[O-034] 地域在住高齢者における社会参加とサルコペニアの関連性
Keywords:社会参加、地域在住高齢者、サルコペニア
【はじめに・目的】
サルコペニアとは加齢に伴って生じる全身性の筋量および筋力低下を特徴とする症候群であり、歩行速度低下、活動度低下、基礎代謝低下やバランス障害、生活機能障害を引き起こし、フレイルや要介護状態の進行につながる可能性が高い。サルコペニアの予防には、栄養や運動、薬剤による介入効果が期待されており、とくに運動療法と栄養療法の併用が筋力向上に効果的であることが示唆されている。また、社会参加頻度の減少によって、移動能力障害が生じることが示唆されており、社会参加とサルコペニアとの関連も推察されているが、未だ明らかとなっていない。そこで、本研究は社会参加とサルコペニアの関連性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
地域コホート研究(垂水2018)に参加し、データ利用の同意があった地域在住高齢者859名のうち、脳卒中、パーキンソン病、認知症の既往、要介護認定がなく、社会参加に関する回答が得られた751名(平均年齢74.7歳)を分析対象とした。歩行速度と握力を測定し、四肢骨格筋量は生体インピーダンス法により算出し、Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS)のアルゴリズムに基づいてサルコペニアの有無を判定した。対象者の社会参加の状況は、高得点ほど充実した社会参加であることを示すJST版活動能力指標の4項目(地域のお祭りや行事などへの参加、町内会・自治会での活動、自治会やグループ活動の世話役や役職、奉仕活動やボランティア活動への参加)により0~4点で評価した。
【結果】
751名のうち115名(15.3%)がサルコペニアに該当した。JST版活動能力指標の社会参加に関する4項目の得点の平均値は2.53±1.38点であった。社会参加得点とサルコペニアの有無の関連を解析した結果、社会参加得点が高いほどサルコペニアの羅患数が有意に少ないことが示された(P<0.001)。また、従属変数をサルコペニアの有無、独立変数を社会参加得点(0~4点)とした二項ロジスティック回帰分析の結果、社会参加得点のオッズ比が0.76(95%信頼区間0.65-0.90、P=0.001)であった(共変量:年齢、性別、教育歴、服薬状況、転倒歴、運動習慣)。
【結論】
高齢者において社会参加頻度が高いほどサルコペニアのリスクの抑制に関連することが示唆された。加齢に加えて、社会参加頻度が減少することで、外出頻度が減少し、その結果として身体機能や筋肉量が低下を引き起こされ、サルコペニアとなる可能性が高くなる。一方で、サルコペニアは閉じこもりの発生につながるという報告もあり、今後は、縦断的研究を行い、社会参加頻度減少とサルコペニアの因果の方向性を検証する必要性がある。健康増進のためには、理学療法士による地域での運動教室などへの参加、または奉仕活動やボランティア活動、地域行事といった社会参加を促進することによるサルコペニア予防への寄与を前方視的に検証する必要性がある。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき、対象者のプライバシーおよび個人情報の保護、研究内容の説明、研究への参加の撤回について十分に説明し同意を得た。また、鹿児島大学疫学研究等倫理委員会の承認(170351疫)を得て実施した。
サルコペニアとは加齢に伴って生じる全身性の筋量および筋力低下を特徴とする症候群であり、歩行速度低下、活動度低下、基礎代謝低下やバランス障害、生活機能障害を引き起こし、フレイルや要介護状態の進行につながる可能性が高い。サルコペニアの予防には、栄養や運動、薬剤による介入効果が期待されており、とくに運動療法と栄養療法の併用が筋力向上に効果的であることが示唆されている。また、社会参加頻度の減少によって、移動能力障害が生じることが示唆されており、社会参加とサルコペニアとの関連も推察されているが、未だ明らかとなっていない。そこで、本研究は社会参加とサルコペニアの関連性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
地域コホート研究(垂水2018)に参加し、データ利用の同意があった地域在住高齢者859名のうち、脳卒中、パーキンソン病、認知症の既往、要介護認定がなく、社会参加に関する回答が得られた751名(平均年齢74.7歳)を分析対象とした。歩行速度と握力を測定し、四肢骨格筋量は生体インピーダンス法により算出し、Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS)のアルゴリズムに基づいてサルコペニアの有無を判定した。対象者の社会参加の状況は、高得点ほど充実した社会参加であることを示すJST版活動能力指標の4項目(地域のお祭りや行事などへの参加、町内会・自治会での活動、自治会やグループ活動の世話役や役職、奉仕活動やボランティア活動への参加)により0~4点で評価した。
【結果】
751名のうち115名(15.3%)がサルコペニアに該当した。JST版活動能力指標の社会参加に関する4項目の得点の平均値は2.53±1.38点であった。社会参加得点とサルコペニアの有無の関連を解析した結果、社会参加得点が高いほどサルコペニアの羅患数が有意に少ないことが示された(P<0.001)。また、従属変数をサルコペニアの有無、独立変数を社会参加得点(0~4点)とした二項ロジスティック回帰分析の結果、社会参加得点のオッズ比が0.76(95%信頼区間0.65-0.90、P=0.001)であった(共変量:年齢、性別、教育歴、服薬状況、転倒歴、運動習慣)。
【結論】
高齢者において社会参加頻度が高いほどサルコペニアのリスクの抑制に関連することが示唆された。加齢に加えて、社会参加頻度が減少することで、外出頻度が減少し、その結果として身体機能や筋肉量が低下を引き起こされ、サルコペニアとなる可能性が高くなる。一方で、サルコペニアは閉じこもりの発生につながるという報告もあり、今後は、縦断的研究を行い、社会参加頻度減少とサルコペニアの因果の方向性を検証する必要性がある。健康増進のためには、理学療法士による地域での運動教室などへの参加、または奉仕活動やボランティア活動、地域行事といった社会参加を促進することによるサルコペニア予防への寄与を前方視的に検証する必要性がある。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき、対象者のプライバシーおよび個人情報の保護、研究内容の説明、研究への参加の撤回について十分に説明し同意を得た。また、鹿児島大学疫学研究等倫理委員会の承認(170351疫)を得て実施した。