[P-106] LSA高活動群と低活動群における通所型サービスCの効果比較検証
Keywords:運動効果、LSA、総合事業
【はじめに・目的】
近年、Elderly Status Assessment Set(以下E-SAS)の中に含まれているLife-Space Assessment(以下LSA)が生活の広がりを評価できるものとして注目されている。高齢者の日常行動範囲の狭小化は、身体機能及びADLの低下に繋がると言われている。そこで今回、通所型サービスC利用者を生活範囲が広い集団と狭い集団に分け、その効果を比較検証したのでここに報告する。
【方法】
対象は、平成28年9月~平成31年3月までの女性参加者21名。その内、LSA得点が57点以上の者を高活動群(女性10名、平均年齢80.5±5.2歳)、56点以下の者を低活動群(女性11名、平均年齢79.8±5.4歳)の2群に分類。通所型サービスC開始時と終了時で比較した。項目はE-SASの他項目から「転ばない自信」「入浴動作」「歩く力」「歩く距離」「人とのつながり」、その他年齢、BMI、10m歩行時間、10m歩数、握力、膝伸展筋力、座位ステッピング、片脚立位時間、長座体前屈、CS-30、VASとした。
解析方法は各項目に対してWilcoxson符号順位検定を使用し、有意水準は5%未満とした。
【結果】
高活動群では歩く力(開始時15.6±9.8、終了時11.8±6.7秒P=0.002)、10m歩行時間(開始時13.1±7.5終了時11.4±6.5秒P=0.049)、膝伸展筋力(開始時17.2±5.8、終了時20.5±7.5 kgf P=0.027)、座位ステッピング(開始時19.1±4.0終了時22.5±3.3回P=0.039)、CS-30(開始時10.5±4.9終了時14.2±5.1回P=0.020)で有意差を認めた。低活動群ではLSA(開始時36.5±13.5終了時58.1±20.1点P=0.002)、歩く力(開始時19.6±12.5終了時14.8±10.6秒P=0.001)、10m歩数(開始時29.5±18.2終了時22.3±6.4歩P=0.049)、握力(開始時14.3±4.5終了時16.1±3.6㎏P=0.042)、膝伸展筋力(開始時16.5±5.2終了時19.8±5.9kgf P=0.003)、座位ステッピング(開始時15.1±5.1終了時22.1±4.9回P=0.001)、片脚立位時間(開始時9.9±14.7終了時13.9±18.1秒P=0.007)、CS-30(開始時8.2±4.7終了時11.5±6.2回P=0.012)で有意差を認め、その他の項目では有意差を認めなかった。
【結論】
今回の結果から、高活動群・低活動群共に歩く力、膝伸展筋力、座位ステッピング、CS-30で有意差を認め、通所型サービスCでは下肢筋力向上が期待できると考えられた。さらに、低活動群が高活動群より多くの項目で有意差を認めた。金らは外出を控える者は開眼片脚立位時間、握力、膝伸展筋力が有意に低い値を示すと述べている。本研究においても、生活範囲が狭小化していたと思われる低活動群は開始時の筋力やバランス能力の値が低かった。しかし定期的に運動を行う事、また今回の運動負荷量が適切な範囲となっていた事が考えられ、それにより身体機能が高活動群と比べ、より明らかな改善を認めた。
高活動群で有意差を認めた項目が少なかった理由として、当院では集団でのプログラムを実施しており、個々に対して十分な負荷をかけられなかったからだと思われる。今後は重錘や回数など個人に合わせた負荷量を調整していく必要性があると考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
本調査は、本研究の趣旨、個人情報保護の尊守を口頭で説明し、同意を得た上で実施した。
近年、Elderly Status Assessment Set(以下E-SAS)の中に含まれているLife-Space Assessment(以下LSA)が生活の広がりを評価できるものとして注目されている。高齢者の日常行動範囲の狭小化は、身体機能及びADLの低下に繋がると言われている。そこで今回、通所型サービスC利用者を生活範囲が広い集団と狭い集団に分け、その効果を比較検証したのでここに報告する。
【方法】
対象は、平成28年9月~平成31年3月までの女性参加者21名。その内、LSA得点が57点以上の者を高活動群(女性10名、平均年齢80.5±5.2歳)、56点以下の者を低活動群(女性11名、平均年齢79.8±5.4歳)の2群に分類。通所型サービスC開始時と終了時で比較した。項目はE-SASの他項目から「転ばない自信」「入浴動作」「歩く力」「歩く距離」「人とのつながり」、その他年齢、BMI、10m歩行時間、10m歩数、握力、膝伸展筋力、座位ステッピング、片脚立位時間、長座体前屈、CS-30、VASとした。
解析方法は各項目に対してWilcoxson符号順位検定を使用し、有意水準は5%未満とした。
【結果】
高活動群では歩く力(開始時15.6±9.8、終了時11.8±6.7秒P=0.002)、10m歩行時間(開始時13.1±7.5終了時11.4±6.5秒P=0.049)、膝伸展筋力(開始時17.2±5.8、終了時20.5±7.5 kgf P=0.027)、座位ステッピング(開始時19.1±4.0終了時22.5±3.3回P=0.039)、CS-30(開始時10.5±4.9終了時14.2±5.1回P=0.020)で有意差を認めた。低活動群ではLSA(開始時36.5±13.5終了時58.1±20.1点P=0.002)、歩く力(開始時19.6±12.5終了時14.8±10.6秒P=0.001)、10m歩数(開始時29.5±18.2終了時22.3±6.4歩P=0.049)、握力(開始時14.3±4.5終了時16.1±3.6㎏P=0.042)、膝伸展筋力(開始時16.5±5.2終了時19.8±5.9kgf P=0.003)、座位ステッピング(開始時15.1±5.1終了時22.1±4.9回P=0.001)、片脚立位時間(開始時9.9±14.7終了時13.9±18.1秒P=0.007)、CS-30(開始時8.2±4.7終了時11.5±6.2回P=0.012)で有意差を認め、その他の項目では有意差を認めなかった。
【結論】
今回の結果から、高活動群・低活動群共に歩く力、膝伸展筋力、座位ステッピング、CS-30で有意差を認め、通所型サービスCでは下肢筋力向上が期待できると考えられた。さらに、低活動群が高活動群より多くの項目で有意差を認めた。金らは外出を控える者は開眼片脚立位時間、握力、膝伸展筋力が有意に低い値を示すと述べている。本研究においても、生活範囲が狭小化していたと思われる低活動群は開始時の筋力やバランス能力の値が低かった。しかし定期的に運動を行う事、また今回の運動負荷量が適切な範囲となっていた事が考えられ、それにより身体機能が高活動群と比べ、より明らかな改善を認めた。
高活動群で有意差を認めた項目が少なかった理由として、当院では集団でのプログラムを実施しており、個々に対して十分な負荷をかけられなかったからだと思われる。今後は重錘や回数など個人に合わせた負荷量を調整していく必要性があると考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
本調査は、本研究の趣旨、個人情報保護の尊守を口頭で説明し、同意を得た上で実施した。