第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター4

[P] ポスター4

Sun. Dec 15, 2019 1:40 PM - 2:40 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-108] 当院地域包括ケア病棟における心不全患者の退院に影響する要因

*畠山 正1、横山 果穂1、橋本 有司1、筒井 みずえ1、川崎 洋次1、明神 麻衣1 (1. 近森病院)

Keywords:地域包括ケア病棟、退院、心不全

【はじめに・目的】地域包括ケア病棟(以下,ケア病棟)は医療機関と在宅を円滑につなぐ役割を期待されているが,ケア病棟における心不全患者の退院に関する報告は少ない.そこで,今回は当院ケア病棟に入棟した心不全患者の退院に影響する因子を明らかにすることとした.

【方法】対象は平成29年11月~令和1年6月までに心不全の診断で当院急性期病院からケア病棟へ転入し,リハビリテーションのオーダーがあった175例(平均年齢86±8.3歳,男性58例,女性117例)とした.尚,入院中に急性期病棟へ転棟,または死亡した症例は除外した(2例).方法は退院先が入院元と変更がなかった症例を復帰群(161例,92%),退院先が入院元と変更になった症例を変更群(14例,8%)とし,比較検討した.調査項目は年齢,性別,入院時Body Mass Index,併存疾患の有無,同居者の有無,入院前と退院時の要介護度認定状況,入院時と退院時の左室駆出率,弁膜疾患の有無,入院時と退院時のHb・BUN・Cre・ALB・BNP・eGFR,入院前と退院時のBarthel Index(以下,BI),退院時の握力・歩行自立度・連続歩行距離・10m歩行時間,入院前と退院時のBI歩行を比較した点数の低下の有無,変更群の歩行能力の推移とした.統計解析は復帰群,変更群の2群間に対して,Mann-WhitneyのU検定,χ2検定,Fisherの正確確率検定を用いて検出した.有意水準は5%未満とした.

【結果】復帰群,変更群の2群間において,有意差を認めた項目は退院時連続歩行距離(復帰群125±149.8m/変更群53±52.3m,p=0.035),退院時歩行自立度(復帰群自立74%,介助26%/変更群自立43%,介助57%,p=0.026)であった.その他の項目では有意差を認めなかった.また,変更群において,退院時の歩行が自立していた症例は6例(43%),入院前と比べて歩行自立度が低下した症例は5例(36%)であった.

【結論】当院ケア病棟における心不全患者の退院に関しては,退院時の歩行能力が影響していると考える.しかし,歩行が自立している症例でも転帰先が変更してしまうケースも存在しており,本人や家族の希望,家族の協力,経済面といった患者背景などの要因も関与していると考えられる.

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に沿って行い,得られたデータは匿名化し,情報が特定できないように配慮した.