第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター4

[P] ポスター4

Sun. Dec 15, 2019 1:40 PM - 2:40 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-110] 地域包括ケア病床におけるBathel Index利得の要因の検討

*米田 嗣音1、東 実紀1、寺﨑 修一1 (1. 河北中央病院リハビリテーション科)

Keywords:リハビリテーション単位数、地域包括ケア病床、Bathel Index

【はじめに】厚生労働省は平成26年の診療報酬改定で急性期医療後の回復期医療サービスの充実を狙い、地域包括ケア病床入院料を創設した。地域包括ケア病床は①急性期からの受け入れ、②在宅・生活復帰支援、③緊急時の受け入れの3つの役割を有した病床とされている。この病床は在宅復帰率が7割以上とする施設基準からも分かるように、在宅復帰支援も重要な役割を占めている。当院の地域包括ケア病床も在宅復帰のためのリハビリテーションを目的とされる方が主である。そのため、当院の地域包括ケア病床において在宅復帰に必要とされるBathel Index(以下BI)の利得の要因を検討したため報告する。
【方法】対象は当院の地域包括ケア病床に平成30年6月1日以降入床し平成31年2月28日までに退院した方で、リハビリテーションを行った234名のうち、入床時BIが90点以上の方、老人保健施設、その他急性期・療養病院へ転院された方、死亡退院された方を除く179名(男性59名、女性120名、平均年齢84±8.2歳)とした。対象者の地域包括ケア病床の入退床時のBI利得、年齢、発症日から地域包括ケア病床入床までの期間、地域包括ケア病床入床期間・リハビリテーション実施日数・リハビリテーション総実施単位数・リハビリテーション平均単位数、地域包括ケア病床入床時の栄養評価・BMI・看護必要度を調査した。統計学的解析方法として目的変数を地域包括ケア病床の入退床時のBI利得とし、説明変数をその他の項目とし重回帰分析を用いて目的変数に影響を与える因子を検討した。統計解析にはBellCurve for Excelを用い、有意水準は5%とした。
【結果】BI利得に影響する因子として年齢、地域包括ケア病床入床期間、栄養評価の3項目が挙げられ、標準偏回帰係数は順に-0.16(p<0.05),0.27(p<0.01),-0.15(p<0.05)であった。
【考察】年齢と栄養評価が選択された理由として、加齢による筋力低下や低栄養状態によりリハビリテーションの効果が得られにくかった事が考えられる。また、地域包括ケア病床入床期間が選択された理由としてはADL練習が長期間実施できる事で、BIの改善に影響を与えたと考える。
本研究ではリハビリテーションの平均実施単位数にBIの利得の影響が選択されなかった。リハビリテーション実施単位数による様々な報告にはアウトカムに効果を与える報告や関連が低い報告が散見され、本研究では関連の低い報告を支持する結果となった。地域包括ケア病床は1日平均2単位以上のリハビリテーションの提供が算定要件とされており、提供単位数の問題は多く議論されている。そのため今後はリハビリテーションの提供量に関する検討を行いたいと考える。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は、河北中央病院倫理審査委員会より承認(承認番号No29)を受け、書面にて説明を行い、同意を得て行った。