第6回日本地域理学療法学会学術大会

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一般口述

多職種連携

[O] 一般口述7

Sat. Dec 14, 2019 4:30 PM - 5:30 PM Room3 (East Building 2nd floor, Middle Conference Room)

座長:渡邊 勧(介護老人保健施設桜の郷敬愛の杜 リハビリ課)

[O-038] 地域防災訓練での災害リハビリテーション啓発

*児玉 美香1 (1. 君津中央病院)

Keywords:中学生、災害、防災訓練

【はじめに・目的】演者は東日本大震災後、気仙沼地域リハビリテーション支援チームに参加し、平時からの地域の繋がりが大切と感じ、有志と共に君津圏域PT.OT.ST連絡協議会(以下POS連)を設立した。2次保健医療圏を構成する4市のリハビリ専門職団体で、災害部があり、地域防災訓練に参加してきた。5年間の災害部の活動を振り返るとともに、中学生へ災害リハビリテーションの啓発を行う機会を得たので報告する。
【方法】POS連の名刺を作成し、4市の防災担当課に挨拶に伺い、地域防災訓練で深部静脈血栓予防を啓発する提案をした。参加住民にPOS連災害部作成のチラシを配布し、深部静脈血栓の発症機序を説明した動画を見た後に予防体操を実演し、ダンボールベッド組み立て体験を行った。
【結果】市によって、また会場やプログラムによって異なるが、防災訓練では15分から1時間半の啓発時間をいただいた。上記以外にも、福祉用具供給協会と協働し、車椅子やスロープ、松葉杖の体験ブースを運営した。また社会福祉協議会から車椅子を借り、回復期病院から高齢者体験セットを借りて、高齢者体験ブースを運営した。商店からもらったダンボール箱でダンボールベッドを作って、市長に寝ていただいたこともあった。福祉避難所運営訓練ではトリアージに協力し、東日本大震災や熊本地震でリハビリ専門職が行った活動を報告した。災害時の地域の活動資源と言われている中学生の訓練参加を働きかけ、今年度の土砂災害避難訓練では深部静脈血栓予防と体操、ダンボールベッド組み立て体験が実現した。中学生へのアンケートでは「もし災害が起きて避難所に行ったら深部静脈血栓予防体操を周りの人に教えられる」69%。「避難所にダンボールベッドがあったら組み立てられる」83%の回答を得た。
【結論】
学校が防災訓練会場や避難所になることが多く、中学生が参加することは災害リハビリの啓発力としても期待できる。災害時には被災者になっている可能性もあり、自分と家族を守れるだけでも意義は大きいと考える。
防災訓練にPOS連が参加することが当たり前になっており、防災担当者とメールや電話でやりとりできる関係が構築できた。4年前、災害リハビリについてPOS連会員にアンケートを行った結果、「特別な分野、わからないからできない、家族が優先だから協力できない」という声が多かったが、災害部員は6名から15名に増えた。「防ぎえる災害死」を防ぐため発災時に駆けつけるのでは無く、平時に地域住民に啓発する防災訓練は、災害リハビリの入り口と考えている。深部静脈血栓予防やダンボールベッドというコンテンツを決めることで参加しやすく、ポピュレーションアプローチを得意とする理学療法士の地域貢献の場にもなっている。多施設、多職種が協働する仲間作りが、災害時にも地域をリハビリテーションする力になると信じたい。

【倫理的配慮、説明と同意】
地域防災訓練担当者と中学校には記録用の写真を撮影することやアンケート結果を学会発表させていただくことについてご説明し、承諾を得た。写真撮影については個人が特定できないような角度から撮影するよう配慮した。