第6回日本地域理学療法学会学術大会

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一般口述

訪問・通所4

[O] 一般口述13

Sun. Dec 15, 2019 2:50 PM - 3:50 PM Room2 (East Building 2nd Floor, Seminar Room)

座長:上野 浩司(社会福祉法人 長浜市社会福祉協議会 介護事業課)

[O-076] 通所リハビリテーション利用者における身体・認知機能の縦断的検討

*脇田 正徳1、桑原 嵩幸1、山﨑 志信1、齋藤 優季1、森 公彦2、沖塩 尚孝1、長谷 公隆2 (1. 関西医科大学香里病院リハビリテーション科、2. 関西医科大学附属病院リハビリテーション科)

Keywords:通所リハビリテーション、高齢者、フレイル

【はじめに・目的】
超高齢社会である我が国において、高齢者の健康寿命の延伸は重要課題である。特に、高齢者は加齢や並存疾患により身体、認知機能が低下すると容易に虚弱状態(フレイル)に陥り、要介護者となるリスクを有している。地域包括ケアシステムにおいて、通所リハビリテーションでは介護保険制度下で生活期リハビリテーションを提供し、高齢者の健康を支える役割を担う。そのため、本研究では通所リハビリテーションにおけるアウトカムを縦断的に検討し、身体および認知機能に及ぼす効果について検証することを目的とした。
【方法】
対象は当院の通所リハビリテーションを利用した地域在住者89名とした(76.7±8.1歳、男性31名、女性58名)。利用頻度は一回あたり40分の運動療法を週1-3回とし、利用者に応じて筋力トレーニング、持久力トレーニング、バランストレーニング、歩行トレーニングを組み合わせて実施した。利用開始時から3ヶ月ごとに身体機能として体重、下肢筋力(股関節外転、膝関節伸展、足関節底屈の左右平均値を体重で正規化)、バランス(Berg Balance Scale)、歩行能力(快適歩行速度、6分間歩行距離)を計測した。また、認知機能としてMini-Mental State Examination(MMSE)を評価した。フレイルスコアの指標には基本チェックリストを使用した。統計解析では、反復測定分散分析を用いて各指標の推移を比較し、多重検定にはTukeyのHSD検定を用いた(有意水準5%)。
【結果】
股関節外転筋力、足関節底屈筋力、バランス、歩行能力、フレイルスコアは開始3ヶ月で有意に改善し、6ヶ月後も維持できていた。体重とMMSEは、開始6ヶ月後に有意な改善を認めた。一方、膝関節伸展筋力には有意な改善を認めなかった。
【結論】
下肢筋力やバランス、歩行能力、フレイルスコアはいずれも3ヶ月で有意に改善した。また、体重やMMSEが6ヶ月後に有意に増加したことから、緩徐ではあるが栄養状態の指標となる体重、認知機能にまで運動の効果が期待できることが明らかになった。一方、膝関節筋力に変化を認めなかった理由として、高齢者に多い膝関節痛が影響している可能性があり、下肢痛を有する利用者には個別的な対応が必要であると推察された。地域包括システムにおける通所リハビリテーションの役割として、対象者の身体および認知機能に合わせて介入期間を適切に設定し、また、通所介護など他事業所と連携して卒業後も改善した機能を維持できるように支援することが重要と考えられた。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は本学の倫理委員会(承認番号:2018251)の承認を得て、個人情報の管理に十分配慮して実施した。