[P-111] 地域包括支援センターへの訪問による地域包括ケア病棟紹介とその効果
理学療法士による地域と病院との橋渡しの一例
Keywords:地域包括支援センター、地域連携、地域包括ケア病棟
【はじめに・目的】
地域包括ケア病棟(以下,ケア病棟)は,医療機関と在宅を円滑につなぐ役割を期待されている.今回ケア病棟の認知を広めるため,当院がある地域の地域包括支援センター(以下,包括)を訪問し,ケア病棟の紹介活動を行ったのでその内容と効果を報告する.
【方法】
2017年度に大田区内の全包括21か所,2018年度に大田区内および隣接する品川区内の包括26か所に訪問を行った.概ね理学療法士(以下,PT)1名と医療ソーシャルワーカー(以下,MSW)1名の2名で訪問し,いくつかの包括に対してはケア病棟の師長同行やMSW単独の訪問があった.紹介内容は,入院手続きや入院料,受け入れ対象患者像など事務的な説明を主にMSWから,病棟生活や入院中のリハビリテーション(以下,リハ),その他当院ケア病棟の特徴について主にPTから説明を行った.紹介後に質疑などを受け,訪問時間は毎回概ね30分程度であった.2018年度には訪問後,いくつかの包括に対してアンケート調査にて本活動に対する感想や意見を聴取した.
【結果】
訪問活動前の2012~2014年度の包括からの入院相談件数は0件,2015および2016年度はそれぞれ1件で,いずれの年度も入院には結びつかなかった.2017年度の包括からの相談件数は8件,2018年度は27件で,それぞれ2件,14件が入院に結びついた.アンケート調査には11か所19名から回答を得て,紹介を受けてのケア病棟の概要理解について,全員が「よく理解できた」あるいは「概ね理解できた」と回答した.また,「関わっている中で、地域包括ケア病棟の対象となりそうな方はいますか?」との問いには63%が「はい」と回答し,その入院目的は10名が「レスパイト」,7名が「集中リハ」を挙げた.
【結論】 地域包括ケア病棟協会では,ケア病棟はポストアキュート,サブアキュート,周辺機能などの機能を有し,柔軟な対応が可能な地域包括ケアシステムの要となる病棟と位置付けている.一方,全国的なケア病棟の現状として,自院の他病棟から転棟する運用が多く,平成30年度の診療報酬改定では,自宅等から入棟した患者割合を施設基準の要件にするなど、地域で求められる多様な役割・機能を果たす医療機関を評価する内容に見直された.当院ではケア病棟に入棟する約3割の患者が在宅からの入院であり,また主科がリハ科であることから入棟しているほぼすべての患者にリハを提供している.さらに,一部レスパイト目的の入院も受け入れており,地域のニーズを満たす機能を有していると考える.今回のアンケート結果から,一定の割合でケア病棟の対象となる在宅生活者が存在し,今回の訪問活動を受けて相談件数が増えたことからも,地域のニーズと当院のケア病棟が有する機能が合致していることがわかる.今回のような自院のケア病棟を紹介する包括への訪問活動は,地域にケア病棟の機能の認識や理解を促し,医療機関と地域の連携を強化する一助になると考える.
【倫理的配慮、説明と同意】
本活動は介入研究ではないが,関係者のプライバシーと個人情報の秘密保持を厳守するため活動内容はアクセス制限のかかったサーバー内にデータとして保管し,アンケート調査は個人が特定されない形でデータを集計し,結果を同様にサーバーに保管した.また,アンケートに回答し提出することで学会等での公表に同意いただく旨をアンケート用紙に記載した.
地域包括ケア病棟(以下,ケア病棟)は,医療機関と在宅を円滑につなぐ役割を期待されている.今回ケア病棟の認知を広めるため,当院がある地域の地域包括支援センター(以下,包括)を訪問し,ケア病棟の紹介活動を行ったのでその内容と効果を報告する.
【方法】
2017年度に大田区内の全包括21か所,2018年度に大田区内および隣接する品川区内の包括26か所に訪問を行った.概ね理学療法士(以下,PT)1名と医療ソーシャルワーカー(以下,MSW)1名の2名で訪問し,いくつかの包括に対してはケア病棟の師長同行やMSW単独の訪問があった.紹介内容は,入院手続きや入院料,受け入れ対象患者像など事務的な説明を主にMSWから,病棟生活や入院中のリハビリテーション(以下,リハ),その他当院ケア病棟の特徴について主にPTから説明を行った.紹介後に質疑などを受け,訪問時間は毎回概ね30分程度であった.2018年度には訪問後,いくつかの包括に対してアンケート調査にて本活動に対する感想や意見を聴取した.
【結果】
訪問活動前の2012~2014年度の包括からの入院相談件数は0件,2015および2016年度はそれぞれ1件で,いずれの年度も入院には結びつかなかった.2017年度の包括からの相談件数は8件,2018年度は27件で,それぞれ2件,14件が入院に結びついた.アンケート調査には11か所19名から回答を得て,紹介を受けてのケア病棟の概要理解について,全員が「よく理解できた」あるいは「概ね理解できた」と回答した.また,「関わっている中で、地域包括ケア病棟の対象となりそうな方はいますか?」との問いには63%が「はい」と回答し,その入院目的は10名が「レスパイト」,7名が「集中リハ」を挙げた.
【結論】 地域包括ケア病棟協会では,ケア病棟はポストアキュート,サブアキュート,周辺機能などの機能を有し,柔軟な対応が可能な地域包括ケアシステムの要となる病棟と位置付けている.一方,全国的なケア病棟の現状として,自院の他病棟から転棟する運用が多く,平成30年度の診療報酬改定では,自宅等から入棟した患者割合を施設基準の要件にするなど、地域で求められる多様な役割・機能を果たす医療機関を評価する内容に見直された.当院ではケア病棟に入棟する約3割の患者が在宅からの入院であり,また主科がリハ科であることから入棟しているほぼすべての患者にリハを提供している.さらに,一部レスパイト目的の入院も受け入れており,地域のニーズを満たす機能を有していると考える.今回のアンケート結果から,一定の割合でケア病棟の対象となる在宅生活者が存在し,今回の訪問活動を受けて相談件数が増えたことからも,地域のニーズと当院のケア病棟が有する機能が合致していることがわかる.今回のような自院のケア病棟を紹介する包括への訪問活動は,地域にケア病棟の機能の認識や理解を促し,医療機関と地域の連携を強化する一助になると考える.
【倫理的配慮、説明と同意】
本活動は介入研究ではないが,関係者のプライバシーと個人情報の秘密保持を厳守するため活動内容はアクセス制限のかかったサーバー内にデータとして保管し,アンケート調査は個人が特定されない形でデータを集計し,結果を同様にサーバーに保管した.また,アンケートに回答し提出することで学会等での公表に同意いただく旨をアンケート用紙に記載した.