[O-078] レーザー距離計を用いたFunctional Reachの開発に関する研究
キーワード:訪問リハビリテーション、Functional Reach、レーザー距離計
【目的】
Functional Reach (以下FR)はDuncanらが開発した簡便なバランステストである。その測定は、物差しを壁に張り付け、目測で測定値を読み取るもので、煩雑であり在宅などの限られた環境では測定が困難な場合が多い。我々は、FRの原理に基づき、レーザー距離計を用いたFRの方法(以下レーザー距離計法)を考案した。今回は、レーザー距離計法とマルチスケールを用いた従来の方法(以下従来法)および、森尾らの指示棒を用いた方法(以下指示棒法)との比較をし、レーザー距離計法について検討した。
【方法】
健常男性20名、女性47名、計67名(平均年齢43.6±11.6歳)を対象とした。従来法にはmolten社製のマルチスケールを使用し、測定方法は田中らの方法に準じて行った。指示棒法にはコクヨ社製の指示棒を用い、測定方法は森尾らの方法に準じて行った。従来法、指示棒法の測定は2回実施し、最大値を代表値とした。レーザー距離計法にはTajima社製のレーザー距離計F02(LKT-F02R)を用いて行った。レーザー距離計法の測定手順は、①肩90°屈曲位で壁までの距離を測定する、②できるだけ前方に手を伸ばし、最大リーチ位置で壁までの距離を測定することとし、①の距離から②の距離を差し引くことで測定値とした。レーザー距離計法は壁からの距離を2m、3m、4mとし、それぞれ3回ずつ、ランダム化して実施した。それぞれ最大値を代表値とした。
統計解析はMicrosoft Excel 2016のデータ分析ツールを使用した。測定した3つの測定方法およびレーザー距離計の3方法の差には一元配置分散分析を行い、事後検定としてBonfferoni法を使用した。また、レーザー距離計法と従来法、指示棒法と従来法との相関をPearsonの相関係数を用いて算出した。有意水準を5%未満とした。
【結果】
各測定値の平均値は、レーザー距離計法が37.5±7.1cm、従来法が39.4±7.0cm、指示棒法が42.2±7.7cmであり、レーザー距離計法が指示棒法に比べ有意に小さく、それ以外の群には有意差がなかった。また、レーザー距離計法において、壁からの距離が3mの場合は37.2±7.3㎝、4mの場合は37.1±6.9㎝であり、各群に有意差はなかった。各測定方法の相関は、レーザー距離計法と従来法との間に0.71、指示棒法と従来法との間に0.75の有意な強い正の相関があった。
【結論】
レーザー距離計法は、従来のFRの方法と同様に妥当な尺度であり、壁からの距離に依存せずに測定できることが示唆された。レーザー距離計法は、前方に手を伸ばす動作中に、長さの目安がわかる物や支持物を用いないという特徴があり、自ら行使できるバランス能力を純粋に評価できる指標であり、今後、訪問リハビリテーションの際など限られた環境においても利用できると考えられる。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は青森県立保健大学研究倫理委員会の承認を得た(承認番号1824)。実施に当たってはヘルシンキ宣言に基づいて実施した。研究対象者には実験方法や実験対象者の有する権利などについて口頭および書面で十分に説明したうえで、口頭で同意を得た。
Functional Reach (以下FR)はDuncanらが開発した簡便なバランステストである。その測定は、物差しを壁に張り付け、目測で測定値を読み取るもので、煩雑であり在宅などの限られた環境では測定が困難な場合が多い。我々は、FRの原理に基づき、レーザー距離計を用いたFRの方法(以下レーザー距離計法)を考案した。今回は、レーザー距離計法とマルチスケールを用いた従来の方法(以下従来法)および、森尾らの指示棒を用いた方法(以下指示棒法)との比較をし、レーザー距離計法について検討した。
【方法】
健常男性20名、女性47名、計67名(平均年齢43.6±11.6歳)を対象とした。従来法にはmolten社製のマルチスケールを使用し、測定方法は田中らの方法に準じて行った。指示棒法にはコクヨ社製の指示棒を用い、測定方法は森尾らの方法に準じて行った。従来法、指示棒法の測定は2回実施し、最大値を代表値とした。レーザー距離計法にはTajima社製のレーザー距離計F02(LKT-F02R)を用いて行った。レーザー距離計法の測定手順は、①肩90°屈曲位で壁までの距離を測定する、②できるだけ前方に手を伸ばし、最大リーチ位置で壁までの距離を測定することとし、①の距離から②の距離を差し引くことで測定値とした。レーザー距離計法は壁からの距離を2m、3m、4mとし、それぞれ3回ずつ、ランダム化して実施した。それぞれ最大値を代表値とした。
統計解析はMicrosoft Excel 2016のデータ分析ツールを使用した。測定した3つの測定方法およびレーザー距離計の3方法の差には一元配置分散分析を行い、事後検定としてBonfferoni法を使用した。また、レーザー距離計法と従来法、指示棒法と従来法との相関をPearsonの相関係数を用いて算出した。有意水準を5%未満とした。
【結果】
各測定値の平均値は、レーザー距離計法が37.5±7.1cm、従来法が39.4±7.0cm、指示棒法が42.2±7.7cmであり、レーザー距離計法が指示棒法に比べ有意に小さく、それ以外の群には有意差がなかった。また、レーザー距離計法において、壁からの距離が3mの場合は37.2±7.3㎝、4mの場合は37.1±6.9㎝であり、各群に有意差はなかった。各測定方法の相関は、レーザー距離計法と従来法との間に0.71、指示棒法と従来法との間に0.75の有意な強い正の相関があった。
【結論】
レーザー距離計法は、従来のFRの方法と同様に妥当な尺度であり、壁からの距離に依存せずに測定できることが示唆された。レーザー距離計法は、前方に手を伸ばす動作中に、長さの目安がわかる物や支持物を用いないという特徴があり、自ら行使できるバランス能力を純粋に評価できる指標であり、今後、訪問リハビリテーションの際など限られた環境においても利用できると考えられる。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は青森県立保健大学研究倫理委員会の承認を得た(承認番号1824)。実施に当たってはヘルシンキ宣言に基づいて実施した。研究対象者には実験方法や実験対象者の有する権利などについて口頭および書面で十分に説明したうえで、口頭で同意を得た。