第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター2

[P] ポスター2

Sat. Dec 14, 2019 4:30 PM - 5:30 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-53] 介護予防教室終了後のアンケート集計で学んだこと
今後の介護予防教室に汎化させるために

*伊豫岡 奈々1、大﨑 幸子1 (1. 医療法人社団 東京巨樹の会 みどり野リハビリテーション病院)

Keywords:介護予防教室、サロン、運動指導

【はじめに】
介護予防事業にリハビリテーション専門職(以下リハ職)が関与する地域リハビリテーション活動支援事業の有効性は多く報告されている。当院では大和市からの依頼を受け、適切な運動内容や助言を行い、住民運営の通いの場を充実させることを目的とし、地区社会福祉協議会のミニサロンや自治会等(以下サロン)に1団体につき2回/年、介護予防教室(以下予防教室)を行っている。講義や実技などを実施する上で、内容については事前に各団体の代表者に電話で聴取していたが、こちらに一任される事が多く、対象者やサロン活動にとって有意義な変化があったか不明であった。そこで、今回は予防教室後の対象者の生活に役立っているかに着目し、教室終了時にアンケートにて調査を行った。
【方法】
対象は予防教室の内容が同じであった2団体の58名(男性12名、女性46名)で、平均年齢は78.9歳であった。予防教室の内容は「膝について」であり、前半30分を講義、後半30分を運動などの実技とする合計1時間であった。方法は運営スタッフ(以下代表者)と対象者に対し、アンケートにてその場で記載してもらった。アンケート内容は予防教室の内容が今後の生活に役立つか否か、またその理由についての2点は共通で、3点目は対象者へは現在生活で困っていること、代表者へはサロンの運営にあたりリハ職に希望することを質問した。
【結果】
代表者・対象者全員が、予防教室が今後の生活に役立つと回答し、役立つ具体的な内容についても代表者・対象者ともに、疾患や解剖学などの講義より自宅で出来る運動や日常生活での注意点の方が役立つとの回答が多かった。対象者の現在生活で困っていることは、疾患や疼痛などの機能障害レベルのものから買い物などの社会的不利レベルのものまで個々により様々であった。代表者への今後サロン活動をする中でリハ職に希望することはあるかという質問に対しては代表者としての意見もあったが、個人要望も多く、代表者の意向でサロン活動内容や運営方法が違うように、リハ職へ求める内容も違った。
【結論】
対象者の生活で困っていることは様々であり、個人の主訴を講義に汎化させることは難しい。そのため、様々な主訴を持つ対象者が、同じサロンに参加している目的をリハ職が知るために、各サロンの代表者に活動内容や運営目的を聴取・共有した上で講義内容を選択、改善していきたい。また、対象者・代表者ともにおおむね運動指導や日常生活動作指導の要望が多いが、各サロンへの実施回数の制約があるため、対象者が指導内容を継続できるようサポート方法を検討していく。今回の結果から地域ごとの特性を把握し、より通いの場が充実していけるよう事業を継続していきたい。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は、ヘルシンキ宣言に基づき、対象者個人が特定されないよう個人情報の扱いに十分配慮して行った。個人情報の扱いについては、対象者に口頭にて説明し、同意を得ている。