[O-059] Quality of Deathのために「美しい寝姿」を検討した一症例
キーワード:Quality of Death、ポジショニング、訪問リハビリテーション
【はじめに・目的】
看取りの医療・介護において厚生労働省の調査では、「自宅で最期まで療養したい」、「自宅で療養して、必要になれば医療機関を利用したい」が6割になり、最後を過ごす場所として在宅の希望者が半数以上となっており、在宅での医療・介護が重要になってくる。現状として終末期リハビリは肺炎や褥瘡の二次的な予防や疼痛・苦痛の除去、関節拘縮の予防、家族へのケアなどが必要であり、近年ではQuality of Death(以下QOD)といった死の質ということも重要視されてきている。今回の症例を通してご家族とご本人の最後の迎え方について話す機会があり、亡くなる際の美しい寝姿を検討しため報告をする。
【方法】
本症例は80歳代、女性、進行性核上性麻痺の進行により寝たきり・ADL全介助である。要介護5で在宅サービスは訪問リハビリが週3回、訪問看護週2回、訪問入浴週1回、往診が月1回利用している。Keypersonは娘であり、娘との会話からは「母のために介護を頑張りたい」と献身的な話が聞かれ、また「状態が悪いときもあるから覚悟はしています」と終末期における話も聞かれた。家族から終末期での話が聞かれたことから、理学療法士としてご本人とご家族の最後を迎えることに関して寝姿の改善ができないか検討をした。身体機能は体幹・四肢の固縮により中等度制限がみられ、臥位の姿勢は常に筋緊張が高い状態で頚部伸展が強く、常に2横指の開口をしている状態が見受けられる。左上肢は屈曲位、右上肢は伸展位、両下肢ははさみ足の姿位となっている。頚部・顎のストレッチやマッサージ、四肢の関節可動域運動、呼吸リハビリ、口腔ケア、家族へのポジショニングの指導を行った。
【結果】
6ヶ月の介入を実施し、家族へのポジショニングの指導は一緒に行いながらその都度指導を行った。その結果、筋緊張の軽減により関節可動域制限が上下肢ともに軽度改善、合掌が可能となった。臥位は、頚部伸展が軽減し、開口も1横指以下、時折唾液の飲み込みで誤嚥することなく閉口する様子もみられた。はさみ足も改善した。
【結論】
本症例はポジショニングの不良により筋緊張異常を引き起こし、上下肢・頚部の関節可動域制限、頚部伸展により咽頭挙上制限、開口があった。リハビリでポジショニング指導を行い身体の支持面の拡大し、筋緊張の軽減ができたことにより関節運動が可能となり合掌ができ、臥位の姿勢改善にもつながった。ご遺体の評価では皮膚や口腔、手指、下肢の屈曲拘縮などが評価項目としていわれており、見た目の問題として開口が最も多くご遺体のトラブルでみられる。ご本人とご家族との最後の迎え方を話し合う中で、理学療法士して美しい寝姿を獲得することで高いQODを得られる可能性がある症例であった。
【倫理的配慮、説明と同意】
本症例の発表にあたり、ご家族に対して十分な説明とプライバシーの配慮することを約束し、口頭と書面にて同意を得た。
看取りの医療・介護において厚生労働省の調査では、「自宅で最期まで療養したい」、「自宅で療養して、必要になれば医療機関を利用したい」が6割になり、最後を過ごす場所として在宅の希望者が半数以上となっており、在宅での医療・介護が重要になってくる。現状として終末期リハビリは肺炎や褥瘡の二次的な予防や疼痛・苦痛の除去、関節拘縮の予防、家族へのケアなどが必要であり、近年ではQuality of Death(以下QOD)といった死の質ということも重要視されてきている。今回の症例を通してご家族とご本人の最後の迎え方について話す機会があり、亡くなる際の美しい寝姿を検討しため報告をする。
【方法】
本症例は80歳代、女性、進行性核上性麻痺の進行により寝たきり・ADL全介助である。要介護5で在宅サービスは訪問リハビリが週3回、訪問看護週2回、訪問入浴週1回、往診が月1回利用している。Keypersonは娘であり、娘との会話からは「母のために介護を頑張りたい」と献身的な話が聞かれ、また「状態が悪いときもあるから覚悟はしています」と終末期における話も聞かれた。家族から終末期での話が聞かれたことから、理学療法士としてご本人とご家族の最後を迎えることに関して寝姿の改善ができないか検討をした。身体機能は体幹・四肢の固縮により中等度制限がみられ、臥位の姿勢は常に筋緊張が高い状態で頚部伸展が強く、常に2横指の開口をしている状態が見受けられる。左上肢は屈曲位、右上肢は伸展位、両下肢ははさみ足の姿位となっている。頚部・顎のストレッチやマッサージ、四肢の関節可動域運動、呼吸リハビリ、口腔ケア、家族へのポジショニングの指導を行った。
【結果】
6ヶ月の介入を実施し、家族へのポジショニングの指導は一緒に行いながらその都度指導を行った。その結果、筋緊張の軽減により関節可動域制限が上下肢ともに軽度改善、合掌が可能となった。臥位は、頚部伸展が軽減し、開口も1横指以下、時折唾液の飲み込みで誤嚥することなく閉口する様子もみられた。はさみ足も改善した。
【結論】
本症例はポジショニングの不良により筋緊張異常を引き起こし、上下肢・頚部の関節可動域制限、頚部伸展により咽頭挙上制限、開口があった。リハビリでポジショニング指導を行い身体の支持面の拡大し、筋緊張の軽減ができたことにより関節運動が可能となり合掌ができ、臥位の姿勢改善にもつながった。ご遺体の評価では皮膚や口腔、手指、下肢の屈曲拘縮などが評価項目としていわれており、見た目の問題として開口が最も多くご遺体のトラブルでみられる。ご本人とご家族との最後の迎え方を話し合う中で、理学療法士して美しい寝姿を獲得することで高いQODを得られる可能性がある症例であった。
【倫理的配慮、説明と同意】
本症例の発表にあたり、ご家族に対して十分な説明とプライバシーの配慮することを約束し、口頭と書面にて同意を得た。