学 健康科学部理学療法学科)

[O-025] 地域在住高齢者における身体活動量と身体・認知機能および身体組成との関連性

*富岡 一俊1,5、牧迫 飛雄馬1、中井 雄貴1,2、谷口 善昭1,3、木山 良二2、和田 あゆみ1,5、佐藤 奈々1,5、窪園 琢朗4、竹中 俊宏5、大石 充4 (1. 鹿児島大学大学院保健学研究科、2. 鹿児島大学医学部保健学科、3. 鹿児島医療技術専門学校、4. 鹿児島大学心臓血管・高血圧内科学、5. 垂水市立医療センター垂水中央病院)

キーワード:筋量、歩数、3 軸加速度計

【はじめに,目的】
健康日本21(第二次)における65歳以上の身体活動の目標として,歩数の増加が言及されている。また、身体活動量の指標には,低強度および中高強度の活動時間が用いられるが,これらの身体活動量の指標と身体・認知機能、身体組成との関連性については,どのような機能への寄与が期待されるかは十分な検討がなされていない。本研究の目的は,地域在住高齢者の身体・認知機能および身体組成の指標と関連する歩数や強度別の身体活動量といった身体活動に関する指標を明らかとすることを目的とした。
【方法】
地域コホート研究(垂水研究2018)に参加した地域在住高齢者のうち,脳卒中やパーキンソン病,認知症の既往がなく,身体活動量の計測が可能であった199名(平均年齢74.3±5.7歳,女性62.8%)を分析対象とした。
基本情報の聴取の他,身体機能として,歩行速度,握力,認知機能評価として,National Center for Geriatrics and Gerontology - Functional Assessment Toolによる記憶,注意機能,実行機能,情報処理能力,身体組成として,生体インピーダンス法による四肢骨格筋指数(以下,SMI),体脂肪率,Body Mass Index (以下,BMI)の評価を行った。
身体活動量は、3 軸加速度計(Active style Pro HJA-750C,オムロン社製)を用いて計測し,身体活動量の指標として,一日当たりの歩数(歩/日)と安静座位(<1.5METs)時間(以下,SB)(分/日),低強度活動(≧1.5 - <3.0 METs)時間(以下,LIPA)(分/日),中高強度活動(≧3.0 METs)時間(以下,MVPA)を算出した。なお,装着期間は2週間とし,一日あたり10時間以上装着した日数が4日以上を満たしたデータを採用した
統計解析は,各身体活動量指標(歩数,SB,LIPA,MVPA)と身体・認知機能,身体組成指標との相関分析の後,線形回帰分析(共変量:年齢,性別)を行い,有意水準は5%とした。

【結果】
身体活動量の各指標との関連について,身体機能では,歩行速度が歩数(β= 0.23,p<0.001)とMVPA(β= 0.16,p<0.05),身体組成では,体脂肪率が歩数(β= - 0.16,p<0.05)とMVPA(β= - 0.21,p<0.01),BMIがLIPA(β= - 0.18,p<0.01),認知機能では,記憶がMVPA(β= 0.14,p<0.05),情報処理能力が歩数(β= 0.25,p<0.001)と有意に関連していた。

【結論】
地域在住高齢者における身体活動に関する指標のなかでも,とくに日歩数や3METs以上の中高強度活動時間が歩行速度や記憶,情報処理能力と関連することが示された。健康づくりのための身体活動基準2013やWHOガイドライン2010では中高強度の身体活動時間が提示されており,今回の結果からも,地域在住高齢者における歩数や中高強度活動時間は認知機能や身体組成と関連する重要な指標であることが確認された。さらに,低強度活動時間についてもBMIとの関連が示され,その意義をさらに検討していく必要があると考えられた。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき、対象者に対して研究内容の説明、研究への参加の撤回,個人情報の保護等について十分に説明し同意を得た。また、鹿児島大学疫学研究等倫理委員会の承認(170351疫)を得て実施した。