第6回日本地域理学療法学会学術大会

Presentation information

ポスター

ポスター4

[P] ポスター4

Sun. Dec 15, 2019 1:40 PM - 2:40 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-100] 高齢患者の退院1ヶ月後及び6ヶ月後のLSAの検討

*大畑 浩1、吉岡 翼1、宮崎 明菜1、高野 博之1、大石 信節1、安田 章1、広瀬 強志1 (1. 益田地域医療センター医師会病院)

Keywords:高齢者、Life space assessment、生活の拡がり

【はじめに、目的】
地域在住の高齢者で、Life space assessment(以下:LSA)が56点以下、Timed up and go test(以下:TUG)が12秒以上、この2つの項目で該当する者について、1年以内に活動能力が低下するリスクが2.4倍に高まると報告されている。今回、当病院を退院された患者について、1ヶ月後のLSAの違いによって、6ヶ月後のLSAや生活状況に違いがあるかを検証した。
【方法】
当院に入院されリハビリテーションを実施した歩行が可能な高齢患者で、2018年4月1日~11月30日に退院した者について、退院1ヶ月後にアンケート調査を実施した。退院1ヶ月後のアンケートの回収が可能であった118例に対して、退院6ヶ月後に再度アンケート調査を実施した。患者の基本的情報や退院時の身体機能については、電子カルテより調査した。身体機能については、Mini-Mental State Examination(以下:MMSE)、10m歩行テスト、TUGを調査した。アンケートの内容は、退院後の入院の有無、LSAを調査した。尚、MMSEで27点以下の者は軽度認知障害の疑いがあり、アンケート調査を若年層の家族や介護支援専門員に協力を依頼した。
退院6ヶ月後のアンケートの回収が可能であった103例(男性23例、女性80例、平均年齢80.95±9.54歳)を対象とした。103例中、退院1ヶ月のLSAが57点以上の者をA群(計29名)、56点以下の者をB群(計74名)と区分した。統計方法は、Easy Rを用いて、Mann-Whitney U検定を実施した。
【結果】
A群は、平均年齢74.69±12.68歳、MMSE27.00±2.80、10m歩行テスト12.19±3.44秒、TUG13.39±4.55秒、退院1ヶ月後のLSA83.48±18.48、退院6ヶ月後のLSA88.28±25.43であった。退院後1ヶ月後と6ヶ月後のLSAで有意差は認めなかった。
B群は、平均年齢82.45±8.04歳、MMSE23.63±4.56、10m歩行テスト20.93±14.06秒、TUG24.30.±16.32秒、退院1ヶ月後のLSA34.35±11.40、退院6ヶ月後のLSA44.57±18.12であった。退院後1ヶ月後と6ヶ月後のLSAで有意差を認めた(p<0.01)。
【結論】
A群では、退院後1ヶ月後と退院後6ヶ月後のLSAで有意差を認めなかったことについて、地域で生活し退院直後の生活を維持できている反面、それ以上に拡大していないことが示唆された。一方、B群では、退院1ヶ月後と退院6ヶ月後のLSAで有意差を認めたことについて、退院直後よりも生活の拡がりをもてているものの、依然身体機能が低下しやすい状況であることが示唆された。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究を実施するにあたり、本院倫理委員会の承認を得て、また患者及び患者家族には研究の目的及び方法を説明し、患者及び患者家族から承諾を得た。